付録のトランジスタRadio

vrymtl

- 手にしたラジオ-







探し求めているトランジスタラジオ、古い物のマニアのお陰で、現物の画像だけは拝めることが出来た。
マニアの手記を参考に、老舗大手のネットオークションサイトで見つけこれから入手できるかどうかだけだ。


代物の出品者は、全部で5人居た。
匿名性があるネットの世界、どこの誰かは勿論わからない…
状態も金額も様々だ。その中で唯一、雑誌とラジオのセットで状態が良い物を出品している人が居た。また食い入る様に見つめていたわたし。
説明では…
"父親の所持品だったもので、本人にも依頼されて不要のため出品、古い物なのでラジオはちゃんと機能するかはわからない"…とのこと。
雑誌も経年の割には良い状態だったので購入する手配をする事にした。値段は$200、送料は時価になるから2.000円程度か?少し高めの買い物だが、これで噂の真相も判明するし幼い時からのアニメに出て来て影響された夢が叶うかも知れない…
それに比べれば安い買い物だと思って購入ボタンを押した。他の出品者も各国への送料込みで$50ドルのラジオ単体だけではあったが購入した。
支払いはカード決済。これで後は、例の品物が届くまでひたすら待つだけとなった。米国船便だと1ヶ月ほどかかる。長いか短いかは、価値観の問題だ。昨今のネット詐欺も横行しているから不安感もあったが、話だけの物を探し当て手にした時を想像する時間と思えば何のことはない。
それに、立証する事も考慮して人柱となっても問題は無い。
ましてや、これが事実だとすれば謎がすこしは解明できそうだからだ。


待っている時間、現物を所持していたマニアからのリンクにより色々と散策してみたが、どうやらこの代物に関連した裏サイトが存在することも解ったので、期待は膨らむばかりだ。
何故、こんなに古臭いトランジスタラジオごときに真剣になっているか…
このラジオは、ラジオ以外のとても大きな機能があったからだった。
しかも、新聞の記事や報道されそうなくらいビッグなものだからだ。
何のために、また、誰が?と言う疑問も調べているが、決して興味本位だけでない事は確かだ。


異常気象による天候の事情もあり船便が遅れ、やがて1ヶ月と1週間が過ぎたが、荷物番号を追跡して日本へ到着した事を確認できた…いよいよだ。


それから2日後、簡素なダンボールで無事に手元に到着した。
二つの荷物のうち、雑誌付きと言うか付録付き雑誌が先に届いた。
会社から帰って直ぐに開封の義…


「おぉ、実物だぁー本物ダァッ!」


感激のあまりに声を出してしまうほどだったが、夕飯を先に済ませようと箱に戻し楽しみは後回しにと居間へ食事へ向かった…。






つづく







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