魔王、なぜか冒険者学校の先生になって、英雄の子孫を鍛え直す
アメーヌ騎士団
数分後、冒険者や騎士団が森に入ってきた。
「マノン!」
騎士よりも早く現れたのは、研修生のエステルである。
「バカ担任! ちょっと離れなさいよ!」
エステルは、マノンから担任をムリヤリ引き剥がす。
「あいたー」
「この騒動に乗じてセクハラなんて、してないでしょうね?」
「人聞きの悪いこと言うない。トレントを炙っただけだっての」
騎士団は、そびえ立つ木炭と化した大樹トレントを、不思議そうに見ていた。
「これがよぉ、オレ様がこの学校に赴任した理由さ」
担任は、魔族の調査をしていた。
どうも、古の魔神を再び蘇らせようと、魔族が動き出しているらしい。
「それで、オレ様が駆り出されたってワケ。お前ら生徒の護衛も兼ねてな。これで事件解決ならいいんだけどな」
「だからって、アンタみたいなBOWを学園内に入れるなんて」
「文句はウスターシュに言え」
エステルの発言を、担任は受け止めない。
「守り神を殺しちまったな」
担任の言葉を聞き、マノンはエステルと向き合う。
「何を言っているの? あたしたち、こんな大樹見たことないわよ」
「なんだと?」
担任は、この森に詳しくないらしい。
分からないのも無理はなかった。担任はアメーヌに赴任してきたばかりだから。
「ちゃんと説明してくれるか?」
「しょうがないわね」
エステルが解説役を買って出る。
「いい? この森はね、草木の一つ一つに精霊が宿っているの。こんな大木、守り神どころか、地脈を乱すから邪魔なだけよ」
エステルは、大木を蹴り上げた。
「え、ちょっと何よこれ!?」
折れた大木からエステルが飛び退く。
ススだと思っていたそれは、黒い羽虫だった。
エステルがキックしたことで、醜悪な虫たちは空へ飛び立つ。
あのまま見逃せば、今度は街に被害が出る。
「逃がすもんですか。浄焔!」
上空へ向けて、エステルは炎の鳥を展開した。
羽虫たちが一匹残らず、エステルによって浄化される。
「羽虫に霊力を食わせていたのか」
「だから、迷いの森になっていたのね?」
この森全体の霊力を吸えば、魔神が復活してもおかしくはない。
「何事か? 今の光は?」
背の高い騎士が、エステルに駆け寄った。アメーヌ騎士団の団長だ。
「ブレトン騎士団長。彼女が、あたしの友達が、魔族と接触したようです」
エステルが、騎士団長に報告する。
騎士団長は、ブレトンという名前らしい。尖った耳から、彼がエルフであると分かる。
「なんと。そちらの冒険者殿、ケガはないか?」
マノンは首を振る。
「魔族はどうした?」
「逃げました」
「それは残念だ。とにかく無事で何よりだ。協力に感謝する。気をつけて帰るんだぞ」
「はい」
マノンと会話した後、騎士団長ブレトンは、担任に会釈をした。
担任は「ニヒヒ」と手を振って返す。
騎士団は残って調査を続けるようだ。
エステルはブレトンの指示で、マノンを返す任務を受けた。
彼なりの親切心なのかも知れない。
森はいつもの静けさを取り戻し、迷いの作用は消えている。
入ったときは何時間も歩いた道のりも、帰りは一時間もかからなかった。
だが、魔族がアメーヌを襲おうとしていた証拠が出ている。
これは、緊急事態だ。
「マノン!」
騎士よりも早く現れたのは、研修生のエステルである。
「バカ担任! ちょっと離れなさいよ!」
エステルは、マノンから担任をムリヤリ引き剥がす。
「あいたー」
「この騒動に乗じてセクハラなんて、してないでしょうね?」
「人聞きの悪いこと言うない。トレントを炙っただけだっての」
騎士団は、そびえ立つ木炭と化した大樹トレントを、不思議そうに見ていた。
「これがよぉ、オレ様がこの学校に赴任した理由さ」
担任は、魔族の調査をしていた。
どうも、古の魔神を再び蘇らせようと、魔族が動き出しているらしい。
「それで、オレ様が駆り出されたってワケ。お前ら生徒の護衛も兼ねてな。これで事件解決ならいいんだけどな」
「だからって、アンタみたいなBOWを学園内に入れるなんて」
「文句はウスターシュに言え」
エステルの発言を、担任は受け止めない。
「守り神を殺しちまったな」
担任の言葉を聞き、マノンはエステルと向き合う。
「何を言っているの? あたしたち、こんな大樹見たことないわよ」
「なんだと?」
担任は、この森に詳しくないらしい。
分からないのも無理はなかった。担任はアメーヌに赴任してきたばかりだから。
「ちゃんと説明してくれるか?」
「しょうがないわね」
エステルが解説役を買って出る。
「いい? この森はね、草木の一つ一つに精霊が宿っているの。こんな大木、守り神どころか、地脈を乱すから邪魔なだけよ」
エステルは、大木を蹴り上げた。
「え、ちょっと何よこれ!?」
折れた大木からエステルが飛び退く。
ススだと思っていたそれは、黒い羽虫だった。
エステルがキックしたことで、醜悪な虫たちは空へ飛び立つ。
あのまま見逃せば、今度は街に被害が出る。
「逃がすもんですか。浄焔!」
上空へ向けて、エステルは炎の鳥を展開した。
羽虫たちが一匹残らず、エステルによって浄化される。
「羽虫に霊力を食わせていたのか」
「だから、迷いの森になっていたのね?」
この森全体の霊力を吸えば、魔神が復活してもおかしくはない。
「何事か? 今の光は?」
背の高い騎士が、エステルに駆け寄った。アメーヌ騎士団の団長だ。
「ブレトン騎士団長。彼女が、あたしの友達が、魔族と接触したようです」
エステルが、騎士団長に報告する。
騎士団長は、ブレトンという名前らしい。尖った耳から、彼がエルフであると分かる。
「なんと。そちらの冒険者殿、ケガはないか?」
マノンは首を振る。
「魔族はどうした?」
「逃げました」
「それは残念だ。とにかく無事で何よりだ。協力に感謝する。気をつけて帰るんだぞ」
「はい」
マノンと会話した後、騎士団長ブレトンは、担任に会釈をした。
担任は「ニヒヒ」と手を振って返す。
騎士団は残って調査を続けるようだ。
エステルはブレトンの指示で、マノンを返す任務を受けた。
彼なりの親切心なのかも知れない。
森はいつもの静けさを取り戻し、迷いの作用は消えている。
入ったときは何時間も歩いた道のりも、帰りは一時間もかからなかった。
だが、魔族がアメーヌを襲おうとしていた証拠が出ている。
これは、緊急事態だ。
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