それでは問題、で・す・が!

しーとみ@映画ディレッタント

6-3

「ワタシのターン!」
トップバッターは、やなせ姉だ。やなせ姉は観客に笑顔を送って手を振る。
やはり絵になるな、と思った。これがクイズ番組で、嘉穂さんの身体が掛かっていなかったら、もっと盛り上がったろうに。

「選択問題です。枕草子で『春はあけぼの』ときて『冬はつとめて』と書かれていますが、時刻が早いのはどっち? Aがあけぼの、Bがつとめて」

「えっとぉ……」

「Aだと思えば赤いレスラーへ、Bなら青いレスラーを選択して下さい」

まずはやなせ姉が、パラソルへ歩いて行く。

その方角には、赤い水着のレスラーが。
やなせ姉が、Aのレスラーに手を差し伸べる。「お願いしますね」
赤いマスクウーマンは、やなせ姉をお姫様抱っこした。

「さあ、レスラーはどのプールに、来住選手を落とすのでしょう?」

しばらく、泥のプールとマットをウロウロする。やがて、抱っこ状態のやなせ姉を投げ飛ばした。
フワリとしたマットが、やなせ姉の前で待ち構えていた。

「あけぼのは日の出すぐから数分間、つとめては早朝を言います。あけぼのの方が早いんです」

まずは、やなせ姉が正解する。

「では聖城先輩への問題。卓球の別名『ピンポン』の語原は、イギリスである。○か×か?」

迷うことなく赤のレスラーを選び、難なくクリアした。
これは簡単すぎたか。

「よし、やるぞー」
続いてはのんの出番である。
ギャラリーに手を振って、のんが僕の前に立つ。

「小宮山のんに問題。次のうち、タイ王国に実在する島はどっち? A・アツイ島。B・サムイ島」

口角を思いっきり下げて、のんが口をあんぐりと開けた。どうやら、かなり難易度が高かったらしい。

「のんさん、リラックスです!」
「こういうときは、自分のカンを頼りにした方がいいよ。のん」
「しっかりねー」

三人からエールを送られ、のんは迷いを振り切る。
勢いよく、青い水着のレスラーへダッシュしていった。
レスラーは、のんを片手で軽々と持ち上げる。
あっという間に、のんがマットへ沈んだ。

「おー」と、のんが高々と拳を振り上げる。
「その通り。正解はBのサムイ島。観光地としても有名です」

続いて、またも聖城先輩の手番が回ってきた。

「問題。毎年八月八日は、『プチプチの日』とも呼ばれています。これは、気泡緩衝材の別名『プチプチ』の商標権を保有している会社が定めた記念日である。○か×か? ○なら赤、×なら青のレスラーに向かって下さい」
何の迷いもなく、先輩は○の赤いレスラーを選択する。
「その通り、正解は○です」
まだ勝負は付かない。

続いて、やや緊張した面持ちで、湊がアキレス腱を伸ばす。

「問題。『オープン価格』とは、メーカーや輸入代理店など、小売店以外の側が設定した価格のことである。○か×か」

助走を付けて、湊が少しずつ速度を上げていく。青レスラー、つまり×の選択肢へ向かう。

「お見事。正解は×です。オープン価格は『希望小売価格』。正確には小売店が設定した価格です」
一度ボケたら失格という状況のためか、湊は無難に正解した。

聖城先輩の手番に。
「さて、聖城選手の手番です。いかがでしょう、緊張していませんか?」
さりげなく話題を振ってみる。
早く始めろと言わんばかりに、聖城先輩は首を振った。
先輩の視線が怖い。

「では、問題。日本ツインテール協会には、『帰ってきたウルトラマン』に登場した、『古代怪獣 ツインテール』も所属している。○か×か? ○なら赤の、×なら青のレスラーの元へどうぞ」

中腰から起き上がり、先輩は、青いレスラーを選択した。
もちろん正解だ。そんな記述はどこにもない。

「では、津田さんに問題です。フリーメイソンという秘密結社が存在するが、『フリーソーメン』という結社も存在する。○か×か?」

「えっとお……」
顎に手を当てて、嘉穂さんは考え込んでしまった。
「○じゃないかな?」
「いや、そんなワケないだろ。素麺だぞ?」
湊とのんが話し合う。

散々悩んだ挙げ句、嘉穂さんが○を選択した。
赤色のレスラーによって放り投げられた先は、白いマットの上である。

「正解。フリーソーメンは実在する組織です。ホームページだってあります」
聖城先輩の番が回ってきた。

「問題。コピ・ルアクは『動物の排泄物から採取された世界一高いコーヒー』として、イグノーベル賞を授与されている。○か×か?」
○を選択肢、またも正解してしまう。

「さて、ようやく一巡しました。いまだ脱落者はナシ。ここで勝負が動くか?」

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