ギャル二人が『魔法効果付与《デコ》』で異世界を守るんですけど!?
ギャルにしか読めない文字
遙香たちが向かったのは、近くの古代遺跡だ。
探検するのではない。王都にて、魔物の出没地帯の一つとして上がっていた。冒険者や兵隊を手伝えるなら、行くべきだ。
真っ白い塔が、遙香たちの目に飛び込んでくる。
だが、遙香には、塔の形には見覚えが。
「ハッカ、あれってさぁ、宇宙船かな?」
チョ子の指摘通り、円筒状の建物は、地面に突き刺さった宇宙船にも見える。周囲一帯には、サトウカエデが狂ったように生えていた。塔を覆い隠すかのように。
「とにかく、中に入ってみましょう」
マイが前へ進むのを、遙香が止める。「敵よ!」
案の定、周囲にモンスターたちが蠢いていた。
「ここを砦として使うつもりだ!」
「そのようね! どうせ戦うんだから、ここで迎え撃ちましょう!」
遙香たちは武器を構え、魔物の群れに立ち向かう。
入り口付近の魔物を蹴散らし、遺跡内部へと侵入した。
まだ、整備の途中だったらしい。モンスターの気配がしないのだ。
「外の連中は、扉をあけられなかったようだ」
遺跡の扉には、近未来的なロックがかかっていた。
チョ子の鍵開け技術様々である。原理は分からないが。
「だが、油断するな。どこかに敵が潜んでいるかも知れない」
「ダイフグ、データ取得って可能かしら?」
懐から、ダイフグを呼び出した。
「この周囲で怪しいアイテムや情報があれば、写真に収めて欲しいの。テキストらしきものが望ましいわ」
紙は腐食している可能性がある。
「持って帰って読もうとしたらボロボロでした」なんて自体は避けたい。こういう時、写真は便利だ。
「お安いご用ですわ」と、ダイフグは返事を返す。
遙香は、ダイフグを肩の上に載せる。一部を光らせて、ライト代わりにした。
扉を見つけてはチョ子に開けてもらい、内部を調べる。
「ここは居住スペースね。でも使われた形跡が皆無だわ」
一人用のベッドはあるが、未使用のままホコリを被っていた。
小さなテーブルの上には何もない。
ほとんどが、こういった部屋だった。
最後の部屋だけに、変化が。
「あれ、宝箱じゃないかしら?」
部屋の隅に、箱のような物が置かれていたのである。
収納かと思ったが、厳重にセキュリティがかけられている。
アルファベットに似たコンソールが、錠の部分に取り付けられている。
金庫かもしれない。
「チョ子、開けられる? 難しそうだけど」
「任せなって」
チョ子は胸元からダイフグを取り出す。
ダイフグの一部をロック部分に当てて、暗号の解読を始めた。
「罠はないか? 爆発するとか、警報が鳴るとか」
エクレールは、必要以上に警戒している。
戦闘能力は高いが、トラップなどの搦め手は苦手だという。
「大丈夫。全部外したから」
チョ子の能力は、本当にすごい。
彼女のどこにそんな知識があるのか。
しかし、尋ねてもきっと「カン」と返されるに違いない。
「開いた!」
チョ子の声と同時に、箱の上蓋が口を開ける。
「なんだこれ?」
中に入っていたのは、グロテスクな腕輪である。
「あの、それはですね――」と、マイが解説しようとした。
「キッモ」
なんのためらいもなく、チョ子は手に持った腕輪を放り投げる。
「のおおおおおおおお!」
チョ子が破棄した気持ち悪いアイテムを、マイが大事そうにキャッチした。
「これは、『隠者の腕輪』といって、持ち主に過剰なまでの魔力を授けるという、ものすごい貴重なアーティファクトなんですよ!? それをポイって捨てるなんてとんでもない!」
「だって知らないんだもん」
チョ子の意見は正論だ。
いくら超レアアイテムだと言われても、欲しくない見た目では。装備するのも躊躇うデザインだ。
遙香の後ろで、クスクス、と笑い声が。
「ホンットに、キミらは楽しませてくれるなぁ。異邦人とは、かくも楽しい」
振り返ると、エクレールが口と腹を押さえて身もだえしていた。
二人のやりとりがよっぽどおかしかったらしい。
「いやいや、ついてきてよかった。おかげで、いいものを見させてもらったよ」
実に、エクレールは満足そうだ。
「いらないんですか? 強くなれるかも知れないんですよ? 伝説とかお話の中にしか出てこない、誰も触れたことさえない代物なのに」
「じゃあ、マイちゃんにあげるよ。大事なんっしょ?」
チョ子が勧めているにもかかわらず、マイは腕にはめようとしない。
「うーん。学術的には大変珍しいんですよねー。でも、いざ装備してみろなんて言われても」
「でしょ? ダッサイんよ、それ」
マイも「はい」と同意する。
彼女も女子だ。見た目を気にする。
「こんなの、売り物になりません。『アイテムより、それがあった場所の方に価値があるパターン』です。持ち帰ると、かえって魔術協会から窃盗扱いされますね」
「じゃあ、持ち主に返すのが得策ね」
遙香は、腕輪を宝箱に直した。
チョコの魔法により、ちゃんと鍵をかける。
更に奥へと進むと、やけに広い場所へ出た。
床一面に大きな地図が描かれ、それ以外は何もない。
どう考えても、砦の大きさを超えている。
どういった構造にすれば、こんな場所を作れるのか。
「この空間だけ、地上と乖離している」
「別次元ってわけ?」
「そうだ。ここは、亜空間と呼ばれる場所だ。とはいえ、危害はなさそうだな。ある種の瞑想空間というか、何かに集中するために、世界を切り離したと見える」
いったい、どのような存在がこんな世界を。
だが、回答は壁や床、天井にあった。
文字が書かれていたのである。
それも、遙香とチョ子にしか読めない文字で。
探検するのではない。王都にて、魔物の出没地帯の一つとして上がっていた。冒険者や兵隊を手伝えるなら、行くべきだ。
真っ白い塔が、遙香たちの目に飛び込んでくる。
だが、遙香には、塔の形には見覚えが。
「ハッカ、あれってさぁ、宇宙船かな?」
チョ子の指摘通り、円筒状の建物は、地面に突き刺さった宇宙船にも見える。周囲一帯には、サトウカエデが狂ったように生えていた。塔を覆い隠すかのように。
「とにかく、中に入ってみましょう」
マイが前へ進むのを、遙香が止める。「敵よ!」
案の定、周囲にモンスターたちが蠢いていた。
「ここを砦として使うつもりだ!」
「そのようね! どうせ戦うんだから、ここで迎え撃ちましょう!」
遙香たちは武器を構え、魔物の群れに立ち向かう。
入り口付近の魔物を蹴散らし、遺跡内部へと侵入した。
まだ、整備の途中だったらしい。モンスターの気配がしないのだ。
「外の連中は、扉をあけられなかったようだ」
遺跡の扉には、近未来的なロックがかかっていた。
チョ子の鍵開け技術様々である。原理は分からないが。
「だが、油断するな。どこかに敵が潜んでいるかも知れない」
「ダイフグ、データ取得って可能かしら?」
懐から、ダイフグを呼び出した。
「この周囲で怪しいアイテムや情報があれば、写真に収めて欲しいの。テキストらしきものが望ましいわ」
紙は腐食している可能性がある。
「持って帰って読もうとしたらボロボロでした」なんて自体は避けたい。こういう時、写真は便利だ。
「お安いご用ですわ」と、ダイフグは返事を返す。
遙香は、ダイフグを肩の上に載せる。一部を光らせて、ライト代わりにした。
扉を見つけてはチョ子に開けてもらい、内部を調べる。
「ここは居住スペースね。でも使われた形跡が皆無だわ」
一人用のベッドはあるが、未使用のままホコリを被っていた。
小さなテーブルの上には何もない。
ほとんどが、こういった部屋だった。
最後の部屋だけに、変化が。
「あれ、宝箱じゃないかしら?」
部屋の隅に、箱のような物が置かれていたのである。
収納かと思ったが、厳重にセキュリティがかけられている。
アルファベットに似たコンソールが、錠の部分に取り付けられている。
金庫かもしれない。
「チョ子、開けられる? 難しそうだけど」
「任せなって」
チョ子は胸元からダイフグを取り出す。
ダイフグの一部をロック部分に当てて、暗号の解読を始めた。
「罠はないか? 爆発するとか、警報が鳴るとか」
エクレールは、必要以上に警戒している。
戦闘能力は高いが、トラップなどの搦め手は苦手だという。
「大丈夫。全部外したから」
チョ子の能力は、本当にすごい。
彼女のどこにそんな知識があるのか。
しかし、尋ねてもきっと「カン」と返されるに違いない。
「開いた!」
チョ子の声と同時に、箱の上蓋が口を開ける。
「なんだこれ?」
中に入っていたのは、グロテスクな腕輪である。
「あの、それはですね――」と、マイが解説しようとした。
「キッモ」
なんのためらいもなく、チョ子は手に持った腕輪を放り投げる。
「のおおおおおおおお!」
チョ子が破棄した気持ち悪いアイテムを、マイが大事そうにキャッチした。
「これは、『隠者の腕輪』といって、持ち主に過剰なまでの魔力を授けるという、ものすごい貴重なアーティファクトなんですよ!? それをポイって捨てるなんてとんでもない!」
「だって知らないんだもん」
チョ子の意見は正論だ。
いくら超レアアイテムだと言われても、欲しくない見た目では。装備するのも躊躇うデザインだ。
遙香の後ろで、クスクス、と笑い声が。
「ホンットに、キミらは楽しませてくれるなぁ。異邦人とは、かくも楽しい」
振り返ると、エクレールが口と腹を押さえて身もだえしていた。
二人のやりとりがよっぽどおかしかったらしい。
「いやいや、ついてきてよかった。おかげで、いいものを見させてもらったよ」
実に、エクレールは満足そうだ。
「いらないんですか? 強くなれるかも知れないんですよ? 伝説とかお話の中にしか出てこない、誰も触れたことさえない代物なのに」
「じゃあ、マイちゃんにあげるよ。大事なんっしょ?」
チョ子が勧めているにもかかわらず、マイは腕にはめようとしない。
「うーん。学術的には大変珍しいんですよねー。でも、いざ装備してみろなんて言われても」
「でしょ? ダッサイんよ、それ」
マイも「はい」と同意する。
彼女も女子だ。見た目を気にする。
「こんなの、売り物になりません。『アイテムより、それがあった場所の方に価値があるパターン』です。持ち帰ると、かえって魔術協会から窃盗扱いされますね」
「じゃあ、持ち主に返すのが得策ね」
遙香は、腕輪を宝箱に直した。
チョコの魔法により、ちゃんと鍵をかける。
更に奥へと進むと、やけに広い場所へ出た。
床一面に大きな地図が描かれ、それ以外は何もない。
どう考えても、砦の大きさを超えている。
どういった構造にすれば、こんな場所を作れるのか。
「この空間だけ、地上と乖離している」
「別次元ってわけ?」
「そうだ。ここは、亜空間と呼ばれる場所だ。とはいえ、危害はなさそうだな。ある種の瞑想空間というか、何かに集中するために、世界を切り離したと見える」
いったい、どのような存在がこんな世界を。
だが、回答は壁や床、天井にあった。
文字が書かれていたのである。
それも、遙香とチョ子にしか読めない文字で。
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