創作に役立たない、「映画の感想」

しーとみ@映画ディレッタント

作家冥利に尽きたくない粘着 『ミザリー』

交通事故を起こした作家を解放したのは、彼の熱狂的なファンだった。
だが、小説の結末が自分の満足いく展開ではないと、原稿を燃やしてしまう。
気に入った原稿を書くまで家から出さないとして、彼の足すらへし折った。
彼女はいわゆる「粘着ファン」だったのだ。

『ミザリー』のアニーほど、作品を好きになって欲しくないファンも珍しいのではないだろうか。
オレは作家を目指しているが、彼女のようなのはファンじゃないと言える。

キングは自著『書くことについて』にて、彼女の描写法について語っている。

「アニーは、自分が異常者だなんて、微塵も思っていない」
「むしろ自分は常識人で、世の中の方が間違っていると思っている節がある」
「それどころか、『世の中の理不尽に単独で立ち向かう偉大な騎士』と、自らを評している」

「アニーが精神に異常をきたしているからといって、『彼女は精神を病んでいるみたいだ』などと書いてはいけない」
「朝、髪をろくに整えず、大量のケーキを口の中へ放り込んで頬張る姿を描き、彼女の狂気を演出するのだ」
と、解説している。

典型的な粘着ファンだ。

「異常者を狂っていると書いてしまっては、作家の負け」
「狂っていると読者に感じてもらったら、作者の勝ち」

『書くことについて』は、是非ともオススメしたい。

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