創作に役立たない、「映画の感想」

しーとみ@映画ディレッタント

インタビューシーンに注目 『ホイットニー: 本当の自分でいさせて』

映画は、40代の女性が、浴室で冷たくなった状態で発見される所からスタートする。
「側には、薬物が……」

貧民街に生まれた彼女は、ゴスペル歌手の母親から、立ち居振る舞いまで厳しく指導され、今の歌唱力、社交性を手に入れた。
その反動か、ドラッグに手を染めてしまう。

19でデビューしたが、彼女に求められたのは、マライヤ・キャリーのようなポップスシンガーキャラだった。
「女版ジェームズ・ブラウンはいらない」と。

ドキッとするシーンは、全米一位を獲得したインタビューの直前のシーンだ。
撮影が始まる前の、不安でたまらない顔。
笑顔で質問に答えるが、怯えた目を時々見せる。

アメリカで最も売れた女性歌手で、賞の所持数はビートルズを超えるという。

だが、R&Bを愛する黒人からは、非難の声が上がる。
黒人向け音楽のトップを決める「ソウルトレイン・アワード」でホイットニーの名が上がると、客席からブーイングが起きた。

彼女は、母親からのコントロールを許し、親の敷いたレールを歩き続けた。
だが、母親はドラッグよりゲイ趣味を指摘してきた。
黒人コミュニティでビアンは御法度だったからだ。

夫のボビー・ブラウンから友人を引き剥がされ、優しかった父親からは「金払え」と言われる。

身を案じていた人はいたが、みんな彼女から引き離されていった。

自身が言った「お金は人を幸せにしないわ」という言葉を、彼女は自分の死を持って、知らしめてしまった。

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