創作に役立たない、「映画の感想」

しーとみ@映画ディレッタント

就活生の闇は深い 『何者』

就活に立ち向かう中、常にiPhoneで何かを発信している佐藤健。
不器用だがどこか要領がいい元バンドマンを菅田将暉が演じ、その彼女役は有村架純。
留学経験など、有利な武器を持つ二階堂ふみはツイッターで自分の成果を発信し続けている。
彼女の同棲相手、岡田将生は、就活生を醒めた目で見つつ、焦っている。

朝井リョウ作品の映画化。
初めは就職に向けて動く若者達の日常系かなと思わせる作り。

面接を受ける就活生と、インタビューを受ける劇団員を対比させるシーンがある。
言葉の端々が嘘くさい就活生と、涙を流して本音剥き出しで語る劇団員。
どっちも異様に見えてしまう手法が面白い。

中盤、佐藤健の演劇仲間と仕事すると、岡田将生から告げられる。
一ヶ月定期的にシナリオを要求され、「じっくり作りたい」と、岡田将生はその件を蹴ってしまう。
かつて佐藤健は「頭の中にあるうちは、何もかも傑作だ」と、その演劇仲間に発信した。
その言葉で、今度は岡田将生を責める。

直後、映画のタイトルである「何者」の意味が分かる。
映画の雰囲気がガラッと変わる。

なぜ佐藤健がずっとiPhoneをいじっているのか。
彼は何を見ていたのか。

それが判明すると、「うわぁ」と引いてしまう。
だが、彼を責めきれない部分が、誰にでもどこかにあるのではないだろうか。

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