新しい嫁探し?バツイチお父さんは娘の為に霊界で伝説になる。

ふなむし

伸びたラーメンも悪くはない



台所に立つと普段から使っている台所とあまり違和感もなく、流しにコンロ、鍋に包丁、一般家庭の標準装備は整っていた。




「火と水はどうしたらいいんだ?」


「流しとコンロにレバーがついてるだろ?それを捻ると出るよ。火は下に引いて少ししたらつくからあとはレバーで調整してくれよな」




「あいよ、仕組みはどうなってるんだ?」


「中に霊水晶が入っているからそれに水なら水、火なら火の霊力を込めるんだ。一度込めたら10日間位は大丈夫だ。3年位で水晶が劣化して壊れちまうから、その時は水晶ごと高官だな。」




「水道代、光熱費が安くすんでいいな。」




「そうでもねーよ。買い換えがけっこうするからその分貯めておかなきゃいけねーんだよ。」




それもそうか。
なかなか上手いこと回ってるんだな。


毎月払いか3年に一度まとめて払うかの違いだな。




「さて作るかな。お湯を沸かしてくれ。」




華凛にお湯を頼むと俺はねぎ、もやし、煮たまご、チャーシューを切る。


煮たまごとチャーシューは時間がかかるのでスーパーの出来あいの物を買ってきた。


「何味にする?」




「わかんねーよ、何があるんだ?」


「オーソドックスに醤油、味噌、塩を買ってきた。まずは醤油でいいか?」




「旨いなら何でもいいよ」






「そういえば食べては行けない食材とかあるのか?」


「特にねーよ、食べれる物は何でも食うぞ?」


「苦手な物は?」


「うちの人達は特に苦手な物はなかった気がするけどな。
俺は苦いものはあんまりだけどよ…」


「じゃあ大丈夫だ。お湯も沸いたしそろそろ茹でるぞ。どのくらい食う?」




「たくさん!又はいっぱい!」




まぁこの間のおにぎりを食べれるなら沢山作っても大丈夫だな。




康成はスーパーの袋から8食分取り出し鍋に放り込んだ。






五分もしないうちに甚平が帰って来た。




「おや?何だか良い匂いがしますね?華凛ですか?」




「あなたお帰りなさい。今華凛ちゃんと康成君がお昼ご飯を作ってくれてるの」




「康成君が来てましたか。それじゃあできるまで楽しみにしていましょう」






「良し完成だ。華凛は声をかけてきてくれ」




「あいよ、母ちゃーん!できたぞ!あれ?父ちゃんも帰って来てるな!康成!父ちゃんの分もすぐに盛って大丈夫だ!」


「あいよ!」




「お待ちどうさま!メガ盛り醤油鬼ラーメンです!」




康成は御盆いっぱいのラーメンを三人の前に並べた。






「簡単な材料で作ったから口に合うかわかりませんが伸びないうちにどうぞ」




「康成君ありがとうね、お客様なのにお昼ご飯の準備までしてもらっちゃって」




「初めて見る料理ですね。蕎麦に似ていますがとても良い匂いがします」




「俺が作りたくて作ったんだ、この間のおにぎりの感謝だと思って遠慮しないで食べてください」




「それでは頂きましょう」






甚平の合図を待っていたかのように華凛と華夜は食べ始めた。






ズルズルッ


ズズッ




「いやー凄いねこれは、なんとも……スープが身体に沁みますね。麺も蕎麦やうどんとは違いますが美味しいです」




「旨いな!なんだこれ!肉と卵はもうないのか?」




「……………ふぅ…康成君、うちにお婿に来ない?」




急な華夜の爆弾発言に食卓は凍った。




「ふふふっ、いけませんよ華夜さん…面白い冗談です。笑いしかでませんよ」




「そんな!俺はまだまだ結婚なんかしねーぞ!急に変なことを言うなよな!」




「あらあら良いじゃない。料理もできる旦那さんなんてあんまりいないわよ?康成は華凛が魅力的じゃない?少しがさつで乱暴だけど……」




「ははは…そうですね…」




なんか変な汗が出てきた。




「華凛に魅力がないと?」




無茶苦茶めんどくせーじゃねか!






「ほらっ!麺が伸びないうちに食べちゃってください!スープを半分は残してくださいね!まだまだ美味しく食べれるので!」




強引に話を変え、康成はご飯と熱々のスープを持ってきた。




華凛の麺を食べ終わり具が少し残り半分程になったスープへ康成はご飯を投入した。


その上に溶いた卵、熱々のスープをかけた。




「うぉっ!すげーな!米がするする進む!」


「ラーメンの締めはこれ!ラーメンおじや天童風!甚平さんも華夜さんもまだ食べれます?」




「私はいただこうかな、華夜さんはどうします?」


「もう少し食べたい気もするけど全部は食べられそうもないわ。あなたのを少しもらうわ」


「わかりました」




康成は甚平のスープにご飯を入れおじやを作ると小ぶりの茶碗に華夜の分をよそった。




「気遣いもできる…と…」






華夜が康成を褒める度に甚平から無言の圧力が浴びせられた。






昼食も終わり華凛も甚平も満足そうにくつろいでいると。
華夜がお茶を入れてくれお茶を飲みながら康成は甚平へ最近あったことを話した。




霊感のようなものがわかるようになったこと。




幽霊に襲われたこと。
殴って成仏?したこと。




人が死んだ瞬間魂のような物を見たこと。






「興味深いですね…憶測で良いならお答えします。間違ってたらすみませんが…」




お茶を一口すすり甚平は話し出した。




康成もお茶を飲むと無茶苦茶熱かった。


舌を火傷した。



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