チートスキル『死者蘇生』が覚醒して、いにしえの魔王軍を復活させてしまいました〜誰も死なせない最強ヒーラー〜

ノベルバユーザー364546

その頃アレンは

「アレン。リヒトの代わりは見つかったの?」

「まだだ。そもそも、俺たちのレベルに合うようなヒーラーなんて、簡単に見つかるはずないだろ」

 Sランク冒険者であるアレンとシズクは、処刑されたリヒトの代わりになる人材を探していた。
 他のメンバーも、スカウトに向かっている最中である。

 すぐに見つかると思っていた代役だが、ここまで苦戦するとは予想外だ。

「何で? リヒトの代わりなんていくらでもいるはずでしょ? 最悪、蘇生はできなくても回復ができる奴がいれば良いんだし」

「だから、俺たちに合うようなヒーラーがいないって言ってるだろ。ヒーラーは全員が全員弱すぎる。どれだけ後ろの方にいたとしても、そいつが真っ先に死んじまうくらいにな」

「何それ? ヒーラーを守りながら戦えってこと? サポートじゃなくて足を引っ張ってるじゃん……」

 シズクは呆れたようにため息をつく。
 これまでワンマンプレーをしていた二人に、ヒーラーを守りながら戦うというチームプレーは不可能だった。

 放っておいても一人で何とかできるリヒトの存在が、どれだけ貴重だったのか思い知らされる。

「でも、どうにか一人くらいは見つかるんじゃないの? 私たちはSランクパーティーだよ? 強いヒーラーの人だって来てくれると思うけど……」

「回復職なら、どれだけランクが上でも本体の弱さは変わらないぞ。たとえ俺たちと同じSランクの回復職でも、一対一なら並の冒険者程度だ」

「え? でもリヒトは、私たちくらいの戦闘能力があったじゃない!」

「あのな……リヒトはヒーラーであっても回復職じゃないぞ。アイツの回復はスキルなんだ。だから、俺たちと同じような戦闘能力がある」

「そんな……」

 アレンとシズクは、リヒトがいなくなったことのダメージをヒシヒシと感じていた。
 回復役だとしても、お荷物を連れて歩くというのは避けたい。

 リヒトという唯一無二の存在を、今さらになって思い出す。

「……チッ、こんなことを言ってても仕方がないな。とりあえず一人はパーティーに入れておくか。囮くらいの役割はできるだろう」

「そうだね、別に見捨てればいっか。いないよりかはマシ……かどうかは分からないけど」

「志願者は結構いるから、じっくり選んでも良いかもな。もしかすると、金の卵を見つけられるかもしれないし」

「あ、それ面白そうかも――ん? アレン、何か手紙が来てるよ?」

 ヒーラーに関しての方針を決めたところで。
 シズクは、ポストに投函されていた手紙に気付く。
 大きなギルドのハンコが押されており、クエスト依頼の内容だろう。

 二人はSランクパーティーであるため、このような手紙自体は珍しいことではない。
 しかし内容を見る前に、冒険者としての勘がシズクの手を固まらせた。

「どうした? どうせクエストの依頼だろ?」

「そうだけど、ちょっと見てみて」

「……?」

 シズクから渡された手紙を、アレンは慣れたように開けて中身を確認する。
 そこには、Sランク冒険者に恥じない内容が記されていた。

「ダンジョン調査の依頼……? 年月によって廃れていたダンジョンから、最近強力な魔力を確認したらしい」

「強力な魔力? 廃ダンジョンに、魔物が住み着いたってこと? なんだか面倒くさそう……」

「……いや待て。報酬金が50万ゴールドもあるぞ……」

「50万ゴールド!? 受けるしかないじゃん!」

 不穏なクエスト内容に、一瞬躊躇った二人であったが、莫大な報酬金を見た途端に心境は変わる。
 これほど美味しいクエストを見逃すわけにはいかない。
 ほぼ二つ返事で、承諾の手紙をギルドに送り返すアレンとシズクだった。

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