クラスごと異世界転移して好きな女の子と一緒に別行動していたら、魔王に遭遇したんですけど...

がいとう

92話 迷宮王の強襲

 エルセーヌ






「オホホホホ。本日はまさに戦争日和ですわね」




 世界樹にて自分の担当する迷宮王を瞬殺した私は、里の門の近くにある兵の詰め所にて、ファーシェルの護衛にあたっていた女忍者に話しかけました。
 現在の女忍者はハシウスの部屋で見かけた時とは異なり冴えない秘書官の様な見た目をしていますが、私が一度目にした人物を間違えるはずはありません。
 彼女は時々私の周囲を嗅ぎまわっていましたし、エルフの里の暗部の者であるとみて間違いないでしょう。




「……、不謹慎ではないですか?」
「オホホ。戦争とは得てして多くの者の思惑とは別に動き出すものですの。その様な偶発的産物に対しては不謹慎もくそもありませんわ」
「貴女達の考え方はよく分かりませんね。それで、私に何か御用ですか?」
「オホホ。用という程の事はありませんが、主から仰せつかっていた仕事を終えて少し暇でしたのでお友達を作りに来ましたの」
「お友達、ですか?」
「オホホ。こう見えて私、お友達があまり多くないので私と互角の諜報力を持つ貴女にお友達になってもらおうと思ったのですわ」
「……。貴女は見るからに友達が少なそうですが、私はただの秘書官にすぎません。どなたかとお間違えではないですか?」




 女忍者はそう言うと、私の事を鬱陶しそうな目で一瞥した後で手元の書類に目を落として作業を再開してしまいました。
 周囲のエルフ達も慌ただしそうに動き回っていますし、上手く風景に溶け込んでいる様です。
 しかし、しらばっくれられては面倒ですね。




「オホホホ。グラスやペン先の反射でファーシェル様の姿を常に視界に収めているくせによく言いますわ」
「言い忘れていました。私はただの秘書官ではありますが、ファーシェル様の熱狂的なファンでもあります。ファーシェル様を常に視界に収めているのは、今日の彼女の下着を想像して楽しむためです」
「オホホ。それでは、私が確かめて参りましょうか?」
「好きにすれば良いと思います。ただ、ファーシェル様の下着の色を確認してきてくださったら、友達になるという件を考えてあげなくもありません」




 なるほど。
 つまり私が女忍者に釣り合う人物なのかその目で実際に確かめたいという訳ですか。
 暗部の者は隠語や遠回しな表現を使う事をよく好みますし、今回も彼女からの挑戦状と見て間違いないでしょう。




「オホホ。それでは、少し確かめて参りますわね」




 私は尚も手元の書類を整理する女忍者にそう言い残し、次々と報告に来る兵に指示を出しているファーシェルの元へ向かいました。
 彼女は魔族である私に対してあまりよくない感情を抱いている様ですし、まずは正面から近づいて行って視線を私に向けさせるのが良いでしょう。
 本来なら一度部屋を出て結界魔法と気配遮断を使ってファーシェルに気づかれずに下着を確認するのが最善なのですが、今回は女忍者からの挑戦状という側面がありますし、出来るだけ高いテクニックを見せつけるとしましょう。




「オホホ。お疲れ様ですわファーシェル様」
「エルセーヌか。ユーリア達と共に世界樹に向かったのでは無かったのか?」
「オホホホ。自分の分の仕事を先に済ませたので戻って来たのですわ」
「そうか。それで、私に何か用か?」
「オホホ。つい先ほどご主人様方が第50階層と第45階層の迷宮王を無力化した事の報告に来たのですわ」
「それは確かな情報なのか?」
「オホホホ。私はご主人様の居場所と現状がいつでも確認できるので間違いありませんわ」
「フーマもこんな胡散臭い女に付き纏われて気の毒だな。だが、報告は感謝する。エルセーヌは引き続きフーマかミレンの指示に従ってくれ」
「オホホホ。それではその様にさせていただきますわ。ところで話は変わるのですが、そろそろ一度外に出て兵の指揮を高めてはどうですの?  私の祖国の王は自ら前線に出て兵を鼓舞していましたわ」
「あぁ、確かにそろそろ直接指揮をとった方が良いか」




 ファーシェルはそう言うと、机に立て掛けてあったレイピアと椅子にかけたあったジャケットを持って立ち上がりました。
 よし、これで第一段階はクリアですね。
 後は……。




「オホホホ。この書類、計算が間違っているようですわよ」
「ん?  補給物資の報告書か」




 オホホ。
 ファーシェルの意識が書類に向いている今がチャンスですわ!




「おい、どこが間違ってるんだ?」
「オホホホ。失礼いたしましたわ。どうやら間違っていたのは私の方ですの」
「ふん、何を考えているのかは知らんが私の仕事を増やさないでくれ。では、私は少し出てくる」


「はっ!」




 そうしてファーシェルは近くにいた兵が敬礼と共に返事をするのを確認した後、詰所を出ていきました。
 そのファーシェルを目で追っていた私の元へ女忍者が近寄って来て声をかけてきます。




「それで、ファーシェル様の下着の色は分かったのですか?」
「オホホホ。ご自分で確認してくださいまし」




 私はそう言いながら、生暖かい布切れを女忍者に手渡しました。
 オホホホ。真っ赤で派手なデザインですし、正統派な勝負下着ですわね。




「まさか、いつの間に脱がしたのですか?」
「オホホ。書類に意識を向けさせた時に手早く脱がせましたわ。相手の歩幅を覚えておけばこの程度造作もありません」
「ふむ。どうやらこれは認めざるを得ない様ですね。さて、改めて用件を聞きましょうか」
「オホホホ。では、仲良く手でも繋ぎながらトウカ様のご自宅に向かうといたしましょう」
「ふーん。てっきりトウカちゃんの両親について聞いてくると思ったから、少し意外だね」
「オホホホ。そちらは我が主が対処しているので問題ありませんわ」
「そっか。それじゃあ早速行くよ」
「オホホホ。よろしくお願いしますわ」




 こうして、無事に女忍者の協力を得られた私は彼女と共に詰所を後にして人気の無い路地に入って行きました。




 オホホホ。
 しかし、この女忍者はいつまでファーシェルの下着を眺め続けるのでしょうか。






 ◇◆◇






 風舞






「で、ここまで何の邪魔もなく来れちゃったけどどうするよ」
「うーん。目の前まで来たは良いけど、木が邪魔で姿を確認できないわね」
「ここまで来たら下に降りるしか無いじゃろうな」




 隠しボスの部屋らしき場所にて、謎の二人組の魔力を感じ取った俺達一行は木々の上に並べた大きな石の上から数メートル下の様子を確認しつつそんな話をしていた。
 森の中のトラップを恐れて木の上に石を並べて歩いて来たは良いのだが、それなりに大きな木の下にいる二人組を確認しに行くには下に降りて実際にこの目で確認するしかない。
 せめて木の上から下が見えたら良かったんだけど、枝と葉が邪魔でどうしようも無いしなぁ。




「まぁ、なるようになるか」
「そうね。いつまでもここで話し合っていても仕方ないし、早く下に降りましょう」
「うむ。それでは一気に行くとするかの」




 ローズはそう言うと、顔の前で両腕をクロスさせて枝と葉の少なさそうなところに勢いよく飛び降りて行った。
 それを見た舞が俺の手首を掴みながら、ローズの飛び降りた場所の近くに強引に飛び降りていく。




「あだだだだだ、いだっ!?」
「あら、大丈夫かしら?」
「ああ。せめて飛ぶ前に一言欲しかったけれど軽くぶつけた程度……だ」




 呑気にそんな話をしながら舞に手を引かれて立ち上がると、目の前の木の下にまさしく満身創痍といった風貌の男女のエルフの存在に気がついた。
 二人とも何か大きな刃物で撫で付けられた様に全身に酷い切り傷を負っており、魔力が感知できなければ死体と間違っていたかもしれないほど重症だ。




「ふむ。派手に傷をつけられてはおるが、致命傷は上手く避けられておる。すぐに手当てをすれば死ぬことは無さそうじゃな」
「あらそう。それじゃあ、これの出番が来たのね」




 舞はそう言いながら胸元からファーシェルさんにもらった世界樹の葉を取り出して、エルフの二人組に近づいて行った。
 もしかすると舞が近付いた瞬間に襲いかかってくるのではないかと思いもしたが、二人ともそんな気力は無いのか虚ろな瞳のまま動こうとはしない。




「……。これ、どうやって使うのかしら?  飲ませれば良いの?」
「うむ。軽くすり下ろして水を足せば飲めるじゃろ」




 いつの間にか土魔法で作ったらしきすり鉢を取り出していたローズがゴリゴリと自分の分の世界樹の葉をすり下ろしながらエルフの二人組の元へ近付いて行く。




『どうやら罠ではなかったようですね』
「みたいですね」
『しかし、そうなるとこの部屋の迷宮王はどこに行ったのでしょうか?  魔物の基本的な特性上死にかけの獲物を見逃すとは考えにくいのですが』
「この二人が相討ちしたんじゃないですか?」
『仮にそうなら、私達がこの部屋に入ったタイミングで出口を封じられる理由が分かりません』
「それじゃあ、迷宮王はまだ生きていると?」
『ええ。おそらくは』




 やっぱりそう都合よくは進んでくれないよなぁ。
 出来ればこの二人が迷宮王を倒しておいてくれたら良かったんだけど、それだとフレンダさんの言う様に俺達がこの部屋に閉じ込められた意味が分からない。




「はぁ、取り敢えず周囲の警戒をしておくか」
『そうですね。お姉様達があの二人のエルフの治療をしている間に襲ってくるかもしれませんし、木の上から辺りを見回しておいた方が良いと思います』
「それじゃあ、なぁ舞。ちょっと木登りしてるから何かあったら呼んでくれ」
「分かったわ。風舞くんも何か異常があったら直ぐに声をかけてちょうだい」
「あいよ」




 そうして二人揃って世界樹の葉っぱをすりおろす舞とローズに軽く会釈をした俺は、再び木の上に放置していた石の上に転移して見張り役をやる事にした。




「ほーん。なんだか地味な光景ですね」
『ええ。木々が生い茂ってはいますが全て同じ種類で高さまで同じですし、全く見ごたえがありません』
「気になるところと言えばあの上の方の穴というか木々の裂け目みたなところなんですけど、調べるには微妙に数が多いですからね」
『このまま何の進展もないようならいずれあの穴も調べねばなりませんが、確かに面倒ではありますね』
「そういえば、あの二人は一体いつからここにいるんですかね?」
『あの二人とは下にいるエルフ達の事ですか?』
「はい。確かに全身ズタボロで酷い怪我ですけど、俺的には二人ともガリガリで服もボロボロなのが気になりました」
『言われてみればそれもそうですね』
「それと、あの二人は武器は何も持っていないんですかね。いくら魔法が得意なエルフでも魔力切れに備えて何かしらの武器ぐらいは用意してると思うんですけど」




 トウカさんもユーリアくんも弓を持っていたし、ターニャさんも籠手を装備していた。
 武器が長い時を経て摩耗したとか、矢が無くなったから弓を捨てたとかも考えれるけれど、何となくあの二人が武器を持っていないのが気になる。




「はぁ、せめてどんな迷宮王なのかだけでも分かればもう少し気が楽なんだけどなぁ」
『まったく、気乗りしないのは分かりますが先程からため息が多いですよ』
「だって、この部屋に入ってから俺の直感がずっと早くここから立ち去れってうるさいんですもん」
『そんなに直感がうるさいなら何か新しいスキルでも覚えて戦に備えでもしたらどうですか?』
「え?  新しいスキルを覚えても良いんですか?」
『トウカが控える様に言っていたのは新しい魔法の習得だけですし、自分のステータスポイントの使い道ぐらい自分で決めなさい』
「ふーん。それじゃあ、何を覚えよっかなー」
『まったく、フーマは相変わらず単純ですね。それで、ステータスポイントはどのくらい溜まっているのですか?』
「ええっとですねぇ…」




 俺はそんな事を言いながら、アイテムボックスからステータスカードを取り出した。






 ◇◆◇


 フウマ タカネ


 レベル 44  
 体力145
 魔力 1429/1542
 知能 1516
 攻撃力 139
 防御力  138
 魔法攻撃力 179
 魔法防御力 177
 俊敏性 139


 魔法 転移魔法LV8 火魔法LV4 
 スキル ランバルディア共通語 魔力操作LV4 気配遮断LV2 剣術LV2  豪運 直感LV6
 称号 異世界からの来訪者 勇者 大物食い


 ステータスポイント 78


 ◇◆◇






 お、つい最近転移魔法が復活した時にステータスカードを確認してから4つもレベルが上がっている。
 やっぱりグリフォンはかなり強い相手だったんだな。
 まぁ、ほとんどハメプレイだったからあんまり苦労してなかったんだけど。




「えぇっと、78ですね」
『………』
「フレンダさん?」
『弱いですね』
「え?」
『すみませんフーマ。改めてフーマのステータスカードを見て思ったのですが、このフーマのステータスなら迷宮王と戦いたくないとごねるのも無理は無いと思います』
「ちょ、ちょっとフレンダさん?  そんなにガチで申し訳なさそうな声で謝られると、これからの迷宮王戦に不安しかないんですけど」
『しかし、このステータスでは流石に迷宮王を相手にするのはかなり厳しいと思うのですが』
「でも、なんだかんだドライアドもグリフォンも何とか出来ましたし、多分今回も何とかなりますって。今はポジティブにどうやったら俺の生存確率が上がるのかを考えましょ?」
『そうですね。ありがとうございますフーマ。フーマのあまりにも低すぎるステータスを見て少し弱気になっていました』




 はぁ、何で俺のステータスの話なのに俺が励ます側にまわっているのだろうか。
 それだけフレンダさんが親身になってくれているのだろうけれど、そこは「何とかなりますよ!」とか適当なセリフでも良いから励ましてもらいたかった。




「で、フレンダさんのオススメのスキルとかありますか?」
『そうですね。やはりフーマの一番の強みは転移魔法ですから、それを活かすスキルが良いと思います』
「となると、感知系のスキルですか?」
『はい。その中でも周囲の状況を詳しく知る事が出来る空間把握や、敵意や目に見えない攻撃を感知する心眼などが今のフーマには一番適しているでしょうね』
「それじゃあ、心眼の方を覚える事にします。今は少しでも攻撃を避ける力が欲しいですからね」
『ええ。生存確率を上げるにはそれが宜しいでしょう」




 こうして、俺はステータスポイントを使えるだけ使って新たなスキル心眼を習得した。
 ステータスポイントを70ポイント近く使っても覚えられたのはLV3までだったが、消費ポイントが多い分効果もそれなりに期待できるはずだ。
 俺に心眼の才能が無い訳では無いと願いたい。




「ふぃぃ、なんだかちょっとだけ強くなった気がします」
『分かっているとは思いますが、油断は禁物ですよ。私はまだフーマには死んでほしくありませんからね』
「それって…」
『フーマが死んでしまっては私の楽しみが減りますし、お姉様との貴重なふれあいの時間がへってしまいます』
「ですよねぇ」




 なんてやりとりをしていたその時、俺の背筋に何かが這い上がる様な感覚が瞬間的に流れた。
 ちっ、覚えたばっかりのスキルがもう発動したのかよ。




「敵だ!!」
『フーマ!  出来るだけ大きい石を出して足場を作りなさい!』
「了解!」




 フレンダさんの指示を聞いた俺は瞬時にアイテムボックスから出来るだけ大きくて形の良い石を取り出して舞達のいない方に転移させて足場を急ごしらえする。
 よし、約10メートル四方の足場があれば一先ずは大丈夫なはずだ。




「フウマ!  敵はどこじゃ!」
「分かんねぇ。でも、さっきからこっちをずっと見てる気がする」
『おそらく敵が現れるのは一瞬です。視覚だけに頼らず常に周囲の気配を探り続けなさい』
「舞と二人は?」
「マイに妾達が入って来た通路に二人を運んでもらっておる。一応世界樹の葉は飲ませたが、まだ動ける様になるには時間がかかるはずじゃ」




 確かに俺達が入って来た通路の方ならここからそこまで距離は離れていないし、通路がある分全ての方向に気を割かなくてすむから二人を守るには適している気がする。
 仮に舞達の方が狙われたら厄介ではあるが、その場合は俺がローズを連れて転移すれば何とかなるはずだ。




「ふぅー」
「まだ視線は感じるのかの?」
「ああ。多分俺を品定めしてるんだと思う」
「ふむ。妾はまだ気配を感じ取れておらぬからお主が頼りじゃ。信頼しておるぞ」
「あぁ、任せろ」




 そう言った俺は、咄嗟に引き抜いていた片手剣と炎の魔剣をゆっくりと鞘に納めて目を閉じた。
 どうせどっちから来るのか分からないのなら視覚情報は邪魔なだけだし、舞みたいに出会いがしらに居合でカウンターを決められるとは思わない。
 今はただ全てのスキルと称号を信じてただ避ける事に集中するべきだ。


 大丈夫だ。
 敵はまだ俺を見ている。
 この感覚に変化が起こった瞬間に動けば攻撃を避けられはずだ。
 集中しろ。
 例え僅かな変化でも見逃せばそれが命取りになる。


 そうして自分の心音すらも聞こえなくなるほど深い集中状態に入っていたその時、敵の気配が突如として膨れ上がった。




「左斜め後ろ上空!!」
「ファイアーランス!」




 俺の指示に従ってそちらにローズが火魔法を放つと同時に、俺は彼女の背中に手を触れて敵の接近して来た方向から大きく距離をとった。
 そうして距離をとった後ローズによって放たれた火魔法の着弾地点を確認してみると、30メートルほど上空に異形の魔物の姿が確認できた。
 ぱっと見は大体4メートル程の大きなカラスで顔は獰猛そうな人の顔をしており、目は金色で口は大きく裂け何本もの牙がギラギラと光っている。




「なんだ、あれ?」
「あれはハーピィ、いや、オーキュペテーじゃな」
「なんだそりゃ?」
『オーキュペテーはハーピィの希少種です。あの魔物を呼称するとすれば、オーキュペテークイーンといったところでしょうか』
「俺の知ってるハーピィはもうちょっと可愛い顔だったと思うんだけど」
「お主の知識がどの様なものかは知らんが、ハーピィの顔はあの様に獰猛な顔である事が普通じゃ」
「はぁ、ドライアドさんは凄い美人だったのに、オーキュペテークイーンはダメダメだな」
「その話はいささか気になるが、今はあやつを倒すのが先じゃ。何としてもここであやつを討ち取るぞ!!」
「おう!!」




 ローズの発破に返事をした俺は、精神を研ぎ澄まして戦闘の出来る状態に心身を備えていく。
 オーキュペテークイーンは中空からまるでこの世界樹の支配者の様に俺達を見下ろしているが、ここで勝たなくては俺達の全てがここで終わってしまう。




『大丈夫ですよフーマ。貴方には史上最強の魔王とその第一の配下がついています。存分に戦いなさい』




 俺はそんなフレンダさんの優しい声を聞きながら、二振りの愛剣を引き抜いて炎の魔剣をオーキュペテークイーンに向けた。




「かかって来いよ。エセガラス」




 ガァァァアァァァァ!!!




 こうして、世界樹の隠されし迷宮王オーキュペテークイーンとの戦闘の火蓋が切って落とされた。



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