クラスごと異世界転移して好きな女の子と一緒に別行動していたら、魔王に遭遇したんですけど...
34話 舞の成長
風舞
俺達6人は何回かセーフティーゾーンで休憩をしながらも、昨日に引き続きグラズス山脈を貫く洞窟をひたすらにつき進んでいた。
かれこれ洞窟に入って30時間ぐらい経っているとは思うのだが、日の光が無く、戦闘を連続してこなすために腹を空かせない様にしているので、体感時間はあてにならない。
この洞窟を何回か使った事のあるユーリアくんの話によると、そろそろ道幅も広くなって出口も近くなってきているらしいんだが…。
「なぁ、道を間違えてたりはしないよな」
「うん。ついさっき看板もあったし、見覚えのある箇所もあるから道は合ってるよ。ただ、魔物が多すぎて予定よりも時間がかかっているみたいだね」
「マジか。流石にゴブリンと猪と猿を切り続けんのも飽きてきたんだけど」
「ああ。こうも連戦が続くといくら休憩を挟んでても疲れてくるよな。こう、精神的にくるっていうか、集中力がもたない」
ファルゴさんがゴブリンを切り飛ばしながらうんざりとした顔でそう言った。
確かに俺も剣筋が乱れてきてゴブリンすら一撃で倒せなくなってきてるし、このまま戦い続けたら剣も傷めてしまいそうな気がする。
ただ、団長さんやユーリアくん、それにローズと舞は、長時間の戦闘を経ても剣筋や魔法のコントロールが全くブレずにいた。
野生的で超人的な戦闘センスを持つ団長さんや、かなりの年長者であるユーリアくんやローズはともかく、いくら舞が幼少から戦闘訓練をしてきているとはいえ、俺と同い年なのにこうして長い間剣を鮮やかに振り続けられるのは純粋に尊敬する。
なんか、俺との決闘の後から戦闘中の舞の雰囲気がより一層しなやかで鋭くなった気がするんだよな。
もしかすると、あの決闘は舞にとって大きく成長する糧になっていたのかもしれない。
この調子なら、ソレイドに初めて行ったあたりに舞が自分で言っていたように、彼女が剣姫と呼ばれる日が来るんじゃないか?
そんな事を思いながら、最後の一匹を倒して一息つくと、既に戦闘を終えていた舞がタオルと水を持って俺の所へやって来た。
なんか後輩マネージャーみたいだな。
お疲れ様です先輩!  とか言ってくれるんだろうか。
「お疲れ様フーマくん。はい、タオルと美味しいお水よ」
「ああ、ありがとな。……ってどうかしたか?」
なんか舞が汗を拭く俺をじっと見つめている。
そんなにガン見されると恥ずかしいんですけど。
「ふふっ、なんでもないわ。ただ、もう何回もこのやり取りをしているのに、毎回場所が違うからか新鮮な気がして不思議に思っただけよ」
「そういうもんか?」
「そういうものよ」
舞がそう言いながら穏やかに微笑んだ。
お疲れ様です先輩!  とは言ってくれなかったけど、舞の機嫌が良さそうだし別に良いか。
そもそも舞はマネージャーってよりはキャプテンの方が似合う気がするし。
そんな事を思いながら、舞に見つめられて居心地の悪さを感じつつも水の入ったコップに口をつけていると、ローズが手についた血を拭いながら俺と舞の元へやってきた。
ローズはギフトで血の武器を出すと消耗するからという理由でこの洞窟に入ってからは徒手格闘術で戦っているため、今の戦いでもゴブリンの返り血がついたのだろう。
って、俺の服に血をこすりつけようとすんなよ。
「そういえば、マイムの剣気は最近ますます冴えてきたの」
「そうかしら?  自分ではよく分からない感覚ね」
「そうか?  俺には剣気とかよく分かんないけど、最近のマイムの戦いはなんかキレイな感じがするぞ」
「うむ。余計な力や油断が抜けて、集中とリラックスのバランスが上手く取れる様になってきておる。以前までのお主なら今みたいな長期間の戦闘では剣がもう少し鈍っておったじゃろうが、先ほどの戦闘を見る限りそうはなっておらんかったし、お主も日々強くなっている様じゃな」
「二人ともありがとう。そう言ってもらえると嬉しいわ。…さてと、それじゃあそろそろ先に進みましょうか」
舞が少し頰を赤く染めて照れ臭そうにしながら、ユーリアくんやファルゴさん達の方を振り返ってそう言った。
最近の舞は暇な時間はよく坐禅を組んだり素振りをしたりしていたし、日頃の努力の成果をこうして戦闘のプロフェッショナルであるローズに認められた事が嬉しかったのかもしれない。
今度俺も坐禅の組み方を教えてもらうか。
そんな事を考えながら、魔石を拾い集めていたファルゴさん達の方へ目を向けると、ちょうど俺と目が合った団長さんが大剣を背中に背負いながら笑顔で口を開いた。
「おう!  流石にこんな薄暗い所にいるのも飽きてきたし、ちゃっちゃと行こうぜ!」
「そうじゃな。これ以上ここにおっては暗い所の苦手なフーマが可愛いそうじゃしの」
「はいはい。それじゃあそんな俺のために魔物の感知任せたぞ」
「うむ。戦闘の前になったら教えてやるから、お主は安心して頭を働かせるが良いぞ」
「あいよ」
そうしてゴブリンの群れとの戦闘後の休憩を終えた俺達は、再び薄暗くて狭い洞窟を道なりに進み始めた。
さて、ユーリアくんの話によるともうすぐ道幅が広がり始めるらしいし、サイクロプスがいるであろう場所も近くなってきた。
ローズやユーリアくんに色々と質問をして対サイクロプス用の作戦を一応立ててはいるのだが、果たしてその作戦が本当にサイクロプスに通じるかは実際にやってみるまでは分からない。
ただ、今の俺に出来る事は少しでも勝率をあげるために小手先の策を何個も用意する事ぐらいだし、もうちょっとだけ考えてみるか。
そう思った俺は、前を歩くローズのつむじをぼんやりと眺めながら、ユーリアくんの魔法の明かりを頼りにてくてくと洞窟の中を歩いて行った。
◇◆◇
風舞
ユーリアくんの言うように道幅が急に広くなった洞窟を進む事およそ15分ぐらい。
案の定というか残念なことにというか、俺達は宿屋のおっさんの噂通りに洞窟の中でサイクロプスを見つけてしまった。
初めはローズと団長さんが何か大きな気配を掴んだと言ったのでまさかと思ったのだが、ユーリアくんとローズの二人で様子を見に行ったところ、どうやらサイクロプスで間違いなかったらしい。
ただ、流石に連戦の疲れもあるためにそのままサイクロプスと戦う事を避けたかった俺達は、一度通った道を少しだけ引き返し、途中で見つけたセーフティーゾーンで休憩をする事になった。
まぁ、主に俺の限界が近かったっていうのが大きな理由なんだけどな。
「はぁ、やっぱりいたよ」
「ええ。どうやらしっかりとフラグの回収をしたみたいね」
「ん?  フラグってなんだ?」
「あぁ、別に何でもないのよ。それよりも、予定ではサイクロプスと戦うみたいだったけれど、休憩した後はどうするのかしら?」
「俺としては出来れば戦闘を避けたいんだけど、素通りは出来ないのか?  サイクロプスだって寝ない訳じゃ無いんだろ?」
「うーん。ファルゴの言うようにサイクロプスの隙をついて目の前を素通り出来たら良いんだけど、多分出来ないと思うんだよね」
「ん?  なんでだ?」
「サイクロプスが妾達の道を塞ぐ様に地面に横たわっておった。上を飛び越えれば通れん事も無いんじゃが、魔力を使わずに音も立てずにとなるといささか厳しいものがあるじゃろうな」
「それじゃあ、ミレン達が見に行った時はサイクロプスは寝てたのか?」
「いや、目は空いてたから起きてたと思うよ。ただ、右腕が無くなってたからその回復に努めてるんだろうね」
「あら、右腕が無くなってるってどういう事かしら?」
「多分、エルフにやられたんじゃないか?」
サイクロプスは凶暴な魔物らしいし、エルフの里を見かけたらとりあえずで突っ込んで行きそうな気がする。
それで、襲いかかったところを魔法が得意なエルフ達に追っ払われたってところだろう。
洞窟の外なら魔法をばんばか打っても問題ないだろうし、多分この線で合ってる気がする。
「うん。僕とミレンさんもそう考えてたんだよ。おそらく、エルフの里に襲いかかったサイクロプスが手痛い反撃を受けてこの洞窟まで逃げて来たんだろうね」
「まったく、迷惑な話だな」
「ああ。戦うならちゃんと倒しといて欲しかったぜ」
石のソファに二人揃って腰かけながら、ファルゴさんと団長さんがうんざりした顔でそう言った。
まぁ、折角吹き飛ばすなら頭を飛ばしといて欲しかったよな。
「それもそうなんじゃが、そう言っておっても仕方ないじゃろ。むしろ、片腕と棍棒を失ってる分倒す好機であると考えるべきじゃろうな」
「ん?  棍棒も持ってなかったのか?」
「うん。近くにそれらしきものはなかったから、多分右腕と一緒に落としてきたんだろうね」
「へぇ、それじゃあ少しは楽に戦えそうだな」
「ほう、何か良い策でも思いついたのかの?」
「ああ。とはいっても俺の考えた作戦なんかなくても、右腕と棍棒のないサイクロプスなら普通に戦っても勝てそうな気がするけどな」
「いやいやいや。俺はサイクロプスと普通に戦いたくないからフーマの考えた策を教えてくれよ」
「そうですね。まぁ、とは言っても大した作戦じゃないんですけど…… 」
そうして、俺は自分の考えた作戦を皆に伝えて細かい箇所に修正をいただいた後で、舞と交代で眠りにつく事になった。
俺の考えた作戦は上手くいけばいいなというぐらいの気休め程度のものだが、まぁ、何もないよりはマシだろう。
後は、流石にローズとユーリアくんの話だけじゃ情報が少なすぎるから、もう少しサイクロプスについて知っておきたいんだけど、あの人は知ってるのかね。
俺はそんなことを考えながら目を閉じ、もうお馴染みとなった白い世界へと向かった。
俺達6人は何回かセーフティーゾーンで休憩をしながらも、昨日に引き続きグラズス山脈を貫く洞窟をひたすらにつき進んでいた。
かれこれ洞窟に入って30時間ぐらい経っているとは思うのだが、日の光が無く、戦闘を連続してこなすために腹を空かせない様にしているので、体感時間はあてにならない。
この洞窟を何回か使った事のあるユーリアくんの話によると、そろそろ道幅も広くなって出口も近くなってきているらしいんだが…。
「なぁ、道を間違えてたりはしないよな」
「うん。ついさっき看板もあったし、見覚えのある箇所もあるから道は合ってるよ。ただ、魔物が多すぎて予定よりも時間がかかっているみたいだね」
「マジか。流石にゴブリンと猪と猿を切り続けんのも飽きてきたんだけど」
「ああ。こうも連戦が続くといくら休憩を挟んでても疲れてくるよな。こう、精神的にくるっていうか、集中力がもたない」
ファルゴさんがゴブリンを切り飛ばしながらうんざりとした顔でそう言った。
確かに俺も剣筋が乱れてきてゴブリンすら一撃で倒せなくなってきてるし、このまま戦い続けたら剣も傷めてしまいそうな気がする。
ただ、団長さんやユーリアくん、それにローズと舞は、長時間の戦闘を経ても剣筋や魔法のコントロールが全くブレずにいた。
野生的で超人的な戦闘センスを持つ団長さんや、かなりの年長者であるユーリアくんやローズはともかく、いくら舞が幼少から戦闘訓練をしてきているとはいえ、俺と同い年なのにこうして長い間剣を鮮やかに振り続けられるのは純粋に尊敬する。
なんか、俺との決闘の後から戦闘中の舞の雰囲気がより一層しなやかで鋭くなった気がするんだよな。
もしかすると、あの決闘は舞にとって大きく成長する糧になっていたのかもしれない。
この調子なら、ソレイドに初めて行ったあたりに舞が自分で言っていたように、彼女が剣姫と呼ばれる日が来るんじゃないか?
そんな事を思いながら、最後の一匹を倒して一息つくと、既に戦闘を終えていた舞がタオルと水を持って俺の所へやって来た。
なんか後輩マネージャーみたいだな。
お疲れ様です先輩!  とか言ってくれるんだろうか。
「お疲れ様フーマくん。はい、タオルと美味しいお水よ」
「ああ、ありがとな。……ってどうかしたか?」
なんか舞が汗を拭く俺をじっと見つめている。
そんなにガン見されると恥ずかしいんですけど。
「ふふっ、なんでもないわ。ただ、もう何回もこのやり取りをしているのに、毎回場所が違うからか新鮮な気がして不思議に思っただけよ」
「そういうもんか?」
「そういうものよ」
舞がそう言いながら穏やかに微笑んだ。
お疲れ様です先輩!  とは言ってくれなかったけど、舞の機嫌が良さそうだし別に良いか。
そもそも舞はマネージャーってよりはキャプテンの方が似合う気がするし。
そんな事を思いながら、舞に見つめられて居心地の悪さを感じつつも水の入ったコップに口をつけていると、ローズが手についた血を拭いながら俺と舞の元へやってきた。
ローズはギフトで血の武器を出すと消耗するからという理由でこの洞窟に入ってからは徒手格闘術で戦っているため、今の戦いでもゴブリンの返り血がついたのだろう。
って、俺の服に血をこすりつけようとすんなよ。
「そういえば、マイムの剣気は最近ますます冴えてきたの」
「そうかしら?  自分ではよく分からない感覚ね」
「そうか?  俺には剣気とかよく分かんないけど、最近のマイムの戦いはなんかキレイな感じがするぞ」
「うむ。余計な力や油断が抜けて、集中とリラックスのバランスが上手く取れる様になってきておる。以前までのお主なら今みたいな長期間の戦闘では剣がもう少し鈍っておったじゃろうが、先ほどの戦闘を見る限りそうはなっておらんかったし、お主も日々強くなっている様じゃな」
「二人ともありがとう。そう言ってもらえると嬉しいわ。…さてと、それじゃあそろそろ先に進みましょうか」
舞が少し頰を赤く染めて照れ臭そうにしながら、ユーリアくんやファルゴさん達の方を振り返ってそう言った。
最近の舞は暇な時間はよく坐禅を組んだり素振りをしたりしていたし、日頃の努力の成果をこうして戦闘のプロフェッショナルであるローズに認められた事が嬉しかったのかもしれない。
今度俺も坐禅の組み方を教えてもらうか。
そんな事を考えながら、魔石を拾い集めていたファルゴさん達の方へ目を向けると、ちょうど俺と目が合った団長さんが大剣を背中に背負いながら笑顔で口を開いた。
「おう!  流石にこんな薄暗い所にいるのも飽きてきたし、ちゃっちゃと行こうぜ!」
「そうじゃな。これ以上ここにおっては暗い所の苦手なフーマが可愛いそうじゃしの」
「はいはい。それじゃあそんな俺のために魔物の感知任せたぞ」
「うむ。戦闘の前になったら教えてやるから、お主は安心して頭を働かせるが良いぞ」
「あいよ」
そうしてゴブリンの群れとの戦闘後の休憩を終えた俺達は、再び薄暗くて狭い洞窟を道なりに進み始めた。
さて、ユーリアくんの話によるともうすぐ道幅が広がり始めるらしいし、サイクロプスがいるであろう場所も近くなってきた。
ローズやユーリアくんに色々と質問をして対サイクロプス用の作戦を一応立ててはいるのだが、果たしてその作戦が本当にサイクロプスに通じるかは実際にやってみるまでは分からない。
ただ、今の俺に出来る事は少しでも勝率をあげるために小手先の策を何個も用意する事ぐらいだし、もうちょっとだけ考えてみるか。
そう思った俺は、前を歩くローズのつむじをぼんやりと眺めながら、ユーリアくんの魔法の明かりを頼りにてくてくと洞窟の中を歩いて行った。
◇◆◇
風舞
ユーリアくんの言うように道幅が急に広くなった洞窟を進む事およそ15分ぐらい。
案の定というか残念なことにというか、俺達は宿屋のおっさんの噂通りに洞窟の中でサイクロプスを見つけてしまった。
初めはローズと団長さんが何か大きな気配を掴んだと言ったのでまさかと思ったのだが、ユーリアくんとローズの二人で様子を見に行ったところ、どうやらサイクロプスで間違いなかったらしい。
ただ、流石に連戦の疲れもあるためにそのままサイクロプスと戦う事を避けたかった俺達は、一度通った道を少しだけ引き返し、途中で見つけたセーフティーゾーンで休憩をする事になった。
まぁ、主に俺の限界が近かったっていうのが大きな理由なんだけどな。
「はぁ、やっぱりいたよ」
「ええ。どうやらしっかりとフラグの回収をしたみたいね」
「ん?  フラグってなんだ?」
「あぁ、別に何でもないのよ。それよりも、予定ではサイクロプスと戦うみたいだったけれど、休憩した後はどうするのかしら?」
「俺としては出来れば戦闘を避けたいんだけど、素通りは出来ないのか?  サイクロプスだって寝ない訳じゃ無いんだろ?」
「うーん。ファルゴの言うようにサイクロプスの隙をついて目の前を素通り出来たら良いんだけど、多分出来ないと思うんだよね」
「ん?  なんでだ?」
「サイクロプスが妾達の道を塞ぐ様に地面に横たわっておった。上を飛び越えれば通れん事も無いんじゃが、魔力を使わずに音も立てずにとなるといささか厳しいものがあるじゃろうな」
「それじゃあ、ミレン達が見に行った時はサイクロプスは寝てたのか?」
「いや、目は空いてたから起きてたと思うよ。ただ、右腕が無くなってたからその回復に努めてるんだろうね」
「あら、右腕が無くなってるってどういう事かしら?」
「多分、エルフにやられたんじゃないか?」
サイクロプスは凶暴な魔物らしいし、エルフの里を見かけたらとりあえずで突っ込んで行きそうな気がする。
それで、襲いかかったところを魔法が得意なエルフ達に追っ払われたってところだろう。
洞窟の外なら魔法をばんばか打っても問題ないだろうし、多分この線で合ってる気がする。
「うん。僕とミレンさんもそう考えてたんだよ。おそらく、エルフの里に襲いかかったサイクロプスが手痛い反撃を受けてこの洞窟まで逃げて来たんだろうね」
「まったく、迷惑な話だな」
「ああ。戦うならちゃんと倒しといて欲しかったぜ」
石のソファに二人揃って腰かけながら、ファルゴさんと団長さんがうんざりした顔でそう言った。
まぁ、折角吹き飛ばすなら頭を飛ばしといて欲しかったよな。
「それもそうなんじゃが、そう言っておっても仕方ないじゃろ。むしろ、片腕と棍棒を失ってる分倒す好機であると考えるべきじゃろうな」
「ん?  棍棒も持ってなかったのか?」
「うん。近くにそれらしきものはなかったから、多分右腕と一緒に落としてきたんだろうね」
「へぇ、それじゃあ少しは楽に戦えそうだな」
「ほう、何か良い策でも思いついたのかの?」
「ああ。とはいっても俺の考えた作戦なんかなくても、右腕と棍棒のないサイクロプスなら普通に戦っても勝てそうな気がするけどな」
「いやいやいや。俺はサイクロプスと普通に戦いたくないからフーマの考えた策を教えてくれよ」
「そうですね。まぁ、とは言っても大した作戦じゃないんですけど…… 」
そうして、俺は自分の考えた作戦を皆に伝えて細かい箇所に修正をいただいた後で、舞と交代で眠りにつく事になった。
俺の考えた作戦は上手くいけばいいなというぐらいの気休め程度のものだが、まぁ、何もないよりはマシだろう。
後は、流石にローズとユーリアくんの話だけじゃ情報が少なすぎるから、もう少しサイクロプスについて知っておきたいんだけど、あの人は知ってるのかね。
俺はそんなことを考えながら目を閉じ、もうお馴染みとなった白い世界へと向かった。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
140
-
-
141
-
-
549
-
-
159
-
-
35
-
-
0
-
-
70810
-
-
26950
-
-
58
コメント