クラスごと異世界転移して好きな女の子と一緒に別行動していたら、魔王に遭遇したんですけど...
28話 従者予約
風舞
「あ゛あ゛ぁぁぁ。マジ朝風呂最高」
ソレイドを騒がしていた悪魔の叡智のボスであるアセイダルを倒した後、俺は5日間もの間眠っていたらしい。
まぁ、確かに結構長い間フレンダさんと遊んでいたし、それぐらい経っていてもあんまりおかしくない気がする。
因みに一番楽しかった遊びはお医者さんごっこだ。
ナース服が貧乳によく合うなんて初めて知った。
「しっかし、なんで俺は朝起きて直ぐにシルビアさんを抱きしめてたんだ?」
俺は舞にビンタされた頬をさすりながらそう呟いた。
起きるちょっと前にフレンダさんと別れて、何か夢を見ていた気がするがなんも思い出せない。
結構懐かしい感じがした気がするんだが。
「まぁ夢なんてそんなもんだよな」
俺は特に深く考えず、湯船から出て上がり湯を浴びた。
「それにしても、異世界に来て2週間もせずに2回も死にかけるって結構アホなことしてたなぁ」
俺は異世界に来てからの事を軽く振り返りながらそうぼやいた。
つい最近まで普通の男子高校生やってたのに、いきなりアップダウンが激しくなりすぎな気がする。
「功績だけを考えたら確かにすごいけど、濃い日々を送りすぎだろ。そりゃあ五日も寝込んで当然だわ」
「ふむ。確かに言われてみればそうじゃの」
「なぁ、お前はなんでそう全裸に自信をもてるんだ?」
俺の一人ごとに反応する声がしたから振り返ってみると、いつぞやのようにローズがなんでもない顔をして全裸でそこに立っていた。
「妾は至高なる魔王じゃからな。己の肉体に恥じるところなど一切ないのじゃ」
「あっそ。俺はもう出るから体は自分で洗えよ」
俺が今日は絶対にローズに流されて髪を洗ってやらないぞと思いながら脱衣所に素早く戻ると、黒いビキニ
を着た舞があわあわしながら立っていた。
「キャーー!!  舞さんのエッチィィ!!」
ローズが突入した時から風呂場にタオルを持ち込むようにしていたため、隠すべきところは隠せているが、なんとなくそう叫んでみた。
なんかこう、様式美的なあれだよ。
「ち、違うのよ風舞くん。これはその、覗きとかではなくて、ただ風舞くんと一緒にお風呂に入りたかっただけで…その、別にやましい気持ちがあったとかじゃ無きにしも非ずにも非ざるけりなむなんやっていうか」
「へぇ、そう。それじゃあごゆっくり」
舞が目をぐるぐる回して意味のわからない言い訳を始めたため、それを軽く流した俺は着替えを持って脱衣所を後にした。
俺は当分は穏やかな日々を暮らすと決めたのだ。
確かに舞との混浴なんてそんなステキイベントを逃すのもどうかと思わなくもないが、このペースで毎日山あり谷ありしてたら間違いなく早死にする。
ここは健康な人生の為に我慢だ我慢。
俺がそんな感じでクールな男を演じながら着替えを片手にバスタオルを腰に巻いて廊下を歩いていると、アンさんがヨタヨタと歩いているのを見つけた。
「おい、寝てなくて大丈夫なのか?」
「あ、フーマ様。うん。近頃は美味しい食事も食べさせてもらってるし、ボタンさんが体の中の魔力を全部シルちゃんの魔力に入れ替えてくれたとかで、少し調子が良いの」
アンさんがそう言って子供らしい笑顔でニコっと笑った。
確かアンさんは体の中で魔力を作れなくて、それを身体がなんとかしようとして魔力を周囲から吸収して拒絶反応をおこしているらしいから、それを一種類で代替すれば拒絶反応を緩和できるって感じか。
花粉症もスギ花粉とハウスダストとかを両方吸うから酷くなるのであって、空気が綺麗な田舎に行けばそう酷くならないって誰かが言ってた気がする。
多分ボタンさんがやったのはそんな感じの事だろう。
「そうか。でもまだ本調子じゃないんだから動きすぎるなよ」
「うん。ありがとう。でも、ちょっとお水を飲みに行った帰りだから大丈夫だよ」
そんな感じでアンさんと立ち話に興じていると、寝起きの俺に抱き着かれてからずっと放心状態になっていたシルビアさんがいつの間に復帰したのか俺達のところへやって来た。
「もうアン。勝手に出歩いちゃダメでしょ。ってフーマ様!?  どうして服を着ていないのですか?」
「どうしてって風呂上りだからだろ?」
「そうだよシルちゃん。お風呂は服を脱いでから入るんだよ?」
「そ、そういう事を言っているのではありません!」
俺がなんとなくシルビアさんをからかってみると、アンさんも便乗してシルビアさんに冗談を言った。
この子、なかなかできるな。
よし、もう少し続けてみるか。
「じゃあ、何が問題なんだ?」
「そうだよシルちゃん。まさか憧れのフーマ様のこのうっすらと割れた腹筋が眩しいの?」
アンさんがそう言って俺の腹筋をつんつんとつつく。
日本にいた頃は帰宅部だったけどそれなりに運動はしていたし、一応毎日筋トレをしてたから筋肉はそれなりにある方だと思う。
とはいえ、プロテインを飲んでたりはしてなかったから、うっすらと分かるぐらいしかないんだけど。
「ち、違います!  もうアン!  フーマ様に失礼ですよ!」
「えぇ~?  違うの~?  フーマ様の腹筋こんなにカチカチで触り心地良いのにぃ?」
「よせやい。照れるじゃねぇか。どうだ?シルビアさんも触ってみて良いんだぞ?」
俺はアンさんの華麗なるコーナーキックをしっかりとトラップし、セクハラオヤジみたいな事を言ってシルビアさんの守るゴールへ強烈なシュートを放った。
「えぇ!?  い、良いんですか?  そ、それじゃあ少しだけ。で、でも私はフーマ様の従者。マイム様を差し置いてこのような出すぎた真似は」
シルビアさんが頭を抱えてうんうん唸り始めた。
どうやら自分の中で何かと何かが葛藤をしているらしい。
俺はそんなシルビアさんを眺めながらアンさんに話を振ってみた。
「なぁ、シルビアさんって俺の従者なのか?」
「違うの?  シルちゃんはフーマ様の従者になったって言ってたよ?」
「別に俺はシルビアさんを従者にした覚えはないし、二人にはパン屋があるだろ?  シルビアさんは遊びで従者って言ってる訳じゃなさそうだし、そっちはどうすんだ?」
「うーん、私はシルちゃんと一緒に暮らせるなら何でもいいかな。パン屋を始めたのだって私がパンを沢山食べたいから始めただけだしね」
「へぇ、そんな理由だったのか」
「うん。だからシルちゃんがフーマ様の従者になっても全然大丈夫かな。フーマ様は優しい人みたいだしね」
アンさんは俺の横であわあわしているシルビアさんを眺めながらそう言った。
ローズよりも背が低くて年だって俺より1つ下なのに結構しっかりしてんだな。
俺は素直に感心した。
「あ、そうだ。私にさんは付けなくていいよ。どうせ私もフーマ様の従者にしてもらうんだからこのままじゃ変だしね。それに、さんなんて付けて呼ばれた事あんまり無いから違和感が凄いんだよ」
「まぁそれはいいけど、アンも俺の従者になんの?」
「うん。そのつもりだよ?」
「俺給料払えないし、借金もあるぞ?」
「そうなの?  因みにどのくらい?」
「えーっと、大金貨5枚だったかな」
「それってレイズニウム公国の大金貨だよね?」
「ん?  よくわかんないけど多分そうだぞ?」
「マジかー」
「マジだな」
俺が頷きながらそう言うと、アンは目頭を指で抑えつつ斜め上にあるのだろう現実を見つめた。
ボタンさんに正装を買ってもらった時のお金はまだ全然返せてないから借金は大金貨5枚あるし、ローズに養ってもらっている分のお金を渡しているから貯金もほとんど無い。
なんとかして金を稼がないとな。
「はぁ、それじゃあ私は自分の病気が治るまで保留にしとくよ。今従者になるって決めても碌に働けないしね」
「おー、そん時までになんとか借金を返済しとくわ」
「まぁ、期待せずに待ってるよ。それじゃあ私はそろそろベッドに戻るね」
「ああ、それじゃあ俺も部屋に戻るか。流石にこの格好じゃ冷えるからな」
「それじゃあねー。あ、私達を助けてくれてありがと。私、フーマ様とは結構仲良くやってけそうだよ」
「あいよ。俺もアンとはいい感じでやってけそうだ。これからもよろしくなー」
「はーい。こちらこそ〜」
そんな感じで俺とアンはなんとなく互いに親近感を感じながらそれぞれの部屋へと戻って行った。
そういえばシルビアさんはずっとぶつぶつ呟いて、途中から煩悩退散とか言って壁に頭を打ち付けてたな。
大丈夫だろうか。あの壁。
「あ゛あ゛ぁぁぁ。マジ朝風呂最高」
ソレイドを騒がしていた悪魔の叡智のボスであるアセイダルを倒した後、俺は5日間もの間眠っていたらしい。
まぁ、確かに結構長い間フレンダさんと遊んでいたし、それぐらい経っていてもあんまりおかしくない気がする。
因みに一番楽しかった遊びはお医者さんごっこだ。
ナース服が貧乳によく合うなんて初めて知った。
「しっかし、なんで俺は朝起きて直ぐにシルビアさんを抱きしめてたんだ?」
俺は舞にビンタされた頬をさすりながらそう呟いた。
起きるちょっと前にフレンダさんと別れて、何か夢を見ていた気がするがなんも思い出せない。
結構懐かしい感じがした気がするんだが。
「まぁ夢なんてそんなもんだよな」
俺は特に深く考えず、湯船から出て上がり湯を浴びた。
「それにしても、異世界に来て2週間もせずに2回も死にかけるって結構アホなことしてたなぁ」
俺は異世界に来てからの事を軽く振り返りながらそうぼやいた。
つい最近まで普通の男子高校生やってたのに、いきなりアップダウンが激しくなりすぎな気がする。
「功績だけを考えたら確かにすごいけど、濃い日々を送りすぎだろ。そりゃあ五日も寝込んで当然だわ」
「ふむ。確かに言われてみればそうじゃの」
「なぁ、お前はなんでそう全裸に自信をもてるんだ?」
俺の一人ごとに反応する声がしたから振り返ってみると、いつぞやのようにローズがなんでもない顔をして全裸でそこに立っていた。
「妾は至高なる魔王じゃからな。己の肉体に恥じるところなど一切ないのじゃ」
「あっそ。俺はもう出るから体は自分で洗えよ」
俺が今日は絶対にローズに流されて髪を洗ってやらないぞと思いながら脱衣所に素早く戻ると、黒いビキニ
を着た舞があわあわしながら立っていた。
「キャーー!!  舞さんのエッチィィ!!」
ローズが突入した時から風呂場にタオルを持ち込むようにしていたため、隠すべきところは隠せているが、なんとなくそう叫んでみた。
なんかこう、様式美的なあれだよ。
「ち、違うのよ風舞くん。これはその、覗きとかではなくて、ただ風舞くんと一緒にお風呂に入りたかっただけで…その、別にやましい気持ちがあったとかじゃ無きにしも非ずにも非ざるけりなむなんやっていうか」
「へぇ、そう。それじゃあごゆっくり」
舞が目をぐるぐる回して意味のわからない言い訳を始めたため、それを軽く流した俺は着替えを持って脱衣所を後にした。
俺は当分は穏やかな日々を暮らすと決めたのだ。
確かに舞との混浴なんてそんなステキイベントを逃すのもどうかと思わなくもないが、このペースで毎日山あり谷ありしてたら間違いなく早死にする。
ここは健康な人生の為に我慢だ我慢。
俺がそんな感じでクールな男を演じながら着替えを片手にバスタオルを腰に巻いて廊下を歩いていると、アンさんがヨタヨタと歩いているのを見つけた。
「おい、寝てなくて大丈夫なのか?」
「あ、フーマ様。うん。近頃は美味しい食事も食べさせてもらってるし、ボタンさんが体の中の魔力を全部シルちゃんの魔力に入れ替えてくれたとかで、少し調子が良いの」
アンさんがそう言って子供らしい笑顔でニコっと笑った。
確かアンさんは体の中で魔力を作れなくて、それを身体がなんとかしようとして魔力を周囲から吸収して拒絶反応をおこしているらしいから、それを一種類で代替すれば拒絶反応を緩和できるって感じか。
花粉症もスギ花粉とハウスダストとかを両方吸うから酷くなるのであって、空気が綺麗な田舎に行けばそう酷くならないって誰かが言ってた気がする。
多分ボタンさんがやったのはそんな感じの事だろう。
「そうか。でもまだ本調子じゃないんだから動きすぎるなよ」
「うん。ありがとう。でも、ちょっとお水を飲みに行った帰りだから大丈夫だよ」
そんな感じでアンさんと立ち話に興じていると、寝起きの俺に抱き着かれてからずっと放心状態になっていたシルビアさんがいつの間に復帰したのか俺達のところへやって来た。
「もうアン。勝手に出歩いちゃダメでしょ。ってフーマ様!?  どうして服を着ていないのですか?」
「どうしてって風呂上りだからだろ?」
「そうだよシルちゃん。お風呂は服を脱いでから入るんだよ?」
「そ、そういう事を言っているのではありません!」
俺がなんとなくシルビアさんをからかってみると、アンさんも便乗してシルビアさんに冗談を言った。
この子、なかなかできるな。
よし、もう少し続けてみるか。
「じゃあ、何が問題なんだ?」
「そうだよシルちゃん。まさか憧れのフーマ様のこのうっすらと割れた腹筋が眩しいの?」
アンさんがそう言って俺の腹筋をつんつんとつつく。
日本にいた頃は帰宅部だったけどそれなりに運動はしていたし、一応毎日筋トレをしてたから筋肉はそれなりにある方だと思う。
とはいえ、プロテインを飲んでたりはしてなかったから、うっすらと分かるぐらいしかないんだけど。
「ち、違います!  もうアン!  フーマ様に失礼ですよ!」
「えぇ~?  違うの~?  フーマ様の腹筋こんなにカチカチで触り心地良いのにぃ?」
「よせやい。照れるじゃねぇか。どうだ?シルビアさんも触ってみて良いんだぞ?」
俺はアンさんの華麗なるコーナーキックをしっかりとトラップし、セクハラオヤジみたいな事を言ってシルビアさんの守るゴールへ強烈なシュートを放った。
「えぇ!?  い、良いんですか?  そ、それじゃあ少しだけ。で、でも私はフーマ様の従者。マイム様を差し置いてこのような出すぎた真似は」
シルビアさんが頭を抱えてうんうん唸り始めた。
どうやら自分の中で何かと何かが葛藤をしているらしい。
俺はそんなシルビアさんを眺めながらアンさんに話を振ってみた。
「なぁ、シルビアさんって俺の従者なのか?」
「違うの?  シルちゃんはフーマ様の従者になったって言ってたよ?」
「別に俺はシルビアさんを従者にした覚えはないし、二人にはパン屋があるだろ?  シルビアさんは遊びで従者って言ってる訳じゃなさそうだし、そっちはどうすんだ?」
「うーん、私はシルちゃんと一緒に暮らせるなら何でもいいかな。パン屋を始めたのだって私がパンを沢山食べたいから始めただけだしね」
「へぇ、そんな理由だったのか」
「うん。だからシルちゃんがフーマ様の従者になっても全然大丈夫かな。フーマ様は優しい人みたいだしね」
アンさんは俺の横であわあわしているシルビアさんを眺めながらそう言った。
ローズよりも背が低くて年だって俺より1つ下なのに結構しっかりしてんだな。
俺は素直に感心した。
「あ、そうだ。私にさんは付けなくていいよ。どうせ私もフーマ様の従者にしてもらうんだからこのままじゃ変だしね。それに、さんなんて付けて呼ばれた事あんまり無いから違和感が凄いんだよ」
「まぁそれはいいけど、アンも俺の従者になんの?」
「うん。そのつもりだよ?」
「俺給料払えないし、借金もあるぞ?」
「そうなの?  因みにどのくらい?」
「えーっと、大金貨5枚だったかな」
「それってレイズニウム公国の大金貨だよね?」
「ん?  よくわかんないけど多分そうだぞ?」
「マジかー」
「マジだな」
俺が頷きながらそう言うと、アンは目頭を指で抑えつつ斜め上にあるのだろう現実を見つめた。
ボタンさんに正装を買ってもらった時のお金はまだ全然返せてないから借金は大金貨5枚あるし、ローズに養ってもらっている分のお金を渡しているから貯金もほとんど無い。
なんとかして金を稼がないとな。
「はぁ、それじゃあ私は自分の病気が治るまで保留にしとくよ。今従者になるって決めても碌に働けないしね」
「おー、そん時までになんとか借金を返済しとくわ」
「まぁ、期待せずに待ってるよ。それじゃあ私はそろそろベッドに戻るね」
「ああ、それじゃあ俺も部屋に戻るか。流石にこの格好じゃ冷えるからな」
「それじゃあねー。あ、私達を助けてくれてありがと。私、フーマ様とは結構仲良くやってけそうだよ」
「あいよ。俺もアンとはいい感じでやってけそうだ。これからもよろしくなー」
「はーい。こちらこそ〜」
そんな感じで俺とアンはなんとなく互いに親近感を感じながらそれぞれの部屋へと戻って行った。
そういえばシルビアさんはずっとぶつぶつ呟いて、途中から煩悩退散とか言って壁に頭を打ち付けてたな。
大丈夫だろうか。あの壁。
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