もふもふ好きの異世界召喚士

海月結城

領主就任

 ウミが帰って来て、その顔はとても疲れている様に見えた。その隣にいるミリアは肌が艶々していてスッキリとした表情をしている。

「えっと、ウミ、お疲れ様」
「う、うむ。ちょっと休ませてくれ」
「うん。寝てな」
「助かる」

 そう言って、ウミはフラフラと歩きながら泊まっている家に帰って行った。

「おーい。ご主人!!」
「ん? セイラ?」

 久しぶりの登場だ。セイラはエルフの森が心地良くて『風になって』森を漂っていた。そんなセイラが精霊の姿に戻って俺の元に戻ってきた。

「ご、ご主人のお父さんが!!」
「っえ!? ど、どうしたの!?!?」
「……倒れたって」
「え!?!? それ本当!?!?」
「うん。ご主人の近くにいる私の部下の風の精霊からだから間違い無いよ」
「早く帰らないと!!」
「待って!」
「何、ミリア?」
「帰るなら、一応エルフ長に挨拶してた方が良いかも」
「うん。分かった。身近い間だったけど楽しかったよ」

 そして、俺とクロとルルとセイラそれとモフラで、エルフ長の家に向かった。あの長い階段はルルに乗って木を登って行った。人生で初めての木を登る体験、ちょっと楽しかった。
 そんな事は置いておいて、扉を開けて中に入った。

「すみません。失礼します」
「おぉ、来たか」
「あれ? 知ってたんですか?」
「まぁな。それで、帰るんだろ?」
「はい」
「だったら、最後に君に言いたい事がある」
「? なんですか?」
「君は次の領主になるのだろ? だったら、民の目線になって領地を運営するんだ。さすれば、勝手に言い領主に領地になる。肝に銘じておくんだぞ」
「はい!」

 そして、エルフ長の家を後にしてウミがいるメアルさん宅に向かった。

「メアルさん。居ますか?」
「どうした?」
「いきなりですが。お世話になりました」
「ん? 本当いきなりだな」
「はい。父様が倒れたみたいなんです」
「何!? だったら早く帰りなさい!!」
「本当に今までお世話になりました。また、来たときに絶対にお礼しに帰ってきます!! ウミ!! 帰るよ」
「う、うむ。分かっておる」

 荷物をまとめてエルフの森を後にした。
 エルフの森は意外にも父様の領地の隣だった。これは、帰ってから気が付いた。

 そして、もの凄く久しぶりに家に帰ると妹のモカが出迎えてくれた。

「ひさしぶりだなモカ」
「お帰りなさいです!! お兄様!!」
「それで、父様は?」
「部屋で寝てます」

 父様の部屋の前まで行くと、メイドや執事の皆さんが部屋の前で心配そうに部屋を見ていた。

「すみません。ちょっと通して下さい」
「い、イサミ様!!」

 1人の執事の言葉にみんなが一本の道を作ってくれた。

「父様。母様。失礼します」

 部屋の中に入ると父様がベットで寝ており、母様が側で椅子に座っていた。

「久しぶりね、イサミ」
「お久しぶりです。それで、父様は?」
「うん。医師の話によれば山場は超えた。様です。けれど、少し呼吸が浅いの」
「そう……ですか」

 父様が寝ているベットに近づくと、父様が目を開けた。

「父様」
「……おう、イサミか」
「お久しぶりです」
「……あぁ、久しぶりだな」

 父様は見るからに衰弱していた。

「……イサミ。この領地を民たちをよろしく頼む」
「な、何を言ってるんですか!? 父様はまだ、現役です!!」
「……この国を頼む」
「と、父様!?!? 母様、どうにか助けられないんですか!?」
「……それが、もうダメ……みたいです」
「そんな。どうすれば……」

 何か、せめて父様がこの領地の行き先を見られるぐらいに……どうにか……。

「っ!? そうだ。父様。ちょっと失礼します」

 そして、僕は今まで殆ど使ったことのない魔法を使った。

「回復」

 俺の魔法で適性が一番高い魔法。それを父様に使った。

 すると、みるみると顔色が良くなった。

「お、おぉ。凄い、体が軽くなった」

 そして、ベッドから立ち上がろうとするとガクッと膝から崩れ落ちてしまった。

「父様!?!?」
「あなた!!」
「あはは、す、すまん。ちょっと力が……」

 もう一度立ち上がろうとするが、それでもダメだった。

「な、なんでだ? 足に力が……」

 その後、父様は足に力が戻る事はなかった。

「それじゃ、これからはお前の時代だ。頼むぞ。新領主様」

 そして、俺の旅は終わりを迎え。新たに領主の道が始まった。


今まで「もふもふ好きの異世界召喚士」を見て頂きありがとうございました。今回で書きたい事を書き終えたので完結します。ミルさんや他の人たちがどうなったかは皆さんのご想像にお任せします。
 と、言うことで2度目になりますが今までありがとうございました。

 また、何処かでお会いしましょう。

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