もふもふ好きの異世界召喚士

海月結城

会場到着

 バスアの会場は三国の中心の森に石で作られた会場の様だ。

「いやー、歩いた歩いた」
「お前は歩いてないだろ」

 会場に向かう前に、レイドがいきなりこんな事を提案して来た。

「なぁ、イサミ。じゃんけんしないか?」
「じゃんけん? なんで?」
「じゃんけんで勝ったら、イサミの契約獣のシルバーウルフに乗れるって事だよ」
「なるほどね。ルルは良い?」
「良いですよ!」
「よし、じゃ、やるぞ」
「「最初はぐー! じゃんけん……」」

 そして、会場に行くまでにも何回かじゃんけんしたが、全部僕が勝った。

「クッソー!! なんで勝てないんだよ!!」
「それはだな。俺の運がカンストしてるからだよ」
「カンスト?」
「あー、そうだね。運が極限まで上がってるって事だよ」
「なるほどね。それがカンスト。・・・は? え? まって、意味が分からない。いや、分かるけど、まじで言ってるの?」
「うん。まじだよ」
「なるほどな。それじゃ勝てないわけだ」
「ルルも、お疲れ様」
「さて、着いたし何する?」

 会場に着いたは良いけど、リュメル達の試合はまだ先なので、少し時間が空いていた。

「その前に、やりたい事があるんだけど良い?」
「おう。もちろん良いぞ」
「それじゃ、クロ、ルル、モフラ、ウミ。ちょっと良い?」

 僕の召喚獣を呼び出し、とある事を提案した。

「これから数週間。ここで過ごすんだ。それで、僕はここで戦いを観戦してるんだけど、みんなは暇だと思うから、この期間限定で好きなところに行ってて良いよ。ただ、何か緊急事態が起きたら呼び戻すと思うから、そこだけはお願い。それ以外は、本当にどこに行ってても良いよ」
「それは、捨てるわけではないんだよな?」
「捨てる? なんで? 家族を捨てたりなんかしないよ」
「そうか。分かった。我はそれで良いぞ」
「お兄ちゃんがそう言うなら僕も良いよ」
「私は、主人と一緒に居るから関係無いわね」
「そうだな。妾は少し行きたいところがあるからな。賛成だ」
「よし、それじゃみんなまた会おうね」

 そして、期間限定だけど僕たちは解散した。

「良いのか?」
「うん。偶にはこういうのもありかなって思ったんだ」
「そうか。なら、何も言わないよ」
(はぁ、ったく、なんて顔してるんだよ。少し泣きそうじゃないか)

 イサミは気付いてないが、他の人から見たら泣きそうなほど悲しんでいる顔をしている。

「……じゃ、行こうか」

 それぞれが見えなくなるまでイサミは、クロ、ルル、ウミの三体を見送った。

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