もふもふ好きの異世界召喚士

海月結城

武器適正検証〜1〜

 メイさんの顔の真横を通って奥の壁に突き刺さった剣。

「えっと、大丈夫ですか?」
「だ、ダイジョウブ」
「……すみません」

 メイさんは真っ青の顔で固まったまま動かない。
 僕は、その剣を抜く為にそれに近づく。

「よし、ふんっ!!!」

 壁に足をつけて、勢いをつけて引っ張る。

「ん、んん、ぬけ、ない。ど、りゃぁぁぁ!!!」

 壁に突き刺さった剣はびくとも動かない。

「ちょ、ちょっと私たちでやるよ?」

 ミルさんがそう言って近づいて来た。その時、びくとも動かなかった剣が勢いよく抜けた。
 その、勢いのまま後ろに剣が飛んで行った。

「いった。また飛んで行った」

 飛んで行った後ろにはメイさんとミルさんが立っている。
 そして、後ろに飛んで行った剣がミルさんの左側を通り、ミルさんの右側を通りその奥の壁に突き刺さっている。

「あ、あれ?」
「わざと? ねぇ、わざとやってるの?」
「い、いや、そんな事は……」
「「私たちの事嫌いなの??」」
「嫌いじゃないよ」
「じゃあ、なんでこんなことするの? わざとじゃないなら、偶然私たちの顔の隣を通って壁に刺さるの?」
「いや、ほら、僕の武器適性-100だしさ」

 僕がそう言うと、ミルさん達は黙ってしまった。

「それじゃ、剣の試験の真似は終わらして、武器適正-100がどんな感じなのか検証しましょう!」

 確かに、気になる。今まで気にはなってたけど、怖くて武器を持ってなかったからな。

「うん。やろう!!」

 そして、僕の武器適性検証が始まった。

「イサミくん。まずはその場で剣を振ってみて」
「うん。分かった」

 壁に刺さっていた剣を抜いてもらい、その場で剣を振るう。

「ふん!」
「あら? 普通に振るえるのね」
「う、うん」
「「じゃあ、さっきのはわざと??」」
「ち、違うよ!!」

 後ろを振り向いたと同時に、僕の手から武器が手から飛んでいった。

「もう、またやった」
「ご、ごめんなさい」
「イサミくん」
「はい」
「包丁は普通に使えるのよね?」
「使えますよ」
「なんで?」
「え?」
「なんで、包丁は使えるの?」
「なんでって、包丁は武器じゃないですから」
「・・・」
「「「それよ!!!」」」

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