もふもふ好きの異世界召喚士

海月結城

王都

 王都に入った僕は、先ずギルドに向かった。

「今日は何のご用でしょうか?」
「クロウリンから移動して来たので、それの報告に」
「そうですか。このギルドも、クロウリンのルールと変わりませんので、説明は不要ですね」
「はい」
「それでは、良い冒険者ライフを」

 そう言って、受付の人は僕の事を見送った。

「クロ、何してる?」
「ん、通信のスキルか。我は、ちょいと、この街を見て回って来る」
「分かった。モフラとルルは?」
「んー、ご主人と一緒〜」
「クロに着いて行く」

 最近分かったことがある。通信のスキルは喋らなくても大丈夫なんだよ。それに距離が離れていても、通信が出来るんだ。その分、魔力の消費は上がるけど。

「それじゃ、ルル。どこか宿屋を探そうか」
「ワフッ!」
「クロ、モフラの事よろしくね」
「にゃー」

 モフラは、クロの毛と同じ色に変色し、背中に乗って走っていった。

「……モフラって変色出来たんだ」

 僕でも知らない事があり、まだまだ、家族の事を知れてないなと、思った。

 宿屋を見つけた僕たちは、ルルの散歩もかねて、王都を見て回る事にした。

「王都だけあって、活気あるんだよな」

 ケイレードの街は国境の近くという事もあり、他国との戦争に備えて武器や鉱石、そういった物で商売をしているので、活気と言うよりも殺伐とした雰囲気がある。

「この旅の終わりは、何かを得たらなんだよね。何か持って帰らないと!」

 そして、陽は傾き夕方になった。

「クロ。起きてるか?」
「……」

 通信スキルで語りかけてみるが、返事がない。

「寝てるのか。しょうがない待ってるか」

 僕は、ルルと一緒にご飯を食べ、宿屋の部屋でゆったりしていた。

「んー、クロは猫だからな。今日は帰ってこないかな?」
「ワフ?」
「クロ達、今日は帰ってこないかもな〜」
「そんな〜、あ、そしたら、今日はご主人を独り占めだ〜!」

 ルルは、そう言って突っ込んで来た。

「そうだな、今日はルルをずっともふもふするぞ〜」
「わーい! もふもふ気持ちいい!」

 そして、もふもふしてる時に気付いた。

「ルル、ちょっと大きくなったよな」
「え? そうかな?」
「うん。目線がちょっと上がった気がする」
「えへへ、嬉しいな〜。早く大人になってご主人達を背中に乗せるんだ」
「おお、そうかそうか。楽しみだな」

 結局、クロ達は帰ってこなかったので、ルルと一緒に一夜を過ごした。
 次の日、クロ達と会ったのはギルド前だった。

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