もふもふ好きの異世界召喚士

海月結城

新スキル

 クロを召喚してから2年の時が経った。その間に1つのスキルを習得した。

「契約スキル……か」

 7年間この世界で生きてきて初めてのスキルだ。

「使ってみたい!!」

 僕が住んでいる屋敷の近くには大きめな森が存在している。
 父様にも、母様にもまだ入っちゃダメって言われたけど、そこじゃないと魔物が出てこないので契約スキルも役に立たない。
 と、言うことで、森にやって来た。

「初めて、父様と母様の言いつけを破っちゃったな。ま、奥までは入らないから良いかな」

 森の入り口にやって来た。

「……クロ、行くぞー」
「にゃー」

 そして、森に入ると雰囲気が異様だった。
 言葉で表すのが難しいがーー

「なんか、怖い」
「……」
「クロ?」

 クロも俺の頭の上で周りを警戒していた。
 それから少しの時間が経つ。周りを警戒していた為、まだ入り口が見える位置に僕たちはいた。
 その時、近くの茂みからガサゴソと音が聞こえた。
 何か居る!?

「クロ、少し離れよう」
「にゃ」

 クロも小さく鳴き、肯定をしてくれた。そして、茂みを見ながら後ろ向きで入り口に向かって歩いていく。その時だった。
 茂みから何かが飛び出して来た!!

「クロ! 逃げるよ!!」

 僕は、入り口の方に向かって走っていく。けれども、元からあまり動かない俺が足場の悪い森の中を早く走れる訳もなく、茂みから出てきた何かが体当たりして来た。

「うっ!? ん、んん? 痛くない?」

 そして、僕はやっとそいつを目にした。そいつは、握り拳ほどの大きさの白色の毛玉だった。

「なんだ、こいつ?」

 僕はそいつを摘み上げてみた。

「キュル!」
「うわっ! 鳴いた!?」

 僕は、びっくりして離してしまった。すると、何故かそいつは俺の手のひらに乗って来た。

「……もしかして!?」

 そいつを連れて自室へと戻った。そして、契約スキルを使ってみることにした。

「ん? 契約スキルってどう使うんだ? よく言われるのは名前を付けたらだけど、それは召喚スキルで初めて召喚された時だもんな」

 僕は、初めて使うスキルをどう使うのか悩んでいた。

「後は、魔力を流すとか?」

 そいつを手のひらに乗せて契約スキルを発動した。

「僕の魔力を流す!」

 すると、魔力がみるみるそいつの体に入っていく。

「お、契約成功かな?」

 僕はステータスプレートを確認するとそこには、契約スキルと一緒に契約獣の欄に幸運スライムと書かれていた。

「こいつ、こんなもふもふしてるのにスライムなのか。名前付けたらクロみたいに名前の欄変化するかな? よし、もふもふなスライムか……よし、もふもふスライム略して『モフラ』だ!」

 ステータスプレートを確認してみると、幸運スライムがモフラに変わっていた。
 そして、お昼ご飯の時僕は両親にこっぴどく叱られてしまった。

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