巻き込まれ系男爵令嬢は苦労する

こうじ

幼馴染の本音を聞きます

「あ、でも私からは話しかけられないですよ。」
「それだったら、機会を作ってあげるよ。」
 そう言って翌日、シュナイド様主催によるお茶会が行われました。
 しかも、私達見習いを含むメイド達も参加。
 流石は王子様……。
 そんな訳で私はテーちゃんを探していると会場の隅にいた。
「テーちゃん! こんな隅の所で何してるの?」
「アーちゃん……、私あんまりこういうお茶会て得意じゃなくて。」
「じゃあ、ちょっと向こうに行こう!」
 そう言って私はテーちゃんを会場から連れ出した。

 私達は会場から離れた中庭のベンチにやって来た。
「相変わらず、アーちゃんは強引だね……。」
「まぁまぁ、二人きりでしか話せない事もあるでしょう。」
「……アーちゃんには隠し事出来ないね。」
 そう言うとテーちゃんはポツリポツリと話し始めた。
 テーちゃんがシュナイド様の婚約者になったのは私と出会った5歳の時、実は婚約者になる前の最後の家族旅行として、私の実家の近くの別荘に来ていたのだ。
 と言ってもテーちゃんの両親はテーちゃんをほっといてどっかに行っていて別荘ではテーちゃんただ一人。
 勿論、メイドさんとかもいたらしいがやる事があってテーちゃんの相手をしている暇は無かった。
 テーちゃんは別荘を抜け出し一人で遊んでいた時に私と出会った。
「あの時が一番楽しかった。アーちゃんといると毎日が刺激的で初体験で色んな事が起こって……。」
 私が連れ出して色々やらかしたからねぇ……。
 その後、王族教育が始まったんだけど5歳の少女にはやはりきつかったらしい。
「何度か逃げ出したい、て思った。お城でも家族にも私の味方はいなかった……。次第に周りが全員敵に見えてきて……、感情を出すのが苦手になって来たの。」
「シュナイド様は? 婚約者でしょ?」
「忙しい方だから……、あの方はもてるしひょっとしたら私の事なんか好きじゃないかもしれないし。」
「テーちゃん! 悪い癖出てるっ!」
 テーちゃんは一人で考え込む事がある。
「前も言ったけどテーちゃんは本音を出さな過ぎるんだよ、人の目を気にしすぎ。言葉に出して伝えないと伝わらないよ。少なくともシュナイド様はテーちゃんの事は大切に思っているし私はテーちゃんの味方! それだけは信じてっ!!」
「ありがとう……、アーちゃんと再会できて本当に良かったよ。」
 そう言ってテーちゃんはポロポロと泣いていた。

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