巻き込まれ系男爵令嬢は苦労する

こうじ

王子様に呼び出されました

「じゃあ、アーリスさんとテレシア様は小さい頃に一緒に遊んだ仲なのね?」
「はい、夏の短い間でしたが、二人で野山を駆け回って川で魚釣り、森で虫取をした仲です。」
 再会でテンションが上がりテーちゃんと手を取り合いキャッキャッとしたけどすぐに我に帰ってそそくさとその場を離れました。
「テレシア様は『人形姫』と呼ばれるくらい感情を余り表に出さない方で有名なのよ。」
「えっ!? 私の知ってるテーちゃんは凄く感情豊かですよ。」
「ひょっとしたら長年の王族教育で感情をコントロールしてるかもしれないわね。王族は基本的に余り考えを表に出してはいけないから。」
 それはテーちゃんにとってはストレスが溜まりそうな日々だろうなぁ。
 私だったら3日で白旗をあげるよ。

 その翌日、私はシュナイド様に呼び出されました。
「いきなり呼び出してすまないね。」
「いいえ、いきなり兵士二人に脇を抱えられて連れ去られた時は心臓がドキドキしました。」
 いきなり『シュナイド様がお呼びだ』と言われて連れられた時は(どうなっちゃうんだろう)て思いましたよ、兵士の方、無表情だし。
「君とテレシアとの関係は聞いたよ。君の事を話している時は凄い笑顔で話していたよ。正直、僕はテレシアの心からの笑顔を初めて見たよ。」
 マジか、普段どんだけ感情を抑えて生活してるんだろ。
「僕とテレシアが婚約して10年になるんだ。」
「丁度、私がテーちゃん、いやテレシア様とお会いした時ですね。」
 一応、婚約者であるシュナイド様の前だからテーちゃん呼びは止めておこう。
「最初の頃はよく笑顔を見せていたけどだんだんと無表情になって来た。・・・・・・正直、彼女が何を考えているかわからない。」
「それで私にどうしろ、と?」
「君なら彼女の本音を聞き出せるかもしれない、と思ったんだ。テレシアの本音を聞いてほしい。」
 はい、厄介事確定。
 うん、そんな気はしてたよ。
 まぁ、大事な幼馴染みの恋路だ。
 私が一肌脱ぎますか。

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