『異世界ニート』~転移したら幼い女神と旅をすることになった件について~

小町 レン

第二十話 出発。そして樹塔

『ユウム……助けて……』

 またあの声だ。どこからか聞こえるその声はずっと悲しそうに助けを求めている。姿が見える訳ではない。

「君は誰だ。なんで助けを求めてるんだ?」

『私はーー』

 彼女が何かを言おうとした瞬間声が途切れた。そして代わりに聞き覚えのある声。

「ユウムー! 起きてー!」

 イズが俺にまたがりながらものすごい声でそう叫んでいた。

「……もう少し寝させてくれよー……」

「何時だと思ってるの! もうお昼前だよ!」

 イズが手に持った時計を俺の目の前に見せる。時計の針が十一の所にある……

「寝過ごした!」

「ちょっとユウムあぶなっーー」

 上に幼女神がまたがってた事をすっかり忘れて跳び起きてしまい、イズがくるくると後転する。

「いーたーいー! 急に起きないでよユウム!」

 鼻を抑えながらイズが怒る。

「ご、ごめん……!びっくりしちゃってつい……!」

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