転生した世界の相棒は拳銃だった!?

oozako

story...No.005


私は今、中世ヨーロッパのような街に入ることが出来、とりあえず色々と見て回っている。
あの隊長が悩んでいたのは、オーガ6頭に対してこちらが全くの無傷ということだった。
この世界ではオーガ6頭なんて警備隊を総動員するレベルらしい。
プリュン?とかいう隊員にも、自分が死ぬようなことを伝えた訳だし、思うところがあったのだろう。
まぁ、どうしたかというと、隊長をちょっとばかし、撃ったのだ。足のあたりを、重症にならない程度に。
そして足を引きずりながら増援に伝えに行き、
その先では私がオーガ6頭を倒した、という景色が見える訳だ。

「少しでも足止めしようとしたが、足をやられた。その時にお前らの足音が聞こえたんだ。」

と言っておけば、自然と私がヒーローになる訳。隊長の評価も落とさずにね。

この街は「グクラム帝国」という国の末端の領地らしい。
末端であるが故、魔物との遭遇率が高い。
そのおかげで精鋭達が集う街であり、貿易なども活発なのだそうだ。

街中を少し見回ったが、見たことないものが多かった。後で調べるとしよう。
今何故見回っているのかというと...
この街の領主サマは今、本土へ報告に行っているらしい。
なので、私への褒美やらなんやらは後日、ということだった。
宿はあの隊長が気を利かせてくれた。
ヒーロー効果てきめんである。

風呂も、トイレも完備、勿論テレビなどは無いが...
トイレが水洗式なのは嬉しかった。何でも、
魔法の効果で水を引いているのだとか。
お湯も火の魔法を使って沸かせる。

最初は魔法というものに困惑したが、私は魔道適正が高いらしく、魔法使いマジック・キャスターとして申し分ないくらいまで短時間で成長できた。

さて、疲労感は感じないようになっているが...
精神的に疲れたな...
まだ明るいが寝るとしよう。



医療室にて、俺は怪我の具合を診てもらっていた。もうひとつの狙いも達成するために。

「オーガ6頭を相手にして、この程度で済むなんて...貴方には神の御加護があるのでしょうね。」

「だと良いがね...怖気付いて逃げてしまった者に神の御加護なんてあるのだろうか...」

「いえ、そのまま戦っていたら貴方は亡くなってしまい、兵士の士気も下がってしまうでしょう...賢明な判断でしょう。何よりも、兵士達は貴方が彼らを頼ってくれたことが嬉しいらしいですよ?」

「そうなのか...? まだこんな老いぼれにもできることはあるのだな...」

「寧ろ貴方にしかできない事の方が多いでしょう。」

「そうか...そう言ってくれると嬉しいな。
俺を助けてくれたあの者には後でお礼をいっておかなくてはな。」

「そうですね、オーガ6頭をたった一人で倒してしまう方など...一目見たいものです。」

「多分想像しているのとは違うと思うぞ?」
きっと勇者のような戦い方をする奴を想像しておるのだろう。

「そうですか...では、私はこれで...」
若干がっかりしたような表情で
女医が駆けていく。

ふぅ... とため息をついてしまう。
とりあえずはこれでアイツの事を怪しむ輩はいなくなるだろう...多分。

銃とは何なのだ...オーガを一撃で倒してしまうなど...俺はまだアイツを信じきれていない。
足が動くようになったら、アイツを訪ねるとしよう。...褒美付きで。



<四日後>

あの隊長が私を訪ねてきた。

「カムイ、前の節は世話になった。改めて礼を言わせてもらおう。」

「いえいえ、隊長さんもご無事そうで何よりです。」

「思ったより足の治りが早くてな...」

でしょうね。私が撃ち込んだのは再生速度を早める薬を塗ってある銃弾だったのだ。
不自然にならないように薄めに塗ったのだが...
意外と早いな。

「それはそれは...して、今回はどのような要件でしょうか?」

「いや、特にない。ただ、お前と話したいだけだ。」

なるほど...分析、というわけか。

「そういえば名乗っていなかったな、
俺は"ジューヴ・ブライク"。ジューヴと呼んでくれ。」

「分かりました、改めてよろしくお願いします。ジューヴ殿。」
なるほど、言語は日本語だが、名前はだいぶ違うようだ。あの部下も、プリュンとかいってたな。

「敬称なんていいさ、ジューヴで頼む。」

「わかりました。」

「そうだな...用は無いと言ったが、頼みがある。」

ふむ...なんだろうか、答えてやって、また私の評価が上がるのであれば大歓迎だが。

「何でしょうか?」

「お前の...銃といったな、それをよく見せて欲しい。」

「あー...」

「無礼を承知で頼む!」

「いえ、できるならばそうしたいところなのですが...」

「...?」

「マスター?誰かいらっしゃったの?」

「...は?」

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