転生した世界の相棒は拳銃だった!?
story...No.003
さて、人喰い鬼に遭遇してから体感時間で1時間程経過した。
不思議な事に睡眠欲も、食欲もない。喉も乾かない。ゲームの私を色濃く引き継いでいるようだ。
...という事は、私のスキルも使えたりするのだろうか...これは試してみる価値ありだ。
ホルスターからコルトSAAを取り出し、構えて、6発撃つ。勿論何を狙った訳でもないので、空に消えていく。小気味よい発砲音を残して。
ここで私のスキルを発動させる。私のスキル、「無限弾」はリロード時に所持弾を消費せず、リロード動作をキャンセルする。というスキルだ。確認すると、うむ。しっかり6発装填されている。
これはいい事だな。
更に時間が経過し、私は川を発見した。
「流れは...こっちか...。」
人の歴史は川によって発展した。
水は偉大である。川の流れに沿っていけば、人間種族、或いはその痕跡を見つけられるかもしれない。
それの僅か10分後...
私は見つけた。ソレはヨーロッパのような造りをした町だ。
外側はある程度のレンガのような壁に覆われていて、入口、出口は1箇所しかない。
「どうしたものか...」
私は思わず口にしてしまった。何せこの世界の言語を知らないからだ。
「...このまま此処にいてもどうにもならないだろうな...取りあえず近づくか...」
近づいてみると、門の上には見張り台があり、鎧を着た兵士らしき人物が2人。
体長も人間と同じと見ていいだろう。
何やら話している。もっと近づいてみて、聞けるかどうか試してみよう。
何時間も歩いていたので、辺りは真っ暗だ。
この世界にも昼夜があるということだな。この暗さであれば、私の野戦服の効果を最大発揮できる。匍匐前進で進む。
彼らから10m程離れた所で会話が聞こえてきた。
「......!」
所々聞こえないが、これは日本語だ...!
さて、どうしたものか...人間種族で日本語を話すのは嬉しいが、いきなり行ってもダメだろう。
明日の朝に接触をはかってみよう。
睡眠欲はないが、寝ることはできる。
近場の草むらに隠れて寝よう...。
「おい!貴様は何者だ!?何故こんな所にいる!」
朝から大声量の怒鳴り声で起こされる。
「は、はい?」
「貴様は何者だ?場合によっては、殺すこともありえる。大人しく指示に従え。」
マジですか、いきなり殺す発言ですか、
まぁ、従っておくが...名前どうしようか...
あ、ゲームの名前を使えばいいのか。
「え、えーと、カムイと申します...。」
「そうか、カムイ...では問おう。何故此処にいた?夜はモンスターが最も活発になる時間だ。冒険者なら話は別だが、お前は武装していないだろう?」
鎧を着ている兵士らしき人物の迫力に圧されてしまう。
「冒険者とは...一体何なのでしょうか?」
「質問を質問で返すとは失礼だな...まぁいいだろう。つまりお前は全く知らないのだな?」
「は、はい。」
「なるほど...この町に入れ、そうしたら色々教えてやる。」
お?予想とは全く違うがなんとか入れそうだ。
だが、何事もそう上手くはいかないのだ。
「ウォォォォォオ!」またあの雄叫びだ。
途端、兵士たちは焦りながらも行動を開始した。
「プリュン、お前はこのことを伝えに行って、増援を呼んでこい!」
「了解しました!隊長は!?」
「俺はしばらく時間稼ぎをする。」
「しかし!」
「黙って行け、お前はまだ若い。俺のような老いぼれなんぞ、時間稼ぎができれば充分さ。それと、コイツも連れて行ってやれ。」
「...了解しました...ご武運を!」
おお〜感動モノだね〜だが、そこまでされたのなら、私も何かして、コイツらに恩を売ってやるのも、悪くないな。
「私も戦いますよ。」
「何!?お前は武装していないだろう!?プリュンと共にこの町へ入れ!」
「一応武器はあります故、ご心配なさらず。」
「信じていいんだな!?」
まだ疑っているような声色で言うか?
「勿論。」
「...よし、プリュン、行け!」
プリュンは駆けていく。
さてと、SAAの力を見せてやるとするか。
その時、SAAの銃身が発砲もしていないのに、熱くなった。
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