異世界に飛ばされたが選択肢を間違うと必ず死んでしまうなんてあんまりだ!~早く元の世界に帰らせてくれ!~
わずかな希望
「……誰?どうやってこの森に入ったの?」
心地良い声で少女は問う。
もしかしたら日本語が通じないかもしれないと案じたがそれは問題無かったようだ。
「驚かせちゃったならごめん。俺は須藤 学。気がついたらこの森の近くの草原にいて、助けを求める為にこの森にはいったんだ。君はどうしてこんな森にいるんだ? 人が住んでる場所が近くにあるのか? 」
聞いた質問は返ってこず、暫くの沈黙が続いた。
攻撃してくる様子はないが、置いていた弓を拾いあげたことから、少女は警戒しているのだろう。
「…森に入った理由はわかった。でも私はどうやって森に入ったかを聞いたの」
わかったと言いながらも何時でも弓を放てるように構えはじめた。
「ちょっ! まって! 嘘じゃないんだ! どうやってって、この森に入るのには特別ななにかが必要なのか!? 」
「……この森には人間が入れないよう結界が貼ってある。貴方は人間じゃないの?」
殺されるかもしれないと本気で慌てている俺を見て、嘘はついてないと思ったのか構えていた弓を下ろしてくれた。
結界……遠くから見えた膜のようなものと、森に入ったときに感じた浮遊感の様なものはそれだったのだろう。
「人間……ではあると思う。……えっと、信じてもらえないかもしれないけど、多分俺は異世界からきたんだ。さっきも言ったけど、突然視界が揺れたと思ったらこの森の近くの草原にいた。異世界にきた理由もわからないし早く元の世界に帰りたいんだ。」
少女は目を見開く。頭がおかしいやつと思われたかもしれない。いや、きっと思われただろう。
俺だったら間違いなく何いってんだこいつって思うし……と思ったが杞憂だったようで
「異世界からきた人間……それなら結界に反応しないのも納得できる……でも今期の異世界の勇者はもう現れたって話じゃ………」
少女は一人でぶつぶつと呟いている。信じるか悩んでいるようだ。
悩んでいる様子も可愛い……なんて思ってる場合じゃない。今重要なことを言わなかったか? なんて言った? 異世界の勇者が現れた?
「俺の他にも異世界から来た奴が居るのか?! 」
感情が高ぶり一気に少女に詰め寄る。
ふわりと石鹸のような良い香りがした。
「ひっ、人から聞いた話だから本当かどうかはわからない。でも1ヶ月ほど前に国が勇者召喚の儀を行って成功したって……」
他にも異世界から来た人がいるなら、召喚をした人がいるなら、元の世界に帰る方法もわかるかもしれない!
「その召喚の儀を行ったって場所にはここからどうやって行けばいい? ここから近いか? というかこの辺りに町や村はあるのか? 」
高揚した俺は一気に質問をぶつけていく。
「えっと、召喚の儀を行った国にいくのは徒歩なら1ヶ月以上はかかる。最寄りだとここから西に二日ほど歩けばヴァネッツァという小さな都市があるけれど……森の外のモンスターを貴方が倒せるとは思わないし、きっと都市までたどり着けない……と思う。」
確かにそうだ。俺は一度狼のような生き物に殺されている。"全く歯が立たない状態"でだ。運が良ければ1度もモンスターに会わずにすむだろうがかなり確率は低いだろう。
一番近くの都市で2日……ふと疑問が生まれた。
この少女が森で野宿をしてるようには見えない。
「君は? 君はどこで生活をしているんだ? 」
「………」
言いたくないのだろうか、暫く沈黙が続く。
「……私、もう行く。……この森には結界が張られているからモンスターは現れない。精霊の祝福を受けてるから毎日木々に果物も実る。旅立つ準備をしてから出てもいいと思うよ。」
「え? ちょっと待ってよ! 」
少女の肩を掴むが振り払われ、そのまま少女は走り去っていった。
一人残された俺は、この後どうするかなあと考えるのであった。
心地良い声で少女は問う。
もしかしたら日本語が通じないかもしれないと案じたがそれは問題無かったようだ。
「驚かせちゃったならごめん。俺は須藤 学。気がついたらこの森の近くの草原にいて、助けを求める為にこの森にはいったんだ。君はどうしてこんな森にいるんだ? 人が住んでる場所が近くにあるのか? 」
聞いた質問は返ってこず、暫くの沈黙が続いた。
攻撃してくる様子はないが、置いていた弓を拾いあげたことから、少女は警戒しているのだろう。
「…森に入った理由はわかった。でも私はどうやって森に入ったかを聞いたの」
わかったと言いながらも何時でも弓を放てるように構えはじめた。
「ちょっ! まって! 嘘じゃないんだ! どうやってって、この森に入るのには特別ななにかが必要なのか!? 」
「……この森には人間が入れないよう結界が貼ってある。貴方は人間じゃないの?」
殺されるかもしれないと本気で慌てている俺を見て、嘘はついてないと思ったのか構えていた弓を下ろしてくれた。
結界……遠くから見えた膜のようなものと、森に入ったときに感じた浮遊感の様なものはそれだったのだろう。
「人間……ではあると思う。……えっと、信じてもらえないかもしれないけど、多分俺は異世界からきたんだ。さっきも言ったけど、突然視界が揺れたと思ったらこの森の近くの草原にいた。異世界にきた理由もわからないし早く元の世界に帰りたいんだ。」
少女は目を見開く。頭がおかしいやつと思われたかもしれない。いや、きっと思われただろう。
俺だったら間違いなく何いってんだこいつって思うし……と思ったが杞憂だったようで
「異世界からきた人間……それなら結界に反応しないのも納得できる……でも今期の異世界の勇者はもう現れたって話じゃ………」
少女は一人でぶつぶつと呟いている。信じるか悩んでいるようだ。
悩んでいる様子も可愛い……なんて思ってる場合じゃない。今重要なことを言わなかったか? なんて言った? 異世界の勇者が現れた?
「俺の他にも異世界から来た奴が居るのか?! 」
感情が高ぶり一気に少女に詰め寄る。
ふわりと石鹸のような良い香りがした。
「ひっ、人から聞いた話だから本当かどうかはわからない。でも1ヶ月ほど前に国が勇者召喚の儀を行って成功したって……」
他にも異世界から来た人がいるなら、召喚をした人がいるなら、元の世界に帰る方法もわかるかもしれない!
「その召喚の儀を行ったって場所にはここからどうやって行けばいい? ここから近いか? というかこの辺りに町や村はあるのか? 」
高揚した俺は一気に質問をぶつけていく。
「えっと、召喚の儀を行った国にいくのは徒歩なら1ヶ月以上はかかる。最寄りだとここから西に二日ほど歩けばヴァネッツァという小さな都市があるけれど……森の外のモンスターを貴方が倒せるとは思わないし、きっと都市までたどり着けない……と思う。」
確かにそうだ。俺は一度狼のような生き物に殺されている。"全く歯が立たない状態"でだ。運が良ければ1度もモンスターに会わずにすむだろうがかなり確率は低いだろう。
一番近くの都市で2日……ふと疑問が生まれた。
この少女が森で野宿をしてるようには見えない。
「君は? 君はどこで生活をしているんだ? 」
「………」
言いたくないのだろうか、暫く沈黙が続く。
「……私、もう行く。……この森には結界が張られているからモンスターは現れない。精霊の祝福を受けてるから毎日木々に果物も実る。旅立つ準備をしてから出てもいいと思うよ。」
「え? ちょっと待ってよ! 」
少女の肩を掴むが振り払われ、そのまま少女は走り去っていった。
一人残された俺は、この後どうするかなあと考えるのであった。
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