転生した俺はポンコツ女神と迷宮の防衛?をすることになったようです。~転生のダンマス!~

トキノトキオ

規則とルール


「それで? テトはどーなった? アリアは? アリアってアレだろ? エルフの姉ちゃんだろ?」

 ヒカルははじめからパーティーにエルフとロメオがいないことを不思議に思っていた。そして今の話だとテト。ロメオは先に帰ったようだったが、テトとエルフのアリアはここには居ない。
 
「…………」

 シドは答えず、肩を震わせている。

「テトは……たぶん死んだ。なにか黒いものに襲われたんだ。アリアは……分からん。俺たちを先に逃がすためにしんがりになって……」
「フザケルな! オマエらそれでも勇者か! 女子供を盾にして逃げ延びて恥ずかしくないのかよ!」

 珍しく、ヒカルは激昂した。ダンマスである自分の死は、ハッキリ言って軽い。女神達の力が強力すぎて死ぬのも一瞬だったから、その実感もないのだ。しかし少しでも関係した者の、知った者の死は別だ。それを受け入れるコトはできなかった。

「そ、そんなことは! い、言われなくても分かってんだよ! お、俺だって……使命さえなければ!」
「それが甘いってんだよ。使命がなんだか知らねーけどよ、それに仲間の命ほどの価値があるのかよ」
「ぐっ……」

 シドは言葉を失ってしまった。

「ヒカル、その辺にしときなさいよ。アンタ教皇を知らないから、そんなこと言えんのよ」
「そんなもん知るか! 俺の知ってる……俺のなりたかった、俺の憧れた勇者ってのはそ~いうのの外にいるんだよ! カンケーねーんだよ! そーいうことは!」
「ああ……そのとおりだ……」

 そのとき、アレキシスが目を覚ました。

「ア、アレキシス! 大丈夫なのか?」
「ああ、み、水を飲んだら……少し良くなった」

 そしてアレキシスは立ち上がろうとした。

「お、おい、だからってアレキシス! 立つのは無理だろ。無茶すんな」
「いいや、そこの少年が言うとおりだ。ここで仲間を見捨てるのなら、勇者を名乗る資格は無い」
「お、おう。そのとーりだぜ。さすがは勇者だ」
「少年よ、感謝する」
「フンっ、感謝は後にしてくれ。それに俺はヒカルって言うんだ。少年とかじゃねーよ」

 ヒカルは喋りながら手の刻印を出し、壁にゲートを開いた。

「ちょ、ちょっとヒカル! そんなコトしちゃダメじゃない! ダンマスってバレるじゃない!」
「ふん! 知るかよ! だいたいが35階層のダンマスの仕業なんだろ? ダンマスのルール違反じゃねーのか? 追い打ちをかけるとか。なのに、俺だけがおとなしくルールに従えってのは筋違いだぜ」
「そ、それはそうだけど……」
「いいかディアーナ。俺はな、怒ってるんだよ。このクソッタレの世界にも、それこそルールってもんがあるんだろ? 絶対に破っちゃいけないルールってのが!」
「で、でもゲート開いてどーすんのよ」
「そうだなあ〜本当はアレキシスを送り返したい……が、どーせ戻るとは言わないんだろ?」
「ああ、ここで戻るくらいなら朽ち果てるまでだ」

 ヒカルはアレキシスの方を見て頷いた。

「それでだ、誰か向こうに行ってロメオを連れてこい。ロメオならアレキシスの毒を治せるのだろう? そうだなあ……フィオリナ、頼めるか?」
「え、ええ……もちろん良いのですが……パーティーが揃ってない以上、ロメオ様も帰還術式セーブコードは使えませんが?」
「だからフィオリナがゲートを開けてくれ。出来るんだよな?」
「え、ええ……それはできます。できますが、それは神の定める規則に背く行為。そのような規則違反の行為を……神の使徒たる司祭のロメオ様が受け入れてくださいますでしょうか?」
「だからフィオリナに頼んでんだよ。それに、うだうだ言うようなら、こう言ってくれ。オマエらパーティーの不始末は自分達で解決しろ! とな」
「わ、分かりました」
「そ、それでヒカル、アンタはどーすんのよ」
「んなこたあー決まってる。テトを、アリアを助けに行くんだよ」

 ヒカルは言いながら、死魂剣デスペラード偽蝕套ガウル、それにさっき捕まえてきたハナモグラの入った袋を抱えて歩き出した。

「うん、分かった。そー言う事なら行きましょう」
「そ、それなら俺も連れて行ってくれ!」

 シドが一歩進んでヒカルの肩をつかんだ。

「シド、お前はココに残れ。頼みたいことがあるんだ」
「な、なんだよ」
「ココを守ることだよ。すまないがここから先に冒険者を通さないでくれ。詳しくは言えないが、冒険者がココを通るたび、俺の命が削られるんだ。なーに、ロメオが来てアレキシスが回復したら、その時は助けに来てくれ」
「そ、そうか……そーいうコトなら、分かった。任せておけ」
「じゃー、みんな行くぞ! フィオリナ頼んだぜ!」

 こうしてヒカルはディアーナとエレナを連れて下層へ。フィオリナはロメオを迎えにサンアデステラ教会へと向かった。



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