勇者にとって冒険の書は呪いのアイテムです

ハイイロチョッキリ

⑪かいまひるてです(7)

ヒルテデスの触手の1つがようやく落ちる。

「ゴポポポ…ぐ…ぬうん!」

「ヤバい!「身代わり」!」

ヒルテデスの攻撃を予感したベックが高速移動してセツリの前に立ちはだかる。

そこにヒルテデスの残り7本の触手と2本の触腕の連続攻撃が繰り出される。

初撃!

右フックのような軌道で触手が飛んでくる。ベックが金剛亀の盾で受けるが、あまりの衝撃に身体が流される。

2撃!

流された先に今度は左フックの軌道で反対側の触手が飛んでくる。ベックはそれをトライデントで迎撃するが、パワー負けしてトライデントが弾かれ、ベックの右側面が強打される。

「ぐふっ…!」

ベックが堪らず口から大量の泡を吐く。

3撃!

右アッパーの軌道でベックの左斜め下から触手が飛んでくる。ベックは意識をなんとか繋ぎ止め、再度盾でガードする。

しかし、やはり力をいなし切れず身体は右斜め上に流れる。

ヒルテデスがパンチでやや距離の空いた空間を泳いで詰める。

4撃!

右から触手の打ち下ろしが飛んでくる。

「ぐ…らぁっ!」

流れのままベックは回転し、ヒルテデスの左触手の打ち下ろしを回避する。

5撃!

しかし、その触手の影に隠れたもう1本の触手が真っ直ぐに左パンチを繰り出す。

これを予想していなかったベックは直撃を食らう。

金鮫の鎧と被物理攻撃半減のスキルを持ってしてもダメージは甚大で、ベックの意識が刈り取られる。

7撃目の触手がベックの身体を掴んで位置を調整し、8撃目と9撃目で異常に発達した触腕がベックを地面に連続で叩きつけた。

ベックは身体の力を失い、血で海水を赤く染めながら漂う。

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