勇者にとって冒険の書は呪いのアイテムです
⑩かいていとし(2)
手紙の指示の元、船着場の指定の船を訪ねるとすでに話は通っており、すぐに出発できるという話であった。
セツリ達は船に乗り込み、東の大陸を離れる。
「見ろよ、セツリ、魚だぜ!村の周辺しか見てこなかった俺達が今はこんなところにいるなんてな」
『はい』
セツリとユージーンはデッキで海を眺めて子どものようにはしゃぐ。
ミリはそれを横目にデッキに置いてある椅子に腰掛け魔導書を読む。
天候にも恵まれ、航海は順調に思えたが
、数日後、事態は一転する。
「大時化だ。野郎ども船、転覆させねぇように気張りやがれ!」
筋骨隆々な船長が唾を飛ばしながら怒鳴る。
船員達がバタバタと船内を駆ける。
客室でセツリ達は激しく揺れる船に必死でしがみつく。
「なぁ、これ、ヤバいんじゃねぇか?」
『はい』
「セツリさん、顔色悪いですよ、大丈夫ですか?」
『いいえ…ぅぷっ』
セツリが顔を真っ青にしながら口を押さえる。
激しい雨風と響き渡る雷鳴、甲板を乱暴に洗う荒波の音、それらの音の中、腹に響くような声が聞こえてくる。
「ゴポポポ…魔王様に仇なす者に死を」
直後、巨大な触腕が海面から現れ、船を締め上げる。
その触手は、頑丈な筈な船をまるで枝でも折るかのように前後真っ二つに分断した。
船室にいたセツリ達は状況を十分に理解できないまま、部屋を突き破って現れた吸盤のある触腕と海水に驚き、そして水流に飲み込まれた。
セツリ達は船に乗り込み、東の大陸を離れる。
「見ろよ、セツリ、魚だぜ!村の周辺しか見てこなかった俺達が今はこんなところにいるなんてな」
『はい』
セツリとユージーンはデッキで海を眺めて子どものようにはしゃぐ。
ミリはそれを横目にデッキに置いてある椅子に腰掛け魔導書を読む。
天候にも恵まれ、航海は順調に思えたが
、数日後、事態は一転する。
「大時化だ。野郎ども船、転覆させねぇように気張りやがれ!」
筋骨隆々な船長が唾を飛ばしながら怒鳴る。
船員達がバタバタと船内を駆ける。
客室でセツリ達は激しく揺れる船に必死でしがみつく。
「なぁ、これ、ヤバいんじゃねぇか?」
『はい』
「セツリさん、顔色悪いですよ、大丈夫ですか?」
『いいえ…ぅぷっ』
セツリが顔を真っ青にしながら口を押さえる。
激しい雨風と響き渡る雷鳴、甲板を乱暴に洗う荒波の音、それらの音の中、腹に響くような声が聞こえてくる。
「ゴポポポ…魔王様に仇なす者に死を」
直後、巨大な触腕が海面から現れ、船を締め上げる。
その触手は、頑丈な筈な船をまるで枝でも折るかのように前後真っ二つに分断した。
船室にいたセツリ達は状況を十分に理解できないまま、部屋を突き破って現れた吸盤のある触腕と海水に驚き、そして水流に飲み込まれた。
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