勇者にとって冒険の書は呪いのアイテムです
⑨ぜつぼうのるーぷ(1)
「フシュルルルル…なゼ、キサマラ、我を前にして正気を保ッテいル?」
ズルズルという自分の腕の皮を引きずる不快な音。
強烈な悪臭。
巨大な体躯がこちらを見下ろす。
「コイツが…パンデラ」
呟いたユージーンを黄色く濁った目がギョロリと睨む。
「いかにして我がここにイることを知った?」
唾液をぼとぼとと崩れかけた口から垂らしながら破滅の病魔が問う。
「さて、そんなことどうでも良いじゃないですかっ!「セシル」」
 
ミリが先制攻撃で氷の矢を放つ。
事前に準備しておいた待機状態の氷の矢は部屋中のあらゆる角度から一斉にパンデラに向かって飛んでいった。
氷の矢が次々とパンデラに突き刺さり、氷結し、ついにはパンデラごと氷塊にする。
しかし、氷がすぐに黒く染まり、溶解する。
そして、黒い液体と共に黄緑色の肌が現れる。
「無駄ダ」
「だろうなっ!」
ユージーンがパンデラの死角からゾンビキラーを構えて飛びかかった。
不死特攻の聖属性を持つ剣だ。
「くらえ!」
パンデラの首目掛けて剣を振るう。
しかし、パンデラにその剣は届かない。
地面に広がった黒い液体の中にパンデラがとぷん、と沈んだのだ。
「なに?」
予想外の回避にユージーンが慌てる。
「ユージーンさん!」
ミリが声を上げる。
ユージーンは反応がやや遅れて後ろを振り返る。
地面を潜ったパンデラが驚くべき速度でユージーンの背後の天井へ移動し、上半身だけ姿を現している。
そしてユージーンを引き裂くべく大きな腕をユージーンへ伸ばしていた。
ズルズルという自分の腕の皮を引きずる不快な音。
強烈な悪臭。
巨大な体躯がこちらを見下ろす。
「コイツが…パンデラ」
呟いたユージーンを黄色く濁った目がギョロリと睨む。
「いかにして我がここにイることを知った?」
唾液をぼとぼとと崩れかけた口から垂らしながら破滅の病魔が問う。
「さて、そんなことどうでも良いじゃないですかっ!「セシル」」
 
ミリが先制攻撃で氷の矢を放つ。
事前に準備しておいた待機状態の氷の矢は部屋中のあらゆる角度から一斉にパンデラに向かって飛んでいった。
氷の矢が次々とパンデラに突き刺さり、氷結し、ついにはパンデラごと氷塊にする。
しかし、氷がすぐに黒く染まり、溶解する。
そして、黒い液体と共に黄緑色の肌が現れる。
「無駄ダ」
「だろうなっ!」
ユージーンがパンデラの死角からゾンビキラーを構えて飛びかかった。
不死特攻の聖属性を持つ剣だ。
「くらえ!」
パンデラの首目掛けて剣を振るう。
しかし、パンデラにその剣は届かない。
地面に広がった黒い液体の中にパンデラがとぷん、と沈んだのだ。
「なに?」
予想外の回避にユージーンが慌てる。
「ユージーンさん!」
ミリが声を上げる。
ユージーンは反応がやや遅れて後ろを振り返る。
地面を潜ったパンデラが驚くべき速度でユージーンの背後の天井へ移動し、上半身だけ姿を現している。
そしてユージーンを引き裂くべく大きな腕をユージーンへ伸ばしていた。
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