勇者にとって冒険の書は呪いのアイテムです

ハイイロチョッキリ

③ひとつめのかいぶつ(5)

2人は雷雨の中洞窟を飛び出す。

待ち構えていたひとつめの怪物が大木を片手に立ち上がる。

「いくぞ!セツリ、案内を頼む!」

『はい』

セツリは先程雷が落ちたと思われる方角に向けて走り出した。その後をユージーンも続く。

真紅の怪物は素早い動きで2人の前に回り込もうとするが、その前にセツリたちは木々の中に飛び込む。

セツリの体感からすれば3日ぶりの命がけの鬼ごっことなるが、久しぶりに追われ、真紅の怪物の圧倒的速さに驚愕する。

「ち、やべぇ」

背後からメキメキと音を立てて木々が倒れる。

その直後、ひとつめの怪物が姿を現わす。

その瞬間だった。

雷鳴が轟き、本来落ちる筈だった木の位置に立っていたひとつめの怪物の身体に稲妻が走る。

同時にセツリの身体にも一瞬の電撃が走った。

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