勇者にとって冒険の書は呪いのアイテムです
③ひとつめのかいぶつ(4)
冒険の書のセーブポイントから再開します。
『おお、勇者よ、死んでしまうとは情けない!』
『!?』
謎の男性の声に驚き、セツリはハッと意識を取り戻した。そしてあたりを見回す。飢餓感や意識が朦朧とした感じが急に消失し、不思議な気分になる。しかし、3度ひとつめの怪物に殺された深い絶望は心の奥にしっかりと刻まれている。
「どうしたなんかあったか?」
洞窟の中で2人は冒険の書を眺めていた。
『はい』
セツリはこれまでの経緯を再度説明した。
「そうか、にわかには信じがたいが…もし、それが本当なら救援は2〜3日はかかるってことだ。期待できないな。持久戦も無理なら手詰まりじゃねぇか」
『いいえ』
「………なるほど。必ずこれから数分後に近くで雷が落ちるんだな。それを利用するってことか」
『はい』
「しかし、それって本当にうまくいくのか?…いや、悩んでもしょうがねぇ。試してみるしかねぇか」
『はい』
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