勇者にとって冒険の書は呪いのアイテムです
②ぼうけんのしょ(6)
目の前に潰された幼馴染の親友が横たわっている。
全身の骨が砕け、地面が真っ赤に染まっている。それが致命的な一撃であり、即死であることは一瞬にしてセツリにも理解できた。
近くの木に雷が落ちたのか凄まじい爆音が鳴り響く。
そしてセツリの唯一無二の親友の血が豪雨により流れていく。
セツリはそれを呆然と眺めていた。
ひとつめの怪物はにやりと笑いながら親友を潰したその手で大木を拾い上げる。
そして次の瞬間、セツリを頭から大木で叩き潰した。
セツリは倒れた。
冒険の書のセーブポイントから再開します。
『おお、勇者よ、死んでしまうとは情けない!』
『!?』
謎の男性の声に驚き、セツリはハッと意識を取り戻した。そしてあたりを見回す。
「どうしたなんかあったか?」
洞窟の中で2人は冒険の書を眺めていた。
『いいえ』
セツリは咄嗟に首を振った。
「…さて、どうする?とりあえずなんか俺たちそんな強くなった気はしないんだが…。とはいえ、このままこの洞窟にいても食料もないし、ジリ貧だよな。思い切って出るか?」
『はい』
なんとなく聞き覚えのあるやり取りに違和感を覚えながらセツリは返事をする。
入り口に近づくとやはり激しい雷雨の音が聞こえる。
入り口の正面には真紅に変色したひとつめの怪物が座って待ち構えていた。
「やっぱいるか…」
ひとつめの怪物は傍に置いてあった一本の太い木を掴み、ゆっくりと立ち上がった。
「どうする?なんか策はあるか?」
先程の光景が頭を過る。妙にリアルな夢だった。
『…いのちをだいじに』
「…了解だ」
全身の骨が砕け、地面が真っ赤に染まっている。それが致命的な一撃であり、即死であることは一瞬にしてセツリにも理解できた。
近くの木に雷が落ちたのか凄まじい爆音が鳴り響く。
そしてセツリの唯一無二の親友の血が豪雨により流れていく。
セツリはそれを呆然と眺めていた。
ひとつめの怪物はにやりと笑いながら親友を潰したその手で大木を拾い上げる。
そして次の瞬間、セツリを頭から大木で叩き潰した。
セツリは倒れた。
冒険の書のセーブポイントから再開します。
『おお、勇者よ、死んでしまうとは情けない!』
『!?』
謎の男性の声に驚き、セツリはハッと意識を取り戻した。そしてあたりを見回す。
「どうしたなんかあったか?」
洞窟の中で2人は冒険の書を眺めていた。
『いいえ』
セツリは咄嗟に首を振った。
「…さて、どうする?とりあえずなんか俺たちそんな強くなった気はしないんだが…。とはいえ、このままこの洞窟にいても食料もないし、ジリ貧だよな。思い切って出るか?」
『はい』
なんとなく聞き覚えのあるやり取りに違和感を覚えながらセツリは返事をする。
入り口に近づくとやはり激しい雷雨の音が聞こえる。
入り口の正面には真紅に変色したひとつめの怪物が座って待ち構えていた。
「やっぱいるか…」
ひとつめの怪物は傍に置いてあった一本の太い木を掴み、ゆっくりと立ち上がった。
「どうする?なんか策はあるか?」
先程の光景が頭を過る。妙にリアルな夢だった。
『…いのちをだいじに』
「…了解だ」
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