突然だが、自己満でロマン兵器について解説してみようと思う〜紅茶でも飲みながらフィッシュチップス感覚でお読みください〜

ELDIAN

ファイルNo7.エンジン排気熱なんて……大っ嫌いだ!!



 同志テカ「やはり、資本主義者には我が大祖国ソヴィエトの素晴らしい兵器が理解できないようです、同志」

 中の人「そのようだな……」

 デェェェェェェェェェェェン!!

 Y・S「Доброе утроおはよう、同志。布教は順調かね?」

 中「ッ!!ど、我が同志ッ!?何故ここに!?」

 同テ「ど、同志ッ!!」

 Y「おやおや、一人こちら側・・・・に引き込むことができたのかね?」

 中「は、はい。ですが……」

 Y「噂は聞いているとも。我が大祖国ソヴィエトの布教が順調ではない……だろう?」

 中「その通りです……」

 Y「今回私直々に赴いた理由はそれだ」

 中「(ま……マズい……殺されるッ!!」

 Y「……このファイルを受け取りたまえ」クソデカファイルスッ

 中「は、はい……。っと……お、重いですね……。こ、これは、一体?」

 Y「我が国がかつて開発した傑作試作兵器を記載したファイルだ。存分に使ってくれたまえ」

 中「——ッ!!あ、ありがたき幸せッ!!」

 Y「だが……」中ノ人ノ耳元ニ近寄ル

 Y「これ以上の失敗は…………許さないぞ?死にたいなら話は別だが……」

 中「は、はいぃぃぃぃっ!!私、誠心誠意取り組ませていただきますッ!!!」

 Y「……うむ。それでは頑張りたまえ」

 デェェェェェェェェェェェン!!

 中「き、消えた……」

 同テ「まるで嵐のようなお方ですね……」

 中「あ、あぁ。逆らったら殺されるだろうな……間違いなく」

 同テ「はい……。ところで、そのファイルは一体?」

 中「我が大祖国が作り上げた数々の傑作兵器が記載されたファイル……らしい……。まぁまずは見てみよう」

 同テ「ですね」


——


 中「……やはり、我が国こそが世界の頂点に立つべきだな」

 同テ「はい!やはり共産主義は……我らが大祖国ソヴィエトは素晴らしいですッ!!」

 中「うむ……!大祖国万歳ッ!!」

 同テ「万歳ッ!!」

 中「さて、それでは再び我が国の素晴らしさを布教しようではないか!今回布教するのは……An-71だ!!
 同志テカ、よろしく頼むぞ!!」

 同テ「はいッ!!
 まずはスペックからです!」


 機名:アントノフ71(露:Ан-71、英:Antonov An-71)
    NATOコードネーム: Madcap
 製造国:ソ連
 動力:ZMKB イーフチェンコ=プロフレース D-436K 2基(主エンジン)
    RD-38A  1基(補助エンジン。胴体後下部に配置)
 規模:全長 23.50m
    全幅 31.89m
    高さ 9.20m
 速度:最大速度 650km/h
    巡航速度 530km/h
 乗員:6名(内3名はレーダー士)
搭載レーダー:Vega-M
空中待機可能時間:高度8000メートルにおいて巡航速度500-530km/hで飛行した場合4-5時間(1時間で予備燃料を消費)


 同テ「スペックは以上です!」

 中「うむ!……だが、何度見てもこのレーダー配置は……素晴らしいな」

 同テ「はい、やはりこのレーダー配置は素晴らしいですよね。垂直尾翼上部にレドームを配置・・・・・・・・・・・・・・するなんて発想、資本主義者じゃ思いつきもしないでしょう」

 中「あぁ。さて、それでは詳しい詳細を同志にも伝えてくれたまえ」

 同テ「承知しました、同志。
 本機、”Ан-71”の開発が始まった原因。それは、当時防空軍(PVO)*のみが運用していた早期警戒管制機《AWACS》のTu-126が、性能の不足や配備数の不足、機体の老朽化や旧式化などが影響したものでした。また、レバノン紛争似て行われた作戦の一つ、「ガラリアの平和作戦」において、偉大なるソヴィエト製戦闘機を装備するシリア軍が、イスラエル軍によりたった3日でヘリも含めれば80機以上一方、イスラエルの損害はF-4が1機撃破されました。この圧倒的戦果には、イスラエル空軍が導入したE-2Cによるレーダー能力と支援能力が戦闘機部隊の実質的戦闘能力を拡大したと分析していました。
 斯くして様々な要因などがありながらもソビエト空軍*でも使用する新型AWACS機として開発が開始。本計画ではブルジョア合衆国USAの運用方法であるE-3セントリーのような大型機とE-2Cのような比較的小型機との二系統装備を目標に開始。E-3の立場としてA-50が、E-2Cの立場としてAn-71が運用されることを目的とされます。これらの機体により、戦闘効率が従来の2.5~3倍引き上げられることを軍部は期待していました。
 さて、小型機という立場で開発されることとなったAn-71は、1970年代半ばに軽量戦術輸送機であるAn-26*2の後継として開発され、東側陣営へと輸出されたAn-72*3をベースに開発することが決定します。まずレドームを配置するため、主翼を左右に計6メートル延長。胴体も再設計されました。また、本機はコアンダ効果*4を発揮するために配置された高翼配置のエンジンによる排気熱を避けるため、わざわざ前進角をつけた全高9メートルにも及ぶ垂直尾翼上部にレドームを配置。故に、本機はどの国家でも類を見ない特徴的な機体へと変貌しました。
 では肝心のレーダー性能といきましょう。この機体が搭載するレーダーは前述の通り『Vega-M』。このレーダーは10秒で一回転するもので、探知距離350-370キロ、探知高度は0-30km、400目標を探知し、120目標を追尾することが可能です。このレーダーを運用するにあたって機内には2つあった発電機をさらに増設し、4つの発電機を機内に搭載しました。
 これら仕様のAn-71は各3機、その全てがAn-72の試作・量産機から改造されたものとして製造。内2号機は静的試験機(地上試験用)として、飛行できない状態でした。1号機は合計387回650時間、3号機は362回380時間の計649回1030時間の飛行を行い、様々な問題(短くなった全長、重量物であり揚力のバランスを崩す垂直尾翼上のレドーム、原型機では排気の影響を避けるために垂直尾翼上端に置かれたがレドームのために胴体後部に移設され振動問題を起こした水平尾翼など)があったものの、1988年4月には迎え角試験をパスし必要な飛行安定性を確保するに至ります。
 が、当時の大祖国ソヴィエトの経済はそれを許すことはなかったのです。資金不足で後続の機体の開発は不可能となり、この開発は凍結。以降、この機体は人知れず、ひっそりと永い眠りにつきました」

 中「……一言言おう」

 同テ「はい、同志」

 中「民主主義なんてクソ喰らえッ!!!!」


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 今回はこれで終わりです。が、今回も例のごとく余談がありまして。
 本機体”An-71”。実は、海軍での運用も計画されていたんですね。それも、この機体を製作する前段階、研究段階で、です。この計画では仮の名称としてAn-75、もしくはAn-71Kなる名称が与えられました。この機体にはAn-71とは違い新規設計のレーダー『Kvant-M』を搭載予定で、この機体1番の特徴的な部位であるレドームの配置を改める(胴体背面へ移設、あるいは胴体下面にゴンドラ式等)予定でしたが、それでも本機は全重30t、全長30mと明らかに艦載機にするレベルのものではなかったので、結局中止されました。その後釜として採用されたのが、あろうことか航空機ではなくヘリであるKa-27ヘリックスのAEW型(のちのKa-31)です。
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参考サイト
https://ja.wikipedia.org/wiki/An-71_(航空機)
https://ja.wikipedia.org/wiki/An-72_(航空機)
https://www.globalsecurity.org/military/world/russia/an-71.htm
https://ja.wikipedia.org/wiki/An-26_(航空機)
https://ja.wikipedia.org/wiki/コアンダ効果

* 防空軍(PVO)
 防空軍は独立した組織。空軍所属ではない。中の人も初めて知った。

*2 An-26
 ソ連・ウクライナ共和国のキエフ機械製作工場(KMZ;現ウクライナのANTK アントーノウ)で開発された小型双発多目的輸送機。NATOコードネームは「カール」。(Wikiより抜粋。

*3 An-72
 双発短距離離着陸ジェット輸送機である。NATOコードネームは「コーラー」(Coaler:石炭商)。正面から見るとエンジンが大きな耳のように見えることから、「チェブラーシカ」(ロシアの絵本・アニメのキャラクター)の愛称で呼ばれる。(Wikiより抜粋。

*4 コアンダ効果
 わたしにもわからん。


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