攻略対象たちが悪役令嬢の私を熱く見つめてきます!

夜明けのワルツ

そんな目で見ないで



「はなれて」

きっぱり言い切る理紗にエドアルドが目を見開いた。
そっと無言で腕をはなし、身を遠ざける。

その瞳は傷ついた子供のように悲しげで、理紗は心のなかで顔をしかめた。

思わずため息がもれる。

「そんな顔しないの。ファースト・ダンスが済んだらすぐに帰るわよ。それでもいいの?」

「…それは早すぎる」

「ならおとなしくしててちょうだい」

不満げな様子のエドアルドに理紗はぐるりと目をまわした。

「いいこにしてたら帰り際にキスしてあげるわよ」

頬におやすみのキスをだけど。

それくらいならまぁいいか、と理紗は考えた。

軽い気持ちで口にしたが、効果はてきめんだった。エドアルドの見えないしっぽがぶんぶん振られているようだ。

「約束だぞ」

「はいはい約束約束」

そうこうしているうちに馬車の揺れがおさまった。

外から戸が開けられエドアルドがまず飛び降りた。やはりあるはずの踏み台を出そうとせず、理紗に両手をさしのべてくる。

仕方なくその手に身を預けた。

エドアルドにお預けを食らわせた分、理紗も妥協してやらなければ。

両肩に手を置くと、ウエストを掴む手にふわっと体を持ち上げられた。やはり貴公子然とした見た目に反して力持ちだ。

地面に下ろされ、差し出された肘に腕を絡ませる。

理紗はエドアルドにエスコートされながら城のなかに足を踏み入れた。

「攻略対象たちが悪役令嬢の私を熱く見つめてきます!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く