攻略対象たちが悪役令嬢の私を熱く見つめてきます!

夜明けのワルツ

王子のサロン





エドアルドが向かった先は教会だった。


吹き抜けの広いエントランスの両サイドには上へ続く湾曲した階段があり、正面には礼拝堂が見えた。
エドアルドは左から二階へ上がると、ひとつしかないドアを開けなかに入った。


そこはまるでメアリローズの家にあるような豪奢な居間だった。


「カフェテリアに行くんじゃなかったの?」


「カフェテリア? なぜそんなところへ?」


だってご飯は?


理紗の心の声を聞いたかのようにエドアルドがあぁ、と頷いた。


「具合が悪かったんだろう? それなら静かなところで食事をした方がいい。ここは私専用のサロンだよ」


サロンて…。ヘアサロン以外のサロンは初体験はじめてだわ。


「いま食事を用意させるからその間少し休んでいるといい」


そういいながらあるドアへと歩を進める。


理紗はもうわかっていた。あの奥には寝室がある。


このゲームの攻略対象たちはみな学園内に寝室を持っているに違いない。
ヒロインといちゃこらするために必要不可欠なのだろう。さすがR18指定の乙女ゲーム…。


あわててひとり掛けのソファを指差し「あそこに座りたい」と言った。
するとエドアルドが理紗を抱いたままそこに腰を下ろした。


理紗はイラッとした。──そういうことじゃないっ!


「………わかった」


無言でにらみ上げるとエドアルドが観念したようにため息をついた。


思わず目をぐるりと回した──ため息をつきたいのはこっちです! 





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