攻略対象たちが悪役令嬢の私を熱く見つめてきます!
幼い子供
「あの…お名前を伺っても?」
「ドレイクだ」
「…ありがとうございます、ドレイクさま。ハンカチは新しいものを用意してお返しします」
「そんなことは気にしなくていい」
地面に座り込む理紗を振り返り、ドレイクが眉をひそめた。
「立てるか」
理紗は黙って頷いた。地面に手をつき足に力をこめるがなんだが体が重かった。
なにより無気力になりこのまま座り込んでても別にいいか…という気分になってきた。
ドレイクがため息をつき、そばに屈みこんできた。
「立てないなら運んでいってやる」
理紗はふたたび頷いた。両手をさしだすと軽く引っ張られ立たされる。そしてふわっと横抱きにされた。流れるような軽やかな動きで、理紗などまるで花びら程度の重さだといわんばかりだ。
目の前には頑健そうな顎とくっきり浮き出た喉仏があり、ほほにはかすかに髭が目立ち始めていた。
それをぼんやり見つめていると、ドレイクがちらりと横目で見てくる。
そして「やめろ」とうなった。
「?」
「くすぐったいからよせ」
「あ…」
無意識のうちにひげに触れていた。ツンと指先に感じる刺激は理紗にとって懐かしいものだった。
ドレイクの武骨さは幼い頃に亡くした父を思い出させた。短い髪も、太い眉も、その下のにらむような目付きもそっくりだった。
なにより理紗になにも期待してこないそっけなさが安心感をもたらしてくれた。
幼い頃父にしたようにその太い首にしがみつき、ゆったりとした揺れに目を閉じた。
「攻略対象たちが悪役令嬢の私を熱く見つめてきます!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
追放された悪役令嬢は断罪を満喫する【連載版】
-
67
-
-
これって悪役令嬢?!私の生き方貫きます!
-
57
-
-
クーデレ系乙女ゲームの悪役令嬢になってしまった。
-
63
-
-
悪役令嬢はモブキャラになりたい
-
40
-
-
悪役令嬢を目指します!
-
91
-
-
愛される王女の物語
-
115
-
-
悪役令嬢になった私は、死にたくないので、フラグ折りを頑張ることにした。
-
32
-
-
何も変わっておりません、今も昔も。
-
38
-
-
目が覚めたら悪役令嬢になっていたので最強のヴィランズになってみたかった(失敗)
-
29
-
-
「悪役令嬢」は「その他大勢」になりたい
-
17
-
-
オタク気質が災いしてお妃候補になりました
-
146
-
-
悪役令嬢は婚約破棄されて覚醒する
-
153
-
-
悪役令嬢、家継ぎます!
-
61
-
-
公爵令嬢!政略結婚なんてお断り!!
-
85
-
-
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私の奮闘記
-
33
-
-
とある腐女子が乙女ゲームの当て馬役に転生してしまった話
-
407
-
-
もふもふを探しています。
-
74
-
-
白い令嬢は愛を知らない
-
70
-
-
2度目の人生を謳歌する
-
24
-
-
皇太子妃奮闘記~離縁計画発動中!~
-
152
-
コメント