攻略対象たちが悪役令嬢の私を熱く見つめてきます!

夜明けのワルツ

素質





「素質……」


「そう。特別な才能だ」


それってなんなの…?


ぼうっと窓辺に立ち尽くす理紗のもとへシュバルツがゆったりと歩み寄ってくる。


喉元のノットを緩めゆっくりとネクタイを引き抜きながら、そのまなざしだけで理紗をその場に縛り付けていた。


「ほんとうに気分が悪くないのなら、ひとつ確かめてみよう」


なにを…? と、目で問うた。


口がからからに乾いていて動かせない。


言葉にしなくてもシュバルツには通じたようだった。


「きみの素質。あるいは才能。あるいは適性。…言い方はなんでもいい。私と秘密を共有するにふさわしいかどうかだよ」


ほどいたネクタイをかかげてみせる。


「これできみの視覚を奪う。だがそれ以外の拘束はしない。きみはそこに立ったままじっとしているんだ」


理紗は目を見開いた。息苦しい。唇がほどけかすかにひらくのを、シュバルツの冷静かつ情熱を秘めた目が見つめている。


「私はきみに触れない。いっさい。ただきみをみて、どんなかんじかを話してきかせる。それをきいて、きみがどう感じるかを確かめたいんだ」


理紗は友人が称した「ドSのシュバルツ」の意味を正しく理解した。


ただの揶揄ではなかったのだ。


自分が命じたことやその状況を理紗が受け入れ、それを快楽に転換できるかどうかを試したいと申し出ている。






これはBDSM(嗜虐的性向の総称)における支配と隷属のテストなのだ。







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