受験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります -B級教師はS級生徒に囲まれて努力の成果を見せつける-

haruhi8128

雷魔法

「……」
「目が爛々としてるな……」

大本命、エウレアの登場である。
昨年、ライヤに攻撃を当てることが出来たのはウィルだけではあるが、実力だけならクラスでは絶対的だ。
去年はライヤと戦うにつれて調子が出てきた感じはあったが、今年は最初からフルスロットルのようだ。
ネコ科の肉食動物のような相手を狙う視線がライヤに注がれる。

「……いく」

去年も見た、雷豹が出てくる。
優雅にエウレアの周りを歩いた雷豹はライヤを威嚇するようにガウ! と鳴く。

「上等だ。だが、これだけじゃないよな?」
「……」

無言でコクリと頷いたエウレアはパリッと自身も雷を纏う。
去年は雷豹を出すだけで魔法技能は限界だったはずだが。
他の魔法を使えるようになっている時点で去年からの成長が著しいことが伺える。
それも、得意魔法とはいえ、雷魔法の2つ同時発動だ。
成長速度は異常だが、暗部で揉まれているという事を考えると、納得できなくもない。
あれ?
そういえば、エウレアの今の所属はどうなっているんだろうな。
今もフィオナと関わりはあるのだろうか。

ガギィッ!

「……!」

一瞬でライヤの横面に移動してきたエウレアの短剣をライヤは剣で受け止める。
速さについてきたことに驚いている様子のエウレア。
ほぼ表情からはわからないが。

雷魔法を纏うのはかなり難易度が高い。
炎や氷もそうだが、ちゃんと制御できなければ発動者自身が傷ついてしまうからだ。
もちろん、無理をすれば傷つきながらでも纏うことは可能だ。
だが、炎や氷には纏うという使い方にそれほどのメリットはない。
対して、雷魔法のメリットは絶大だ。
ずばり、動きが凄く速くなる。
それこそまるで、雷のように。
実際にどんな仕組みでなってるのかは知らないが、とにかく速い。
瞬きの間に目の前から姿を消すなんて朝飯前だ。

問題は、ライヤがそんなエウレアのスピードについてきたことだ。

「もちろん、俺だってできるぞ。エウレアほど得意ではないけどな」
「……うそつき」

ライヤは右腕にだけ雷を纏ってエウレアに反応したのだ。

「比較的って話だけどな」

できるだけで強い雷魔法の纏い。
そりゃライヤも練習したものだ。

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