受験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります -B級教師はS級生徒に囲まれて努力の成果を見せつける-

haruhi8128

カースト

「よし、テスト終わり」
「「よっしゃあー!」」

ゲイルとキリトの声が校舎に響く。

「誰が大声出していいって言った……?」
「す、すみませんでした!」
「も、もうしません!」

ライヤが2人の頭を片手ずつで抑えて力を込め始めると、即座に謝る。

「他のクラスはまだテスト中かもしれないだろ」
「そうでした……」
「それに、テストはまだあるだろ?」

ライヤ不敵な笑みを浮かべる。

「楽しみにしてるぞ」

テストではない場で叩き潰されたことのある2人はごくりと生唾を呑むのだった。




翌日。
実戦テストである。

「先生、なんか疲れてません?」
「しょうがないことです。朝からお姉さまとウォーミングアップをなさっていたので」
「アン王女と……」

既に疲労色濃いライヤに生徒たちが心配し声をかけるが、ウィルが代わりに答える。
朝からライヤがアンと手合わせをしていたのは間違いないが、なぜウィルがそれを知っているのか。
加えて、別にウォーミングアップなどではなかった。
アン曰く、

「ライヤが万全の状態でやってもつまらないでしょ。疲れていてミスの1つや2つ出るくらいの方がいいわ」

そんな暴論によって朝から付き合わされていたのだ。
ヨルもアンにそそのかされたらしく、回復してくれなかった。
ちなみに、アンが手合わせをしたかった本当の理由は消化不良だったからである。
ここ数日ウィルの相手をしていたが、あくまでウィルの練習相手。
自分本来の戦い方はしていないし、実力差も計り知れないほどある。
ウィルではアンには物足りなかった。
そんなフラストレーションを発散する良い機会だったのだ。
そんなアンは朝から元気に王城へと仕事に行った。

「ならば、僕たちにも勝機があるのでは?」
「いい勝負が出来るかもねー」

デラロサとマロンもやる気をみなぎらせる。
そういう意味では、アンの言っていたことも間違いではない。
生徒たちも普通に戦ってライヤに対して勝機があるとは考えていない。

「俺が最後だ!」
「いや、俺だ!」

そして、疲労というものは蓄積するもの。
後半の方がライヤが疲れていてミスが出やすくなるのは簡単に想像できる。
どうしても勝ちたいゲイルとキリトはどちらが最後になるかで言い争っていた。

「最後は私です。異論は認めません」
「「あい……」」

だが、そんな2人の争いもウィルの一声で鎮圧される。

「じゃあ、俺が最後から2番目!」
「いやいや俺が……!」
「その前はエウレアです」
「「あい……」」

結局、順番はウィルが全て決めることになった。
クラス内の力関係が伺える光景であった。

「……じゃあ、始めるか」

ライヤはその様子に苦笑しながら、訓練場の中心へと進むのだった。

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