受験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります -B級教師はS級生徒に囲まれて努力の成果を見せつける-
それぞれの体育祭準備
体育祭まで残り2日。
S・F級連合は本日の放課後も訓練場を貸し切って訓練を行っていた。
「そこ! もっとコンパクトに!」
「「はい!」」
行われているのはF級を中心に武器の取り扱いをまともにすること。
普段の授業から戦闘の練習をしているS級とは違い、F級は一般教養の授業が多いのでそんな機会はない。
王国からすれば平民の多くが武力を持てば反乱の危険性があるのでそういった裏もあるのかもしれないが。
昨年の体育祭であった騒動も彼らがもう少しまともに武器を扱えていればより大事になっていただろうからな。
「難しいなと思ったら他の武器に変えても構いませんが、明後日には本番です。あまり寄り道している時間はないですよ」
指導しているのは、なんとアンネ先生である。
「隙なんて今は考えなくていいです。一対一の戦いじゃないんですから。自分の隙は他の人が埋めてくれます。そういった距離感だからこそ、周囲を巻き込まないというのが本当に大事です。武器に振り回されないようになること。これが最低条件です」
「「はい!」」
普段は傍若無人な戦い方をしているが、それは周りにいる面子、主にライヤがアンに合わせることが出来るからである。
やろうと思えば周囲に合わせる戦い方ももちろんできるのだ。
やろうと思わないだけで。
そして、周りに合わせようとしたときにアンが最も気を遣うのは周囲を巻き込まないようにすることである。
1つ1つの攻撃範囲が大きい分、周囲を巻き込まないことの大切さは誰よりもわかっている。
「あいつらはこれ以上ないくらい誰もがうらやむ環境で学んでいるの知らないんだな……」
「ゲイルくんも知らなかったではないですか」
「そりゃそうだけどさ! それを言ったらウィルもだろ!?」
「私は疑ってかかってましたよ」
今思えば、あまりにもアンネ・シャルドネという偽名が安直である。
元の名前であるアン・シャラルと語感が似すぎている。
この適当さからライヤが関与しておらず、アンが自分で決めたことが伺える。
「指導役としてはこれ以上ない人選でしょう」
「そりゃな……」
「そこ! サボらない!」
F級が中心として指導を受けているとはいえ、S級も暇しているわけではない。
普段から武器を扱っている組としての働きが期待されている。
「仲いいんだな」
「何の話です?」
「何ってそりゃ……」
「一緒の人が好きなら、ライバルを意識してもおかしいんじゃないかなって話だよー」
ガシャガシャと全身鎧を着たマロンが代弁する。
マロンはタンク役として囮役を引き受けたのだ。
動かなくて済むというのがマロンが引き受けた理由なのだが。
「仲が悪いわけではないですね。対抗意識はもちろんありますけど」
「ほら、正妻と側室の仲が悪かったりとかよく聞くから……」
いつの間にか周りにS級のクラスメイト達が集まっていた。
皆興味があるのだろう。
ウィルはシャロンに目を向ける。
ビクッとしたシャロンはより大きくなっているマロンのシルエットの後ろに隠れ、顔だけ出す。
逃げるよりも、話に興味があるらしい。
そしてシャロンに頼ってもらえなかったゲイルも地味にダメージを受けている。
「これは家族の総意ですから」
「ヨル先生もか?」
「えぇ。ライヤ先生は私たちと、他のクラスの生徒たちも守るために粉骨砕身しています。私たちが自分たちの身を完璧に守れるだけで先生の負担が減るでしょう? 残念ながら他クラスには聞き入れてもらえませんでしたが」
ウィルは他クラスにも掛け合ったのだが、聞き入れてもらえなかった。
A級に関しては聞いても貰えず、追い返されたが。
「とにかく、皆それぞれの形で頑張っているのです。そんな中、私にできるのは自分の身を守り、優勝を目指すことだけですから。気合も入るというものでしょう」
S・F級連合は本日の放課後も訓練場を貸し切って訓練を行っていた。
「そこ! もっとコンパクトに!」
「「はい!」」
行われているのはF級を中心に武器の取り扱いをまともにすること。
普段の授業から戦闘の練習をしているS級とは違い、F級は一般教養の授業が多いのでそんな機会はない。
王国からすれば平民の多くが武力を持てば反乱の危険性があるのでそういった裏もあるのかもしれないが。
昨年の体育祭であった騒動も彼らがもう少しまともに武器を扱えていればより大事になっていただろうからな。
「難しいなと思ったら他の武器に変えても構いませんが、明後日には本番です。あまり寄り道している時間はないですよ」
指導しているのは、なんとアンネ先生である。
「隙なんて今は考えなくていいです。一対一の戦いじゃないんですから。自分の隙は他の人が埋めてくれます。そういった距離感だからこそ、周囲を巻き込まないというのが本当に大事です。武器に振り回されないようになること。これが最低条件です」
「「はい!」」
普段は傍若無人な戦い方をしているが、それは周りにいる面子、主にライヤがアンに合わせることが出来るからである。
やろうと思えば周囲に合わせる戦い方ももちろんできるのだ。
やろうと思わないだけで。
そして、周りに合わせようとしたときにアンが最も気を遣うのは周囲を巻き込まないようにすることである。
1つ1つの攻撃範囲が大きい分、周囲を巻き込まないことの大切さは誰よりもわかっている。
「あいつらはこれ以上ないくらい誰もがうらやむ環境で学んでいるの知らないんだな……」
「ゲイルくんも知らなかったではないですか」
「そりゃそうだけどさ! それを言ったらウィルもだろ!?」
「私は疑ってかかってましたよ」
今思えば、あまりにもアンネ・シャルドネという偽名が安直である。
元の名前であるアン・シャラルと語感が似すぎている。
この適当さからライヤが関与しておらず、アンが自分で決めたことが伺える。
「指導役としてはこれ以上ない人選でしょう」
「そりゃな……」
「そこ! サボらない!」
F級が中心として指導を受けているとはいえ、S級も暇しているわけではない。
普段から武器を扱っている組としての働きが期待されている。
「仲いいんだな」
「何の話です?」
「何ってそりゃ……」
「一緒の人が好きなら、ライバルを意識してもおかしいんじゃないかなって話だよー」
ガシャガシャと全身鎧を着たマロンが代弁する。
マロンはタンク役として囮役を引き受けたのだ。
動かなくて済むというのがマロンが引き受けた理由なのだが。
「仲が悪いわけではないですね。対抗意識はもちろんありますけど」
「ほら、正妻と側室の仲が悪かったりとかよく聞くから……」
いつの間にか周りにS級のクラスメイト達が集まっていた。
皆興味があるのだろう。
ウィルはシャロンに目を向ける。
ビクッとしたシャロンはより大きくなっているマロンのシルエットの後ろに隠れ、顔だけ出す。
逃げるよりも、話に興味があるらしい。
そしてシャロンに頼ってもらえなかったゲイルも地味にダメージを受けている。
「これは家族の総意ですから」
「ヨル先生もか?」
「えぇ。ライヤ先生は私たちと、他のクラスの生徒たちも守るために粉骨砕身しています。私たちが自分たちの身を完璧に守れるだけで先生の負担が減るでしょう? 残念ながら他クラスには聞き入れてもらえませんでしたが」
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