受験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります -B級教師はS級生徒に囲まれて努力の成果を見せつける-
反省会
「去年よりは上手くやれてたかな……」
「あんまり変わらなかったと思います」
「そうか……」
キリトとミクが自宅で養父に会っている頃。
ライヤ宅では反省会が行われていた。
「あ、悪い意味ではないですよ? ただ、去年もかなり落ち着いていましたし、良い出来だったのではないかと」
「そうか……?」
反省会とは名ばかりで、ライヤをウィルが慰めているだけだが。
「お母様は楽しんでいらっしゃいましたし、他の親御様も満足そうでした」
「お母様が楽しんでたならなんの問題もないわよ。ほら、シャキッとしなさい!」
「ダメですよ、アン姉さま。ライヤさんは副担任で経験を積むこともないまま私たちの担任をしてくださっているのです。授業参観など、さぞ胃が痛くなることでしょう。お姉さまも、勝手の分からないままに公務などできないでしょう?」
「そんなことはないわ」
「……お姉さまに聞いたのが間違いでした」
「やっぱり来年は普通の授業にしようかな……」
ライヤとて自分が授業参観を受けてきた経験はある。
ただ、日本でも王国でもクラスでの授業を観覧する一般的なものであり、どちらもクラスの生徒数が多かったので数人が質問に答えるだけでよかった。
だが、1年の時の思い付きで魔法の実践を授業参観にした結果、勝手がわからないまま2年目も決行してしまったのだ。
その場は勢いで誤魔化せるが、落ち着くと不安にもなる。
「いいんじゃないですか? 親御さんも我が子が学校でどのように過ごしているかが知りたいわけですし。我が子が頑張っている姿を見せるのは体育祭で十分でしょう」
ぐったりしているライヤと働こうとしないアンとウィルの代わりにフィオナとメイドが作った料理を食卓に運んでいるヨルが建設的な意見を述べる。
「それもそうなんだけど。今年の体育祭がなんかキナ臭くてさ」
「? 去年のように闘技場でやるんじゃないんですか?」
「ウィルがいるからあんまり言えないけど、違う可能性もある」
姉妹で言い争いながらもしっかりと聞き耳を立てていたウィルに視線を向けると、少しばつが悪そうに視線を逸らす。
「今年度もあと3分の1もないし、そろそろ決まると思うけど」
例年通りに闘技場でやることになったとしても生徒たちの準備期間だったり、闘技場の予定を抑えたり、やらなければいけないことはたくさんある。
「上でもめてるみたいだからどうなるかな」
「は~い、ご飯出来たよ~」
大きな鍋を持ってフィオナがキッチンから出てくる。
「まぁすべては決まってからだ。王城にいるウィルが知らないってことはまだ上層部だけの話なんだろうからな」
「じゃあなんでライヤさんが知っているんですか」
「そうです。ライヤせんせ……、ライヤさんは貴族になったとはいえ、学園の先生たちと同じラインに立っただけです」
知らない組、ウィルとヨルがライヤを睨む。
「そりゃあな……。ここに誰がいると思ってるんだ」
第一王女で王国の公務もこなすアンがすまし顔で。
暗部で最近発足した国内情報網の管理役となったフィオナが満面の笑みでピースする。
「「職権乱用です!」」
「はっ、今さらだな。俺をことあるごとに巻き込んでおきながら必要になったら呼ぶから指くわえて待ってろとか、そうは問屋が卸さない。使えるものは全部使う」
結婚によって一番変わったのはやはり、ライヤだ。
事なかれ主義だったのが肝が据わり、周りを利用してやろうという気概が生まれた。
「なんでそんな強気なのに授業参観ごときでビビってるんですか」
「それとこれとは話が別だろ」
教師としては、まだまだ新米である。
「学校は楽しいか」
「はい、お父様」
「そうか」
同時刻。
カリギュー家でも夕食を父子がともに取っていた。
「……」
「……」
普段の食卓でも会話のない2人。
最初の会話があっただけでもかなり珍しく、驚いてメイドがお茶をこぼしていた。
「……先生はどんな人だ?」
「えっと……」
「お前の感じた通りで構わない」
「そうですね……。子供っぽい、でしょうか」
「ほう」
「悪い意味ではないです。何というか、生徒と同じ視点で物事を見てると言いますか……」
「覚えておこう」
短い会話だったが、その日食卓担当だったメイドの3人は極度の緊張から熱を出した。
「あんまり変わらなかったと思います」
「そうか……」
キリトとミクが自宅で養父に会っている頃。
ライヤ宅では反省会が行われていた。
「あ、悪い意味ではないですよ? ただ、去年もかなり落ち着いていましたし、良い出来だったのではないかと」
「そうか……?」
反省会とは名ばかりで、ライヤをウィルが慰めているだけだが。
「お母様は楽しんでいらっしゃいましたし、他の親御様も満足そうでした」
「お母様が楽しんでたならなんの問題もないわよ。ほら、シャキッとしなさい!」
「ダメですよ、アン姉さま。ライヤさんは副担任で経験を積むこともないまま私たちの担任をしてくださっているのです。授業参観など、さぞ胃が痛くなることでしょう。お姉さまも、勝手の分からないままに公務などできないでしょう?」
「そんなことはないわ」
「……お姉さまに聞いたのが間違いでした」
「やっぱり来年は普通の授業にしようかな……」
ライヤとて自分が授業参観を受けてきた経験はある。
ただ、日本でも王国でもクラスでの授業を観覧する一般的なものであり、どちらもクラスの生徒数が多かったので数人が質問に答えるだけでよかった。
だが、1年の時の思い付きで魔法の実践を授業参観にした結果、勝手がわからないまま2年目も決行してしまったのだ。
その場は勢いで誤魔化せるが、落ち着くと不安にもなる。
「いいんじゃないですか? 親御さんも我が子が学校でどのように過ごしているかが知りたいわけですし。我が子が頑張っている姿を見せるのは体育祭で十分でしょう」
ぐったりしているライヤと働こうとしないアンとウィルの代わりにフィオナとメイドが作った料理を食卓に運んでいるヨルが建設的な意見を述べる。
「それもそうなんだけど。今年の体育祭がなんかキナ臭くてさ」
「? 去年のように闘技場でやるんじゃないんですか?」
「ウィルがいるからあんまり言えないけど、違う可能性もある」
姉妹で言い争いながらもしっかりと聞き耳を立てていたウィルに視線を向けると、少しばつが悪そうに視線を逸らす。
「今年度もあと3分の1もないし、そろそろ決まると思うけど」
例年通りに闘技場でやることになったとしても生徒たちの準備期間だったり、闘技場の予定を抑えたり、やらなければいけないことはたくさんある。
「上でもめてるみたいだからどうなるかな」
「は~い、ご飯出来たよ~」
大きな鍋を持ってフィオナがキッチンから出てくる。
「まぁすべては決まってからだ。王城にいるウィルが知らないってことはまだ上層部だけの話なんだろうからな」
「じゃあなんでライヤさんが知っているんですか」
「そうです。ライヤせんせ……、ライヤさんは貴族になったとはいえ、学園の先生たちと同じラインに立っただけです」
知らない組、ウィルとヨルがライヤを睨む。
「そりゃあな……。ここに誰がいると思ってるんだ」
第一王女で王国の公務もこなすアンがすまし顔で。
暗部で最近発足した国内情報網の管理役となったフィオナが満面の笑みでピースする。
「「職権乱用です!」」
「はっ、今さらだな。俺をことあるごとに巻き込んでおきながら必要になったら呼ぶから指くわえて待ってろとか、そうは問屋が卸さない。使えるものは全部使う」
結婚によって一番変わったのはやはり、ライヤだ。
事なかれ主義だったのが肝が据わり、周りを利用してやろうという気概が生まれた。
「なんでそんな強気なのに授業参観ごときでビビってるんですか」
「それとこれとは話が別だろ」
教師としては、まだまだ新米である。
「学校は楽しいか」
「はい、お父様」
「そうか」
同時刻。
カリギュー家でも夕食を父子がともに取っていた。
「……」
「……」
普段の食卓でも会話のない2人。
最初の会話があっただけでもかなり珍しく、驚いてメイドがお茶をこぼしていた。
「……先生はどんな人だ?」
「えっと……」
「お前の感じた通りで構わない」
「そうですね……。子供っぽい、でしょうか」
「ほう」
「悪い意味ではないです。何というか、生徒と同じ視点で物事を見てると言いますか……」
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