受験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります -B級教師はS級生徒に囲まれて努力の成果を見せつける-

haruhi8128

ヨルの場合

「じゃあどうぞー」
「失礼しまーす」

ようやくちゃんと待ってくれる人だ。

「さて、ヨル」
「はい♪」
「うっきうきだな……。確認するけど、いいのか?」
「良くなかったらここにいません!」

それは確かに。
この流れで断られたら俺人間不信に陥るかもしれん。

「最初は王国の人間に取り入ってやろうって気しかなかったんですけど。これだけ一緒にいればそりゃ好きにもなりますよ?」

実際、ヨルが王国に来てからはほとんどの時間ライヤと行動を共にしている。

「それに私の純潔を守れなかった責任は取ってくれませんと。あの世でお父様に怒られますよ?」
「親をだしに使うなよ……」

それだけ吹っ切れているという事でもあるだろうが。

「それとも、ライヤさんは私のことが嫌いですか?」
「いや、好きだよ。比較的常識人だし、価値観も割と近い。話していて楽な相手でもあるしな」
「んふふ~、そう言われると悪い気はしませんねぇ~。じゃあ、ライヤさん、言う事は決まってますね?」
「……ヨル、俺の隣にいてくれると、嬉しい。一緒にいてくれるか?」
「……わたしっ、大勝利っ! ええ、もちろんです! もう離しませんからね!」

ギューッとライヤに抱き着くヨル。

「うぇへへ……、これでライヤさんとアンさんの情事を目撃できます……」
「そういうところだけが心配なところだな……。なぁ、ヨル」
「うぇへへ……、あ、はい、なんです?」
「俺とアンが全力で魔法で防御したらそれを抜けられるのなんてどれだけいるんだろうな」
「……? ……!? そんな、殺生な!? 私の生きがいを奪う気ですか!?」
「どんな位置づけになってるんだ……」

これは後々家族会議が必要だな……。

「それはそれとして、ほら、これをあげるよ」

光魔法で形作った指輪をヨルの左手の薬指に通す。

「綺麗ですねぇ……。アンさんとフィオナさんもつけてましたね?」
「急増だけどな。いずれみんなにちゃんと用意するよ」
「私たちはこっちの方が嬉しいんですけどねぇ」

ちなみにフィオナには水魔法で作っておいた。

「俺の魔力がもたない」
「わかってますよ……。そうだ、こういうのはどうです? みんなで一緒の行事に参加するときとかは、ライヤさんにこれをつけてもらって参加するのは?」
「なんでだ?」
「そんなの、私たちがライヤさんのものだって他の人にアピールするために決まってるじゃないですか。皆さんも反対しないと思いますよ?」

そもそも結婚指輪の役目なんて同じようなもんか。
確かに、そう考えると所有権がどこかに存在しているのを示す役目を持っているのか。

「それもみんなで話さないとな」
「人が増えれば増えるほど、ライヤさんには負担になりますけどねー」
「いや、増えればって。まだ増えることはないだろ」
「ミリアリアさんのこと忘れてません? 他にもまだいると思いますよー」

無論、忘れてはいないが。
実現性が相当に低いと思ってるだけで。

「今はそんなこと考えられないな」
「確かに、次は最大の難関ですもんねー」

にやにやと笑うヨルの両ほほをつねる。

「いひゃい、いひゃいへすよぉ」
「嫌いじゃないだろ?」
「いひわるへふぅ……」

2人は顔を見合わせて、にこやかに笑うのだった。

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