受験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります -B級教師はS級生徒に囲まれて努力の成果を見せつける-
国からの呼び出し
「で、なんで呼ばれた?」
「私も知らないわ」
折角教師に復帰できたというのにその週末。
珍しくアンからではなく、国から呼び出された。
これまで大抵のことはアンを通して呼び出されていたので新鮮な気持ちである。
同時に、数少ない国から呼び出された事例として学園5年生の時の審問の時があるので憂鬱でもある。
向かう場所次第では逃げ出すことも視野に入れなければならない。
「よく来た」
「それほど久しぶりじゃない気がしますが……?」
向かった先は謁見の間。
近頃王様とは少人数で会うことが多かったため油断していたが、普通は周りに大臣たちがいたり、近衛兵がいたりするものである。
今回はそれに加えてライヤが全く知らない偉そうな人たちもいる。
帰りたい。
「ここに呼ばれたことに心当たりは?」
「あると言ったら?」
「危険人物として処理を……」
「もちろんないです」
ちょっとした反抗精神が命を奪うところだった。
忘れがちだが、ここは王政の国で、目の前にいるのは紛れもない国王である。
その気になればライヤ一人の命くらい一息で吹き飛ぶのだ。
「とまぁ、冗談はさておき。今回はライヤ・カサン。お主を学園の教師として呼んでいる」
「教師として? 学園長ではなく俺を……?」
「うむ、どこから説明したものか……」
少し顎に手をやり考える王様。
「……そちらのお歴々は諸国連合の有力者たちじゃ。今回は戦後処理のためにご足労頂いている。戦後処理にも多々種類はあるが、今回はひとまず諸国連合を属国とする形で落ち着くことになるだろう」
「なるほど」
いきなり王国が支配下に置くのは難しいだろうとライヤも考えていた。
そこで、統治自体は今まで通りやってもらい、税のいくらかを貰うというところだろう。
「コンバート家の領地については王国に面しているという事もあり、正式に吸収することになった。それにあたって、ヨル殿に領主としての話を持ち掛けたが拒否されたので暫定的にヨル殿の父の下で仕事していた者たちに任せてみることになった」
何やってるんだヨルは。
領民をただ放り出すような奴じゃないだろうに。
「このように着々と戦後処理は進んでおったのじゃが、一つ問題がな」
「ほう」
「人質の話じゃ」
その言葉にライヤは顔を顰める。
属国となったとはいえ、なんの制限も無しではいつまた反旗を翻してもおかしくない。
簡単にそのようなことができないように人質を差し出すというのは良くある話だ。
一番よく聞くのは、負けた側の姫が勝った側に嫁ぐという話か。
だが、仮にそういう類の話であればライヤが呼ばれる理由が無い。
いくら将を打ち取った人間とは言え、平民である。
実力や実績に関わらず、ライヤのところに嫁がせるというのは外聞が悪い。
よほど仲が悪ければそういう嫌がらせも検討するのかもしれないが、王国と諸国連合の間に確執は存在しない。
となれば。
「学園に迎い入れるんですか? それも俺のクラスに」
「相変わらず察しが良いな」
そういう話になってくる。
「反対させていただいても?」
「ほう。理由は?」
「俺のクラスにはウィルがいます。他の貴族の方なら別にいいという話ではありませんが、王家であるというのはそれだけで特別視されるものです。同時に、標的にもなりやすい」
チラリと横に並んでいる諸国連合のお偉方を見るライヤ。
「ここにいる方々の何人が現状を良しとしているのか俺には判断が出来ませんが、仮に俺のクラスに入ってくる子の親が良しとしていなかった場合、誰を狙うかと聞かれればウィルでしょう。逆に、言い方は悪いですが他のクラスなら最悪でも貴族の子です。受け入れるにしろ王族がいないクラスが良いと思います」
「ふむ、道理だな」
頷く王様。
「これだけいて子供が俺のクラスの学年だけしかいないなんてことはないでしょう? 俺の学年であるにしろ、A級の方がいいと思います」
「だ、そうだがウィル」
「!?」
トコトコと王様のイスの後ろから出てくるウィル。
ずっとそこにいたのか……?
「先生、逆に考えてください」
「逆に?」
「私がいれば、私以外を狙う可能性は低くなると思いませんか?」
その言葉を聞き、ライヤから怒気が発せられる。
向かう先は王様。
王様本人は平然としているものの、周りの近衛が構える。
「ま、待ってください先生! お父様に言わされているわけではありません!」
慌ててウィルが前に出てくる。
「私が提案したんです。誰が狙われるのかわからない状況よりは、多少絞られている方が守りやすいのではと。そして、それならライヤ先生が適任だろうと言っただけなんです!」
ぺしっ。
「落ち着きなさい、ライヤ。外国の方々もいるのよ」
「……ふぅ……。すみません、取り乱しました」
「よい。それで、どう思う?」
「いや、どうと言われても……」
守るのが前提な時点で間違っていないか?
リスクを背負ってるのには変わりないと思うんだが……。
「でも、呼ばれた時点で決着ついてますよね?」
「うむ、ライヤ・カサン。お主のクラスで諸国連合の生徒を受け入れることを命ずる」
今まで何の時間だったんだ……。
「私も知らないわ」
折角教師に復帰できたというのにその週末。
珍しくアンからではなく、国から呼び出された。
これまで大抵のことはアンを通して呼び出されていたので新鮮な気持ちである。
同時に、数少ない国から呼び出された事例として学園5年生の時の審問の時があるので憂鬱でもある。
向かう場所次第では逃げ出すことも視野に入れなければならない。
「よく来た」
「それほど久しぶりじゃない気がしますが……?」
向かった先は謁見の間。
近頃王様とは少人数で会うことが多かったため油断していたが、普通は周りに大臣たちがいたり、近衛兵がいたりするものである。
今回はそれに加えてライヤが全く知らない偉そうな人たちもいる。
帰りたい。
「ここに呼ばれたことに心当たりは?」
「あると言ったら?」
「危険人物として処理を……」
「もちろんないです」
ちょっとした反抗精神が命を奪うところだった。
忘れがちだが、ここは王政の国で、目の前にいるのは紛れもない国王である。
その気になればライヤ一人の命くらい一息で吹き飛ぶのだ。
「とまぁ、冗談はさておき。今回はライヤ・カサン。お主を学園の教師として呼んでいる」
「教師として? 学園長ではなく俺を……?」
「うむ、どこから説明したものか……」
少し顎に手をやり考える王様。
「……そちらのお歴々は諸国連合の有力者たちじゃ。今回は戦後処理のためにご足労頂いている。戦後処理にも多々種類はあるが、今回はひとまず諸国連合を属国とする形で落ち着くことになるだろう」
「なるほど」
いきなり王国が支配下に置くのは難しいだろうとライヤも考えていた。
そこで、統治自体は今まで通りやってもらい、税のいくらかを貰うというところだろう。
「コンバート家の領地については王国に面しているという事もあり、正式に吸収することになった。それにあたって、ヨル殿に領主としての話を持ち掛けたが拒否されたので暫定的にヨル殿の父の下で仕事していた者たちに任せてみることになった」
何やってるんだヨルは。
領民をただ放り出すような奴じゃないだろうに。
「このように着々と戦後処理は進んでおったのじゃが、一つ問題がな」
「ほう」
「人質の話じゃ」
その言葉にライヤは顔を顰める。
属国となったとはいえ、なんの制限も無しではいつまた反旗を翻してもおかしくない。
簡単にそのようなことができないように人質を差し出すというのは良くある話だ。
一番よく聞くのは、負けた側の姫が勝った側に嫁ぐという話か。
だが、仮にそういう類の話であればライヤが呼ばれる理由が無い。
いくら将を打ち取った人間とは言え、平民である。
実力や実績に関わらず、ライヤのところに嫁がせるというのは外聞が悪い。
よほど仲が悪ければそういう嫌がらせも検討するのかもしれないが、王国と諸国連合の間に確執は存在しない。
となれば。
「学園に迎い入れるんですか? それも俺のクラスに」
「相変わらず察しが良いな」
そういう話になってくる。
「反対させていただいても?」
「ほう。理由は?」
「俺のクラスにはウィルがいます。他の貴族の方なら別にいいという話ではありませんが、王家であるというのはそれだけで特別視されるものです。同時に、標的にもなりやすい」
チラリと横に並んでいる諸国連合のお偉方を見るライヤ。
「ここにいる方々の何人が現状を良しとしているのか俺には判断が出来ませんが、仮に俺のクラスに入ってくる子の親が良しとしていなかった場合、誰を狙うかと聞かれればウィルでしょう。逆に、言い方は悪いですが他のクラスなら最悪でも貴族の子です。受け入れるにしろ王族がいないクラスが良いと思います」
「ふむ、道理だな」
頷く王様。
「これだけいて子供が俺のクラスの学年だけしかいないなんてことはないでしょう? 俺の学年であるにしろ、A級の方がいいと思います」
「だ、そうだがウィル」
「!?」
トコトコと王様のイスの後ろから出てくるウィル。
ずっとそこにいたのか……?
「先生、逆に考えてください」
「逆に?」
「私がいれば、私以外を狙う可能性は低くなると思いませんか?」
その言葉を聞き、ライヤから怒気が発せられる。
向かう先は王様。
王様本人は平然としているものの、周りの近衛が構える。
「ま、待ってください先生! お父様に言わされているわけではありません!」
慌ててウィルが前に出てくる。
「私が提案したんです。誰が狙われるのかわからない状況よりは、多少絞られている方が守りやすいのではと。そして、それならライヤ先生が適任だろうと言っただけなんです!」
ぺしっ。
「落ち着きなさい、ライヤ。外国の方々もいるのよ」
「……ふぅ……。すみません、取り乱しました」
「よい。それで、どう思う?」
「いや、どうと言われても……」
守るのが前提な時点で間違っていないか?
リスクを背負ってるのには変わりないと思うんだが……。
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