受験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります -B級教師はS級生徒に囲まれて努力の成果を見せつける-
ストレス発散
「ここが本拠地か?」
「報告ではそのはずだ。手はず通り、騒ぎを起こすから……」
「はい、残念」
王国が考えることは諸国連合も考えるわけで。
開戦後から各拠点に向けての妨害工作は多くなっている。
なまじ王国の軍の方が規模が大きい分、拠点が多くあるので攻められやすい。
だが、最初に大きくリードした王国側が仕掛ける必要はない。
よって、裏工作に長けた部隊が相手の裏工作を潰す方に回っている。
「相手陣を前にして最終確認とかしてたんだぞ。見つけてくれって言ってるようなもんだろ」
「まぁ、するんじゃない?」
「いや、たった3キロ離れたところだぞ。普通に見つかるだろ」
「うーん……」
アンに不満(?)を言うライヤだが、裏工作に詳しくないアンにはあまり理解を得られない。
「ほら、拠点の周囲の巡回部隊いるだろ? あの人たちってどのくらい離れてる?」
「1キロくらいじゃない?」
「だよな。ってことは、それより外側には罠なりなんなり用意するだろ」
「しないわ」
今回はその罠がライヤ達の部隊の存在なわけだが、残念ながら賛同は得られなかった。
「まぁ、それで防げてるから効果はあるんでしょうけど。普通するかしないかなら、しないわ。巡回部隊で十分だもの」
「いや、それだとさ。攻められるときには既に巡回部隊はやられてるだろ? 外側に罠があればそのリスクを減らせるわけだ」
「理屈はわかるわよ」
「なら、何が不満なんだよ」
「私が暇でしょ」
話がかみ合わないはずだ。
ライヤはいかにこの拠点が安全になるかを説いていたはずが、アンはそれでは自分が暇ではないかと我儘を言っていたのだから。
「……」
「なに、悪い?」
「悪いっちゃ悪いだろ……」
「いいか、アン王女さえやれば戦況は覆る……」
「やれずとも、打撃を与えられれば……」
「あら、じゃあ私自ら相手してあげるわ」
今回は拠点から5キロほど離れた地点。
襲撃を企む20名程の前にアンが現れる。
「その白髪……! アン王女か!?」
「だからそう言ってるじゃない」
「何という好機! やれ!」
目標が目の前にいるのだ。
ためらう必要はない。
「エンプレス」
「おぉ……」
アンの呟きに呼応して拡がる炎にライヤは感嘆の声を漏らす。
王家の女性に授けられた、トリガーとでも言うのだろうか。
その魔力を周囲に放出し、支配下に置く。
アンが火魔法を得意としているため炎が渦巻くが、ウィルであれば周囲が氷結することだろう。
「久しぶりにお嬢の魔法を見たが、更に洗練されとらんか?」
「そりゃ王女様ですからね」
「そうじゃないわい。魔力制御の方じゃ」
「……そうですね」
エンプレスはその効果範囲が魔力量ではなく、魔力制御の能力によって左右される稀有な例である。
魔法の規模は基本的には魔力量で決まる。
同じ魔法であれ、魔力量で規模が変わるのだ。
だが、これは違う。
アンもライヤに出会ったころは使えていなかったのだ。
ウィルは恐らく、まだ教わってもいないだろうがアンは知っていても出来なかった。
というのも、この仕組みに気づいたのはライヤであり、それまで王様や王妃さえも魔力量が足りないのだと思っていたのだ。
2年生の時でさえアンの魔力量はとびぬけていたのでそれで使えないはずがないだろうとライヤが実験し始めてからこの仕様が発見されたのだ。
「私を殺すんじゃないの!? もっと気合い入れなさい!」
挙句の果てに相手を鼓舞しだす始末。
アンが出ていく条件としてメンデスが一応ついてきていたが、出る幕があるはずもない。
「お嬢に護衛なんて本当にいるんかね……」
「俺もそう思います」
「はぁー、すっきりした!」
「そりゃよかった。次はたぶんないからな」
「わかってるわ。……少しやりすぎたとは思ってるもの」
「あれで少しとか言ってる間はわかってない」
戦闘した場所は密林部分になるのだが。
アンが立っていた場所から半径30メートル程は丸焦げ。
100メートルほどまで影響が出ていた。
S級の魔法の規模感を改めて認識した瞬間だった。
「報告ではそのはずだ。手はず通り、騒ぎを起こすから……」
「はい、残念」
王国が考えることは諸国連合も考えるわけで。
開戦後から各拠点に向けての妨害工作は多くなっている。
なまじ王国の軍の方が規模が大きい分、拠点が多くあるので攻められやすい。
だが、最初に大きくリードした王国側が仕掛ける必要はない。
よって、裏工作に長けた部隊が相手の裏工作を潰す方に回っている。
「相手陣を前にして最終確認とかしてたんだぞ。見つけてくれって言ってるようなもんだろ」
「まぁ、するんじゃない?」
「いや、たった3キロ離れたところだぞ。普通に見つかるだろ」
「うーん……」
アンに不満(?)を言うライヤだが、裏工作に詳しくないアンにはあまり理解を得られない。
「ほら、拠点の周囲の巡回部隊いるだろ? あの人たちってどのくらい離れてる?」
「1キロくらいじゃない?」
「だよな。ってことは、それより外側には罠なりなんなり用意するだろ」
「しないわ」
今回はその罠がライヤ達の部隊の存在なわけだが、残念ながら賛同は得られなかった。
「まぁ、それで防げてるから効果はあるんでしょうけど。普通するかしないかなら、しないわ。巡回部隊で十分だもの」
「いや、それだとさ。攻められるときには既に巡回部隊はやられてるだろ? 外側に罠があればそのリスクを減らせるわけだ」
「理屈はわかるわよ」
「なら、何が不満なんだよ」
「私が暇でしょ」
話がかみ合わないはずだ。
ライヤはいかにこの拠点が安全になるかを説いていたはずが、アンはそれでは自分が暇ではないかと我儘を言っていたのだから。
「……」
「なに、悪い?」
「悪いっちゃ悪いだろ……」
「いいか、アン王女さえやれば戦況は覆る……」
「やれずとも、打撃を与えられれば……」
「あら、じゃあ私自ら相手してあげるわ」
今回は拠点から5キロほど離れた地点。
襲撃を企む20名程の前にアンが現れる。
「その白髪……! アン王女か!?」
「だからそう言ってるじゃない」
「何という好機! やれ!」
目標が目の前にいるのだ。
ためらう必要はない。
「エンプレス」
「おぉ……」
アンの呟きに呼応して拡がる炎にライヤは感嘆の声を漏らす。
王家の女性に授けられた、トリガーとでも言うのだろうか。
その魔力を周囲に放出し、支配下に置く。
アンが火魔法を得意としているため炎が渦巻くが、ウィルであれば周囲が氷結することだろう。
「久しぶりにお嬢の魔法を見たが、更に洗練されとらんか?」
「そりゃ王女様ですからね」
「そうじゃないわい。魔力制御の方じゃ」
「……そうですね」
エンプレスはその効果範囲が魔力量ではなく、魔力制御の能力によって左右される稀有な例である。
魔法の規模は基本的には魔力量で決まる。
同じ魔法であれ、魔力量で規模が変わるのだ。
だが、これは違う。
アンもライヤに出会ったころは使えていなかったのだ。
ウィルは恐らく、まだ教わってもいないだろうがアンは知っていても出来なかった。
というのも、この仕組みに気づいたのはライヤであり、それまで王様や王妃さえも魔力量が足りないのだと思っていたのだ。
2年生の時でさえアンの魔力量はとびぬけていたのでそれで使えないはずがないだろうとライヤが実験し始めてからこの仕様が発見されたのだ。
「私を殺すんじゃないの!? もっと気合い入れなさい!」
挙句の果てに相手を鼓舞しだす始末。
アンが出ていく条件としてメンデスが一応ついてきていたが、出る幕があるはずもない。
「お嬢に護衛なんて本当にいるんかね……」
「俺もそう思います」
「はぁー、すっきりした!」
「そりゃよかった。次はたぶんないからな」
「わかってるわ。……少しやりすぎたとは思ってるもの」
「あれで少しとか言ってる間はわかってない」
戦闘した場所は密林部分になるのだが。
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