転生者、兵器道を極める

山風狭霧

第4章 第5話

 このドワーフ達の兵器は、地球と同じような兵器が開発されているというこの世界では珍しいものである。

 何故なら、人間と魔人によって支配されている二大陸は魔法、エルフと妖怪によって統治されている二大陸はエルフ特有の魔法と魔法に類似した妖力、と全て魔法のようなものなのだ。

 しかし、ドワーフ達と地球との相違点とは、彼らの元々住んでいた場所だ。

 そう、地下である。彼らは夜目が効くし、それは戦闘にも通ずる。

 つまり、彼らは兵器のレベルは低くとも夜間戦闘が普通に行われる。

 パイロットが夜間でも目視で攻撃してくるのだ。

 そしてその脅威を俺達は今、その身で味わっている。




 「前方に対空陣地が…指揮官、撤退しましょう」

 「あぁ、これは撤退しかないな…部隊の損害は?」

 「現在は墜落0、損傷6ですが、ここを突破するには倍の戦力が必要です。この対空防衛線は規模が大きすぎて迂回が不可能です」

 「ならいい。戦闘ヘリで退路の安全を確保しながら撤退しろ」

 そう部下に言い残し、扉を開ける。

 「指揮官はどうなさるお積もりで?」

 「決まってるだろう? 突撃だよ。ほら、ライリーも行くぞ」

 「うー…まだ寝てたいのに〜」

 「ライリーにしか出来ないんだよ、行くぞ」

 「私にしか出来ない!? 行く!!」

 「はいはい、じゃあ行くぞ」

 ライリーを俗に言うお姫様だっこ、をしながらヘリのドアから飛び出る。

 「『イグニス』ッ!!」

 王都に行った時と同じようにイグニスの翼を背中に生やしながら飛び立つ。

 「ライリー、俺が水魔法使うからそれをサポートしてくれ」


 ー俺が召喚した中で魔法や心象魔法が使えるのは、俺がイグニスで蘇生したライリーが心象魔法を使えるだけだ。

 いや、ほかの兵士も使わせようとすれば使える。俺が相手に魔力を渡し、正気で居られれば体内で魔法を生産・貯蔵できる。そしてそれを発動可能だ。

しかし、それをするにはリスクが高い。

 ライリーの出身であるSASや他にも最強と謳われるような有名な特殊部隊であるならばともかく、一般歩兵なら成功する可能性は50:50フィフティフィフティ

 まだ出来てるのは特殊部隊の150名。正直軍の自給自足が出来てないから物資の召喚と、魔法の鍛錬、そしてこれで魔力の消費が重なり、最近は魔力の最大量も増えている。

 …まぁ、使う量が圧倒的に多いのだが。

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