転生者、兵器道を極める

山風狭霧

軍籍侵入艦艇への対処報告①

 この世界にも、国際信号旗の様なものは存在する。

 だが英語のような世界的な共通言語は存在せず、アルファベットのような「アルメニ文字」がある。

 これはここから西方に位置する大陸に過去存在した大国、「アルメニ」という国の文字である。

 だが通じるか、と言われたら返答に困るが…。安牌を取るなら数字のみが共通の為専ら数字が用いられる。

 例えば─





 「SN旗…っと、確かこの世界じゃ19.14だったか」

 俺達の共通言語には一つだけある。日本語だ。他にはドイツ語やらフランス語がちらほら。逆に英語が少ないくらいだ。

 召喚された時から日本語は身についてたから大して苦労はしてねぇ。まぁマナーやらなんやらは意識の違いとしてまだあるが。

 前方には帝国籍のフリゲート艦4隻。のこのこと俺等の領海に入り込んできやがった。

 そこで近辺で哨戒中の俺等が乗るル・ファンタスクと僚艦のル・トリオンファンが迎撃に向かうことになったんだ。

 「目標からの信号旗掲揚が確認されません…艦長、攻撃の許可を」

 初の戦闘だからか部下が少しばかり気が急いている。

 「…よし!トリオンファンにも伝達!『砲撃開始』!」

 敵艦隊に艦首を向けながら2基2門の13.8cm単装速射砲が敵の主砲の射程外から一方的に叩く。

 実を言うと、この世界の砲ってのは須く同年代の地球のと比べても弱い。

 魔法なんぞは射程を伸ばしても200m。しかも機械化が出来ていない…つまり人が魔法を使うしか出来ないのだ。

 そこでこの世界の奴らは砲を強化する、ではなく魔法を何とかして砲には出来ないか頑張ってるのだ。

 まぁ、これ以上言うと話が長くなるんでな。

 そして現状は─

 大型駆逐艦…ここでいう重駆逐艦2隻のアウトレンジの砲撃に耐えきれず、フリゲート艦の1隻が沈んで行く。

 「艦長!3隻が第18旗を掲揚しています!」

 「駄目だ。停船しようとしてない。僚艦にも通達。『攻撃を続行せよ』と」

 「機関砲と噴進砲も敵艦を捉えました!攻撃を開始!」

 「魚雷も発射角の調整が完了!発射します!」

ロケット、砲弾、魚雷、銃弾。全てがたった3隻の、百年前の帆船に向けて撃たれる。

 そして─

 爆発。

 爆発。

 爆発。

 硝煙が舞散り、刹那静が全てを包み込む。

 「敵艦隊の全滅を確認。生存者の救助を行いますか?」

 「あぁ、情報が漏らされると危険だ。司令部から水上機も回してもらおう」

 「…レーダーに反応があります」

 「…なに?」

 「前方230km。数は1。防衛識別圏外ですが…攻撃しますか?」

 「いいや、しない。救助の後帰還するぞ」




 後に水上機や哨戒機によって捜索されたが、1隻の行方を知ることは出来なかった。

 そして生存者はセボンにて生活することとなった。

 そしてカタパルトやアングルド・デッキの採用、ジェット機運用能力やレーダーの搭載等、予定されていた8隻の空母のような大規模改造や改修は為されず、小規模な改装のみで軽空母と水上機母艦を召喚、就役する運びとなった。

 そして軽空母として召喚されたのがセントー級の2隻。後にカタパルトを装備し、アングルド・デッキを建造時から既に採用している先進的な軽空母であった。

 召喚された「セントー/アルビオン」の2隻は回転翼機や艦上VTOL機の研究や運用にも使われるようだ。

 水上機母艦には秋津洲が採用され、二式大艇には対潜水魔獣、対水中棲性魔獣用に航空爆雷や魚雷、ディッピングソナーやソノブイを機体内部に格納・装備している。

 二式大艇のエンジンはジェットエンジンに変更され、主翼下のハードポイントにはミサイルや爆弾を装備可能となっている。

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