転生者、兵器道を極める

山風狭霧

第2章 第2話 報復への手がかり

 「イグニス!アイツを殺せ!」「ヴァル!切り裂け!」

 アイギスを攻撃させ、その間に時空間魔法で改造した結界をフルパワーでライリーとそれぞれ張る。

 「《透槍・十六連奏》」

 透明な槍が16個、『セイレーン』の使い手へ向かう。

 そして《物質保存》からH&K416を取り出し、ライリーにG41をマガジンごと投げるように渡す。

 照準を使い手の頭に合わせる。

 「そんなへなちょこな魔法に〜当たる訳無いじゃないですか〜?」

 『セイレーン』が《透槍》を腕を使って全て真っ二つに砕いて行く。

 「《聖歌ー第1部ー》」

 《セイレーン》が歌い出し、超音波のようなものが響き出す。

 視界が揺らぎ、ふらつきそうになる。

 ーそこに、『セイレーン』の殴打が入り、全てを受け止める。

 「カハッ…」

 「あれあれ〜?アイギス出せなくなっちゃったんですか〜?」

 「《透槍・三十二連奏》」

 真っ二つに砕けた《透槍》が、そのまま1つずつが自立して『セイレーン』に向かう。

 「へ〜凄いですね〜」

 セイレーンは腕を使わず、今度は魔法を使って《透槍》を相殺しにかかる。

 「無駄だ」

 そう、《透槍》にずっと魔力を供給しているから。

 十六連奏を発動するだけでなく、維持にも魔力を使う。そうすることで、相殺されずに《透槍》はそのまま維持される。

 「チッ!」

 三十二連奏の内、数本が『セイレーン』へと突き刺さり、使い手は同じ箇所を「失う」。

 「ふふっ…でもこれなら耐えられる!全て受け止めればそれまで!」

 多分、彼女は俺の魔力切れを狙っているのだろう。

 「そんな欠点を放っておくと思うのか!?《透槍・六十四連奏》!!!」

 セイレーンの体内に突き刺さった《透槍》が─


 分裂する。

 「ガァァァァ!!!!」

 「なぁ、ところでよォ…アイギスはどこに行ったんだろうなぁ?」

 「ッ!」

 ─『セイレーン』が辺りを見回すが

 「もう遅いッ!!トドメだイグニスッ!!!!!《フォールアウト》ォォォ!!!!!」

 ー頭上から迫る巨大な隕石

 「隕石ッ!?だが、そんなもの!《聖歌ー第4部ー》!!!」

 指向性を持ったー歌声ー超音波が隕石にぶつかり、《フォールアウト》を消滅させに掛かる。





 ー勝ったのは










 ー隕石が砕ける

 「は、は、は…今度はこっちのターンだァァ!!!!


《聖歌 ー第5 「《ライトニング》!!!!」

 電撃が、《セイレーン》と使い手共々伝わり、痙攣を起こす。

 「よくやったライリー!!!《焔苑》
!!!!!」

 石で出来た洞窟の広場が炎に包まれる─


 「ぐっ…がぁっ…あぁぁぁぁ!!!!」


 「まだ生きてるか…トドメだッイグニスウゥゥッ!!!!」


 炎の勢いが強まり─

 「1人では、死ね、な、いぃぃ!!」

 俺に火を抱えたまま抱きつこうとし─

 「死ね」

 《物質保存》から出たハンドガンでズドン、と眉間に1発。そのまま倒れ伏す。

 「《鎮怒》」

 炎がまるで幻覚かのように消え去り、焼死体だけが残る。

 「さてさて…こいつの黒幕は何かなぁ?」

 所持品を漁り、ついに手がかりを見つけた。

 「あった…何々、ボラ男爵家?…それとサバタ伯爵家…」

 「指揮官さーん?そいつらどうするのー?」

 くすっ、と笑いながら少年は笑う。

 「もちろん、『報復』さ」

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