転生者、兵器道を極める

山風狭霧

第1章 第7話 職業診断

 職業と言っても天職、適性だ。

 その職業に合うような能力、ステ振りになるだけである。

 実際USや特性の前では要らない。

 まぁUSを持っているのはごく限られた人だけだからしょうがない。

 そんな事を考えながら、教会の前に着く。

 他の子供達も集まっていて、少し騒がしくなっているが、気になる程ではない。

 そう、この職業診断は、親の同席は不可。

 親は自立という意味を込めて、子供は大人になるという思いで診断されるのだ。

 流石にまだ親離れできてなくてぐずる奴はいないようだけど。

「よぉ、テオ!久しぶりだな!」

 「おぉ、レイか!久しぶり!」

 確かこいつは俺の友達の「レーニン・ロウ」

 俺と同じくロウ商会の次男坊。

 やっぱりテオバルトとしての記憶があるのか、嬉しさが込み上げてくる。

 「そうか、テオも12歳だったな」

 「そういや俺たち同い歳だったなぁ」

 2人して爺さんくさいことを言い、笑い合う。

 『これから職業診断が開始されます』

 透き通るような声が《念話》によって脳内に響くように届けられる。

 『この神聖なる儀式は神と未来あるあなた達のほとんどが直接関われる最初で最後の機会となるでしょう』

 『また、職業を授けて下さる神様は人によって異なります』

 『この診断を機に、信仰神様を変えるのもいいでしょう』

 ちなみに宗教は何種類かあるが、本人(神)は変わらない。

 度々宗教戦争が起こるのも大抵神の仕業。

 まぁそれを俺は醜いとは思わない。神にも娯楽は必要だろう。

 『…ふむ、ではあなた。名前は…テオバルト、ですか。こちらにどうぞ』

 当然だがこの念話は外には聞こえていない。

 「レイ、先に行かせてもらうぜ」

 「おう。精々悔し涙を流して待ってろよ」




 教会の奥、神授の間に足を進める。

 「あの、なぜ自分が最初に?」

 「何事にも1番目というものは存在するものです。今回はそれがあなただっただけですよ」

 柔和な笑みを浮かべながらシスターさんは
教えてくれる。

 「さぁ、ここにおたちください。神様が職業を授けて下さります」

 言われた通りに前に出て、目を閉じる。




 「ふむ、貴殿がテオバルト殿…いや、莇殿、かな?」

 「その名前はやめてくれ。名乗るのはある時だけにしてるんだ」

 「まるで莇の名の通りに、ってことか」

 莇の花言葉は「独立」「報復」「厳格」「触れないで」。

 というか目的はとっくにお見通しらしい。

 「で、あんたは?」

 「あぁ、名乗るのが遅れていたな。
私の名前はラーズグリーズ。」

 「計画を壊す者、か」

 「おお、よく知っているな!安心しろ、
何もあんたの計画を壊すわけじゃない」

 「…じゃあ、何を?」

 「勇者の召喚」

 「…は?」

 「そんな怒るな。勇者の力を少し弱めるだけだ。今回は勇者が多すぎる」

 「…どのくらいに?」

 「そうだな…1人S級冒険者3名分くらいには下げるつもりだ」

 「あぁ、ならいいんだ。十分だよ」

 「ふふっ、そうか」

 「…なんだ?」

 「なんでもないさ。さて、貴殿の職業だが…」

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