旧 ペットショップを異世界にて

すかい@小説家になろう

エリス

「エリスはこの後、どうするんだ?」
「そうね。しばらく森は面白くない依頼ばかりだし、一度故郷に戻ってもいいかしら」
「珍しい、というか今までそんなこと、あったか?」


 俺が知る限りわざわざ故郷にということはなかったように思う。関係は悪くないと聞いてはいたが。


「最後に行ったのは100年以上前かもしれないわね。ちゃんと覚えてないけれど」
「そういうのを聴くと改めて種族の違いってのを実感するな」
「アツシの感覚なら10年ぶりってところかしら?」
「そんなもんか。じゃあしばらく戻らないのか?」
「そうね。思ったより私の弟子は優秀みたいだし、今回のご褒美にしばらく休憩ね。本人のやる気はあるみたいだからトレーニング方法だけは残していってあげるつもりだけど」


 トレーニングと聞いて思い出してはいけない光景が頭をよぎる。


「流石にあれだけの魔法を扱えるようになったのだから、もうあんなラッキーはないんじゃないかしら?」
「誰もそんなこと言ってないだろ」
「顔に出てたわ」
「まじか……」


 それでなくても警戒される年の差なんだ。もう少し気をつけた方がいいな……。


「アツシの心配は、いらない心配だと思うけどね」


 そんな言葉を残して、エリスは森の奥地、エルフ領域へと消えていった。ジャングルメットの住処になっている崖を越えた先が亜人領域と呼ばれており、入り組んだ森の内部にエルフの里はある。
 これについてはどこにあるかは正確には公開されておらず、俺もエリスから簡単に場所のことを聞いただけだった。
 この先にはドワーフや獣人族の集落がいくつもあり、これらをまとめて亜人領域と呼んでいる。


「これは私の勘だけど」


 エリスの勘という名の予言がはじまる。


「近いうちにアツシたちも、来ることになると思うわ」


 こうなってしまったらもう、何かしらの形で行くことになるんだろうな……。


「行くのはもう諦めた。せめて厄介ごとに巻き込まれないことを祈ってる」
「それは……難しいでしょうね、アツシだし」


 不穏な言葉を残し、エリスは森へ消えていった。





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