旧 ペットショップを異世界にて
収穫
「ついでに聞くんだけど、これ、使い道わかるか?」
 
エルフにもらった魔玉をシロに見せる。
シロの目つきが変わり、周りに控えていた狼とカラス達が動揺する。
 
「何ですか?それ」
「あのエルフが渡してきた。魔石だとしたら相当価値があるものだけど、なんとなくこれ、シロが持ってた方が良い気がしてな」
「私もそう思います。あ、えっと、本当に何となくなんですけど……」
「ほのかもか……。シロにとっては役に立つんじゃないかと思ったんだけど、どうだ?」
 
意識が流れ込んでくる。
 
「ひとまず預かるってさ」
「良かったです……」
「あと、ついでのように俺たちの言葉についても教えてくれた」
「えっ?」
「ほのかが不思議に思ってた英語が良く使われるって話、解決したぞ」
「本当ですか!?」
 
俺がこの世界で言葉を理解して、普通にコミュニケーションをとれているのは、あのエルフの言った通りシロのおかげだったらしい。
 
「シロと契約した時に、この世界にある程度適応できるように色々やってくれていたらしい」
この世界の言語はシロの力で勝手に翻訳されているというのが大雑把な説明だった。
日本語をベースに、俺が見聞きしたレベルの海外の言葉はよく使われることになっているらしい。
「そんなことが……って、あれ?じゃあアツシさんは、この世界で初めて会ったのがシロ?」
「いきなり森に放り出されて、死にかけたところで出会ったのがシロだ」
「森にって、ここにってことですか?」
「正確にはもう少し奥、エリアⅣの範囲でな」
「それって……」
 
エリアⅣはその先の環境に適応する必要がある地域と異なり、単純に強いやつらが生き残る構造になっている。
俺は力がなさすぎたことが返って幸いし、直接襲われることはなかった。ただ、そこにいる生物たちにとって俺はアリか何かといったレベルだ。通り道にいれば気まぐれで死につながることもある。向こうにその意思がなくとも、人一人くらいは巻き込まれて死ぬことが平気でありうる世界だ。
 
「改めて考えると、我ながらよく生きてたな……」
「良かったです……。シロに助けられたってことですか?」
「どちらかというとたまたま出会った、って感じだけどな……。敵意がないのはわかって、そこで初めて生き物と契約ができることを知った」
 
その時はたまたまシロがすごい生き物だからだと思ったが、それをきっかけに自分のスキルを自覚した。
 
「で、色々あったけどシロに守られながら神獣領域を抜けてきたわけだ。なんやかんやでハクともその時に契約して、エリスとも知り合った」
「すごいですね……。エリスさんも神獣領域にはよく来ていたんですか?」
「その当たりはちょっと事情が特殊だけどな。エリアⅢまでいけばエルフはちらほら見ることになるんだよ」
 
エルフの里があるというわけではないが、どうも直接エルフ領域がエリアⅢにつながっているとかいう話だったはずだ。この辺は部外者には秘密になっているようで、エリスにもはぐらかされている。
 
「そうだったんですね……一気にアツシさんのことを色々知れました」
「あまり面白い話でもないだろう?」
 
まあある意味、ここは第二の故郷みたいな感じだ……。シロにも会えて少し気が緩んだな。
 
「私はもっと、アツシさんのこと教えてほしいですけどね」
「機会を見つけてだな。さて、そろそろシロとはお別れだ」
 
こちらが話している間、シロは渡された魔玉を分析していた。
シロの分析能力はエリスのそれよりも精度が高い。本当ならほのかについても見てもらえるなら一番楽ではあったが、こんなところにわざわざ来て見てもらうのは負担が大きい上、これをギルドに証明する術がなかったわけだ。
 
「ほのかにスキルがあることもわかったし、収穫は多かったな」
「えっ!?今そんなことしていたんですか?」
「ついでに見てくれた」
「どんなスキルが……?」
 
わくわくした表情で聞いてくるほのか。
 
「残念ながら、スキルがあるってことしか教えてくれていない」
「えぇ……そうなんですか……」
 
わかりやすくしょげるほのか。可哀そうだが、教えてくれないのはシロの意地悪というわけでもない。
 
「シロの能力はよくわからないんだけどな。エキストラスキルより上のスキルの鑑定は、不十分なところがあるんだよ」
「そうなんですね……って、あれ?エキストラスキルより上?」
「そう。俺のスキル程度なら、しっかり見ればわかるんだけどな」
「それって……」
「神獣でもわからないだけの何かを、ほのかは持ってるってことだ」
「えぇっ!?」
本人は驚いているし、俺ももう少し驚いた方がいい場面だとは思うが、ほのかならそのくらいありうるだろうと思っていた分、意外とあっさりこの事実を受け入れられた。
「ミーナ達と同じか、それより上のスキルってことになるな」
「それより上……?」
「俺も出会ったことはないけど、歴史上取り上げられる偉人にはゴッドと呼ばれるスキルも存在が確認されている」
ゴッドスキル。
「ちなみにこの名前って、基本的にアツシさんの……」
「言うな」
名前の安直さが自分の知識に基づくものだとわかり、複雑な気持ちだった……。
 
エルフにもらった魔玉をシロに見せる。
シロの目つきが変わり、周りに控えていた狼とカラス達が動揺する。
 
「何ですか?それ」
「あのエルフが渡してきた。魔石だとしたら相当価値があるものだけど、なんとなくこれ、シロが持ってた方が良い気がしてな」
「私もそう思います。あ、えっと、本当に何となくなんですけど……」
「ほのかもか……。シロにとっては役に立つんじゃないかと思ったんだけど、どうだ?」
 
意識が流れ込んでくる。
 
「ひとまず預かるってさ」
「良かったです……」
「あと、ついでのように俺たちの言葉についても教えてくれた」
「えっ?」
「ほのかが不思議に思ってた英語が良く使われるって話、解決したぞ」
「本当ですか!?」
 
俺がこの世界で言葉を理解して、普通にコミュニケーションをとれているのは、あのエルフの言った通りシロのおかげだったらしい。
 
「シロと契約した時に、この世界にある程度適応できるように色々やってくれていたらしい」
この世界の言語はシロの力で勝手に翻訳されているというのが大雑把な説明だった。
日本語をベースに、俺が見聞きしたレベルの海外の言葉はよく使われることになっているらしい。
「そんなことが……って、あれ?じゃあアツシさんは、この世界で初めて会ったのがシロ?」
「いきなり森に放り出されて、死にかけたところで出会ったのがシロだ」
「森にって、ここにってことですか?」
「正確にはもう少し奥、エリアⅣの範囲でな」
「それって……」
 
エリアⅣはその先の環境に適応する必要がある地域と異なり、単純に強いやつらが生き残る構造になっている。
俺は力がなさすぎたことが返って幸いし、直接襲われることはなかった。ただ、そこにいる生物たちにとって俺はアリか何かといったレベルだ。通り道にいれば気まぐれで死につながることもある。向こうにその意思がなくとも、人一人くらいは巻き込まれて死ぬことが平気でありうる世界だ。
 
「改めて考えると、我ながらよく生きてたな……」
「良かったです……。シロに助けられたってことですか?」
「どちらかというとたまたま出会った、って感じだけどな……。敵意がないのはわかって、そこで初めて生き物と契約ができることを知った」
 
その時はたまたまシロがすごい生き物だからだと思ったが、それをきっかけに自分のスキルを自覚した。
 
「で、色々あったけどシロに守られながら神獣領域を抜けてきたわけだ。なんやかんやでハクともその時に契約して、エリスとも知り合った」
「すごいですね……。エリスさんも神獣領域にはよく来ていたんですか?」
「その当たりはちょっと事情が特殊だけどな。エリアⅢまでいけばエルフはちらほら見ることになるんだよ」
 
エルフの里があるというわけではないが、どうも直接エルフ領域がエリアⅢにつながっているとかいう話だったはずだ。この辺は部外者には秘密になっているようで、エリスにもはぐらかされている。
 
「そうだったんですね……一気にアツシさんのことを色々知れました」
「あまり面白い話でもないだろう?」
 
まあある意味、ここは第二の故郷みたいな感じだ……。シロにも会えて少し気が緩んだな。
 
「私はもっと、アツシさんのこと教えてほしいですけどね」
「機会を見つけてだな。さて、そろそろシロとはお別れだ」
 
こちらが話している間、シロは渡された魔玉を分析していた。
シロの分析能力はエリスのそれよりも精度が高い。本当ならほのかについても見てもらえるなら一番楽ではあったが、こんなところにわざわざ来て見てもらうのは負担が大きい上、これをギルドに証明する術がなかったわけだ。
 
「ほのかにスキルがあることもわかったし、収穫は多かったな」
「えっ!?今そんなことしていたんですか?」
「ついでに見てくれた」
「どんなスキルが……?」
 
わくわくした表情で聞いてくるほのか。
 
「残念ながら、スキルがあるってことしか教えてくれていない」
「えぇ……そうなんですか……」
 
わかりやすくしょげるほのか。可哀そうだが、教えてくれないのはシロの意地悪というわけでもない。
 
「シロの能力はよくわからないんだけどな。エキストラスキルより上のスキルの鑑定は、不十分なところがあるんだよ」
「そうなんですね……って、あれ?エキストラスキルより上?」
「そう。俺のスキル程度なら、しっかり見ればわかるんだけどな」
「それって……」
「神獣でもわからないだけの何かを、ほのかは持ってるってことだ」
「えぇっ!?」
本人は驚いているし、俺ももう少し驚いた方がいい場面だとは思うが、ほのかならそのくらいありうるだろうと思っていた分、意外とあっさりこの事実を受け入れられた。
「ミーナ達と同じか、それより上のスキルってことになるな」
「それより上……?」
「俺も出会ったことはないけど、歴史上取り上げられる偉人にはゴッドと呼ばれるスキルも存在が確認されている」
ゴッドスキル。
「ちなみにこの名前って、基本的にアツシさんの……」
「言うな」
名前の安直さが自分の知識に基づくものだとわかり、複雑な気持ちだった……。
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