転移した先はみんなとは別の場所だった!?(仮)

ちぃびぃ

戦いのあと

「ここ、は……」

目を覚ました劉は目の前に見慣れた木の天井があった。

起き上がろうとすると頭に痛みを感じた。

「いたっ……」

なんとか起き上がって周りを見るとそこは僕が普段使っていた寝床だった。でも、周りには誰もいない。

しばらくすると誰かの気配がした。

「あ、リュー!」

聞き覚えのある声がして振り向くとルゥがいた。

「あ、ルゥ」

そう呼びかけるとルゥはこちらに抱きついてきた。

「目覚めて良かったぁ〜……ぐす」

「ちょ、ルゥっ」

お腹に顔を埋めて泣いていた。そんなルゥに劉は少し戸惑ったがすぐに頭を撫でてこう言った。

「もう大丈夫だよ」

しばらく撫でていると他にも気配を感じた。

「あら、目覚めたのですね」

「……ふんっ」

「りゅ〜!」

クイファさんとエレンさん。それにナノもいた。そしてナノはルゥと同じようにくっついてきた。

「おわ!ナノまで。二人そろってどうしたの一体?」

「二人はリューさんが心配だったんですよ」

「そうなの?」

「「うん」」

僕が聞くと二人そろって返事をした。

「リューさんは3日も寝てましたからね」

「3日も!?」

「はい、大変でしたよ。中々目覚めなくてルゥとナノが泣いてしまって」

「「そ、それは言っちゃダメ!」」

ルゥとナノが顔を赤くしていた。

「ごめんね、二人とも。心配かけて」

二人の頭を再び撫でながらクイファに聞いた。

「それでどうしてここに?」

「それはお礼です」

「お礼?」

「ええ。リューさんは盗賊と魔王の配下を倒したので」

「そういえばあいつはあの後どうなったんですか?」

「他の魔物と一緒で塵になって消えましたよ。あ、これがその魔石です」

そう言ってクイファは拳大の魔石を取り出す。

「大きいですね」

魔物を倒すとその死体は塵となって消え、魔石を残す。たまに牙や爪などといったものも魔石と一緒に残ることもある。魔石はその魔物のランクや強さによって大きさが違う。一番下が指先ほどで一番上は両手で持てるぐらいのもの一般的に見る魔石は指先や目ぐらいの大きさである。拳大の魔石は滅多に見れない。

「私もこれほどの大きさの魔石は久しぶりに見ました」

劉が驚いていると、クイファやエレン、ルゥ、ナノも目を見開いていた。

「それと魔石の横にこれも落ちてました」

「これは玉?」

クイファに渡されたのは黒い玉だった。

「なんですかね、これ?」

「私たちにも分かりません。それはリューさんが倒した戦利品なので持っていてください」

「はい」

リューはそれをポケットに入れた。

「少し脱線しまいました。話しを戻します」

「お礼の話しでしたっけ」

「そうです。この度はエレフェアを守ってくれてありがとうございました」

「いえいえ。当然のことをしただけです」

「ほら、エレンも」

クイファがそう言ってエレンを劉の前に行かせる。

「その、悪かったな。散々酷いことを言って。お前は他の人間とは違うみたいだ」

「信用してもらって良かったです」

「……ありがとな」

エレンはぶっきらぼうにそう言って下がった。

「母様が照れてる〜」

「て、照れてないわっ、この〜!」

ナノの言葉に対してエレンが怒った?

「きゃ〜、助けてリュ〜。母様が起こった〜」

ナノが僕に抱きついてくる。そんなナノとエレンに疑問ができた。

「ナノってもしかして精霊側の王女?」

「そうだよー。言ってなかった?」

「会ったのもあのときが初めてだったし、そんなこと話してる余裕なかったからなぁ」

「そういえばナノとリューってどこで会ったの?たしかリューって精霊に話せるのいなかったよね?」

ルゥが聞いてきた。

「ルゥ達を探してたら倒れてて、索敵の魔法?が使えるって言ったから一緒に探してたんだ」

「ふぅーん」

「なにその顔……」

ルゥが不満そうな顔をしていた。

「それだけ?」

「そうだけど」

「じゃあ、なんでナノはリューとこんな仲良いの?」

「いや、僕に聞かれても……。本人に聞けばいいじゃん」

「ナノー?」

ルゥは劉からナノに視線を向けた。

「なんででしょー?」

ナノがルゥをおちょくっていた。

それからしばらくルゥとナノが飛び回っていて、騒がしかった。なにやら「人の物を盗るなー!」とか「小悪魔ー!」とか主にルゥがうるさかった。ナノは終始笑っていた。

「はぁ、はぁ……」

ルゥが疲れたのか僕のベッドでぐったりしていた。ナノは未だに楽しそうに笑っていた。

「……もう充分ですか?」

「あ、ごめんなさい。クイファ様」

ナノがクイファの言葉を聞いて素直に謝った。

「まあ、ルゥがほとんど悪いですからね。仕方ないですよ」

「そんなぁ……」

ルゥが更にぐったりとなった。

「それでお礼の件ですけど、リューさんはなにか欲しいものとかありますか?」

「そう言われても……」

「傷が治るまでしまだ数日かかりますからその間に決めといてください」

クイファはそう言った。



作者からのあとがき
次で1章は終わりです。次は早めに更新できたらと思っています。楽しみに待っててください!

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ID:shina5410

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