白の血族
第一章(34)
「……これって、池?」
綺華が指差したのは、昨日発見した光る水の池だった。
「泉、と言ったほうがいいのかもな。……よく見てろよ」
そう言ってランタンを切った。
「――わわっ! いきなり切らないでよ、怖いじゃない」
「泉を見てみろ」
「えっ、光ってる……?」
ぼんやりとほのかに光る水面に、綺華がつぶやく。
目が慣れてくると、池の水が地下室の壁面をも照らしているのがわかる。そして、壁の凹凸によって壁面に文字が浮かび上がった……。
「――ここに古代文字が彫ってある。そうか、普通に懐中電灯を当てただけじゃ彫られた文字は見えにくいんだ。下から光を当てると文字が見えやすい仕組みになってたんだな」
ランタンを再点灯し、池のそばにおいてみた。
『生命之泉』
オヤジの手記に書かれていたとおり、これは生命の泉と言うらしい。なぜ生命なのか、が気になるな。それについ最近になって湧いたのも恣意的な気がする。何かが動き始めている予感がしてしまう。
「オヤジの手記に書いてあったんだが、古井戸の壁面にも同じ文字が彫ってあったようだ。生命の泉、が何を意味するのかだな」
「飲んだら元気になったり、とか?」
「水だから植物の成長が促進されたり、とかもあるかもな」
持っていたティッシュをちぎって泉の中に入れてみる。濡れるだけで特に変化はない。しばらく浮いていたであろうホコリにも変化は見られない。
「少なくとも塩酸みたいな溶かす液体ではなさそうだな」
スポイトを取り出し、持ってきた小瓶に注いでいく。物置きには茶色い薬瓶もあったが、あえて無色透明の瓶を選んだ。
八分目まで入れて栓をする。小瓶の中の液体は発光し続けていた。
「綺麗……。わたしも欲しいな」
「どんな害があるかわからない。とりあえず、オレの部屋に置いて数日観察してみるよ。……よし、そろそろ出るか」
この部屋はもう調べ尽くしている。二人を促し部屋へと戻った。
綺華が指差したのは、昨日発見した光る水の池だった。
「泉、と言ったほうがいいのかもな。……よく見てろよ」
そう言ってランタンを切った。
「――わわっ! いきなり切らないでよ、怖いじゃない」
「泉を見てみろ」
「えっ、光ってる……?」
ぼんやりとほのかに光る水面に、綺華がつぶやく。
目が慣れてくると、池の水が地下室の壁面をも照らしているのがわかる。そして、壁の凹凸によって壁面に文字が浮かび上がった……。
「――ここに古代文字が彫ってある。そうか、普通に懐中電灯を当てただけじゃ彫られた文字は見えにくいんだ。下から光を当てると文字が見えやすい仕組みになってたんだな」
ランタンを再点灯し、池のそばにおいてみた。
『生命之泉』
オヤジの手記に書かれていたとおり、これは生命の泉と言うらしい。なぜ生命なのか、が気になるな。それについ最近になって湧いたのも恣意的な気がする。何かが動き始めている予感がしてしまう。
「オヤジの手記に書いてあったんだが、古井戸の壁面にも同じ文字が彫ってあったようだ。生命の泉、が何を意味するのかだな」
「飲んだら元気になったり、とか?」
「水だから植物の成長が促進されたり、とかもあるかもな」
持っていたティッシュをちぎって泉の中に入れてみる。濡れるだけで特に変化はない。しばらく浮いていたであろうホコリにも変化は見られない。
「少なくとも塩酸みたいな溶かす液体ではなさそうだな」
スポイトを取り出し、持ってきた小瓶に注いでいく。物置きには茶色い薬瓶もあったが、あえて無色透明の瓶を選んだ。
八分目まで入れて栓をする。小瓶の中の液体は発光し続けていた。
「綺麗……。わたしも欲しいな」
「どんな害があるかわからない。とりあえず、オレの部屋に置いて数日観察してみるよ。……よし、そろそろ出るか」
この部屋はもう調べ尽くしている。二人を促し部屋へと戻った。
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